映画
原作はつげ義春の『海辺の叙景』(1967)及び『ほんやら洞のべんさん』(1968)で、つげ義春のいわゆる「旅もの」の代表作2作、という作品だろうか。 しかし映画は素直に原作マンガを映像化したものではなく、前半の『海辺の叙景』は、この映画の主人公で脚本家…
1920年代の話だろうか。映画の撮影で鉄橋から飛び下りて足を折り、ロサンゼルスの病院に入院しているスタントマンのロイ、そしてオレンジを取ろうとして樹から落ち、左腕を骨折して入院している5歳の女の子のアレクサンドリア。ロイの寝ているベッドのとこ…
前にトマス・ピンチョンの原作から『インヒアレント・ヴァイス』(2014)を映画化したポール・トーマス・アンダーソンの新作は、またもピンチョンの『ヴァインランド』からインスパイアされて撮られたものだということは、早くから聞いていた。 それがついに、…
幾度となく映画化されてきたメアリー・シェリーによるゴシック・ホラーの名作を、ギレルモ・デル・トロ監督が映像化した。そもそもが「ホラー」と「ダーク・ファンタジー」と分類できるような作品を多く撮ってきたデル・トロ監督にとって、この『フランケン…
軍事政権下のブラジルでじっさいに政権に拉致され殺害された元議員の、その妻による「真相究明」の長い日々、子どもたちとの家族のきずなを描いた作品で、原作となったのは家族の長男、マルセロ・ルーベンス・パイヴァによる回顧録で、監督は名匠ウォルター…
前回観たとき、カトリーヌ(オルガ・ジョルジュ=ピコ)と他の女性との区別がわからず、カトリーヌ(オルガ・ジョルジュ=ピコ)であっても「この女性はカトリーヌではない」と思い込んでしまったり、またはカトリーヌ以外の女性もカトリーヌと思って観てい…
自殺を企てて一命をとりとめたクロード・リダー(クロード・リッシュ)は、「時」を研究する「クレスペル研究所」という組織の人らに誘われ、タイムトラヴェルの実験の被験者となる。「ごく最近に死の淵をさまよった」経験が被験者の条件らしい。 倉庫のよう…
このドキュメンタリーの舞台は、いつもニュースになる「ガザ地区」ではなく、ガザ地区から東にあるパレスチナ人居住地区の「マサーフェル・ヤッタ」。地理的には、下の地図のようなところに位置している。 この地域は、ガザ地区のようにイスラエル軍による空…
ゴーストワールド [DVD]ソーラ・バーチ,スカーレット・ヨハンソンAmazon ダニエル・クロウズによる原作コミックは1993年から1997年にかけて連載され、1997年に書籍化されて評判をとった。 それでこの映画の方は、コミック原作のダニエル・クロウズと監督のテ…
この山中瑤子という監督はまだ27歳で、この作品が長編デビュー作だという。去年カンヌ国際映画祭に出品され、女性監督の史上最年少として「国際映画批評家連盟賞」を受賞したのだった。彼女は20歳のときに『あみこ』という作品を自主製作し、その作品もベル…
2度目の鑑賞。そのあいだに、この映画で描かれたつげ義春の原作マンガを読んだりはしていたのだが、そもそも1回目に観たこの映画のストーリーを、ほとんど忘れているのだった(シーンごとのヴィジュアルな映像記憶は残っていたが)。そういう意味で、さい…
つげ義春はわたしの若い頃から大ファンだった漫画家(作家)で、その作品はだいたいすべて読んでいるはずなのだけれども、わたしの記憶障害のこともあり、今ではほとんど思い出せないでいる。「ねじ式」あたりまでの作品だったらある程度記憶しているところ…
2016年のアメリカ大統領選はトランプ氏が勝利した。フレデリック・ワイズマン監督はその結果を受けて、保守的な共和党支持者が多いインディアナ州の農業の町モンロヴィアを題材に選んだのだった。 インディアナ州は地理的には五大湖のひとつミシガン湖の南に…
アメリカの「社会的ドキュメンタリー」の巨匠、フレデリック・ワイズマン監督による、彼のドキュメンタリー第一作。 ここで撮影を担当しているジョン・マーシャルという人は彼自身人類学者であり、カラハリ砂漠のジュホアンシ族を記録した有名な「The Hunter…
今は想田監督も住む岡山県瀬戸内市の牛窓(うしまど)の町。その瀬戸内海の南には小豆島があるという位置。ちょっとした観光地でもあるのだが、その町の海岸通りからすぐの石段を登ったところに「五香宮(ごこうぐう)」という、小さな神社がある。その境内…
石井岳龍監督は、けっこうわたしの好きな監督の一人だった。昔は「石井聰亙」という名だったけれども、まずは彼の『エンジェル・ダスト』(1994)にハマり、それからしばらくは彼の新作が公開されるたびに必ず映画館で観ていたものだった。今となってはわたし…
この作品は、第97回アカデミー賞の国際長編映画賞の日本代表作品に選出されているという。1回観た感じで、この作品ならアメリカでの受けはいいんじゃないかと思った。どうも国内の観客の評価は(想像した通り)イマイチのようだが、アカデミー賞受賞の可能…
ティム・バートンは大好きな監督だけれども、どうもこの21世紀に入ってから(つまりこの24年ぐらい)はわたしには「イマイチ」という作品がつづいていて、特に『アリス・イン・ワンダーランド』で打ちのめされてからは彼の作品を観る気も失せてしまって…
楽しみにしていた映画。出演者は荒川良々以外誰も知らなかったが(笑)。 映画を観る前についこの作品の映画評を読んでしまったのだが、その評では前半は黒沢清監督らしいホラー・ミステリー的な展開だけれども、後半は銃撃アクション映画となり、全体の構…
二回目の鑑賞。さいしょに観たあとに黒沢清監督のインタビューとかを読んだのだけれども、黒沢監督はこの作品のなかに「映画の中の三大怖いモノ」を詰め込んだのだ、ということなのだった。 その「映画の中の三大怖いモノ」というのは何だろう?と思ったのだ…
近年はNETFLIXとかの躍進から、有名監督の新作でもストリーミング配信でしか観られなかったりするようになっていると思うのだけれども、ここに新しいかたちの映像配信プラットフォーム「Roadstead」っうのが出来て、その第一回作品がこの黒沢清監督の『Chime…
アメリカ、イギリス、ポーランド三ヶ国の共同製作になる作品。アウシュヴィッツ収容所と塀を隔てただけの「隣」に住んだ、収容所長のルドルフ・ヘスとその家族との物語、というかその「日常」の恐ろしさ。 わたしはその収容所長がルドルフ・ヘスと聞いて、…
「コーエン兄弟」としてジョエル・コーエンと共同で映画を撮って来たイーサン・コーエンは、2018年の『バスターのバラード』を最後に「映画を撮ることはもうやめる」とかの話で、じっさいジョエル・コーエンは次の『マクベス』(2021)を単独で監督し、「あら…
2回目の鑑賞。今回観終わったあとにもういちど、この映画の大きな主題である「復讐」ということを考えてみた。 そもそもがこの映画、8歳の娘を殺されたというアルベールが、「犯人」を探り当てて復讐するのを、あとで知り合った小夜子(柴咲コウ)が手伝う…
黒沢清は久々にフランスで映画を撮る機会を得て、1998年に哀川翔、香川照之出演で撮ったVシネマ『蛇の道』(脚本:高橋洋)を、フランスを舞台としてリメイクすることを選んだ。 哀川翔の役を柴咲コウが演じ、香川照之の役はダミアン・ボナールが演じた。ス…
脚本と監督のフリーヌル・パルマソンはアイスランドの人で、映画の舞台はほとんどがアイスランド(冒頭でわずかにデンマークが舞台となるが)。主人公の牧師のルーカスはデンマーク人で、この映画はアイスランド、デンマーク、そしてフランスとスウェーデン…
(詳しくは「日記」の方に書いたが)わたしはどうも難聴気味らしく(この映画を観てわかった)、セリフがしかと聴き取れなかったもので、しっかりと映画を了解していない部分もあるだろうが、わたしはタイトルの「悪は存在しない」というのは、その前に(自…
今年になってから、この「名作」の4Kリストア版が国内で公開され始め、ようやくウチのとなり駅の映画館でも上映が始まった。それでわたしも、30年ぶりぐらいにこの映画を観たのだった。 う~ん、やっぱり映画館の外の寒さを忘れて、熱くなってしまった。ま…
ヴィクトル・エリセの新作『瞳をとじて』が公開されたもので、彼の旧作『ミツバチのささやき』、『エル・スール』とが劇場で再公開された(『マルメロの陽光』の上映はなかった)。わたしは両作品とも観ていたが、『ミツバチのささやき』の方はなんとなく記…
ある年の10月12日の深夜3時、ある家でオールナイトで開かれていたパーティーから、女子大生のクララは「ウチへ帰る」と会場をあとにする。帰り道、公園のそばで男がクララに近づき、彼女にガソリンをぶっかけ、ライターで火をつける。 彼女の焼死体は翌朝発…