ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

映画

『ゴッドランド/GODLAND』(2022) フリーヌル・パルマソン:脚本・監督

脚本と監督のフリーヌル・パルマソンはアイスランドの人で、映画の舞台はほとんどがアイスランド(冒頭でわずかにデンマークが舞台となるが)。主人公の牧師のルーカスはデンマーク人で、この映画はアイスランド、デンマーク、そしてフランスとスウェーデン…

『悪は存在しない』(2024) 石橋英子:音楽 濱口竜介:監督

(詳しくは「日記」の方に書いたが)わたしはどうも難聴気味らしく(この映画を観てわかった)、セリフがしかと聴き取れなかったもので、しっかりと映画を了解していない部分もあるだろうが、わたしはタイトルの「悪は存在しない」というのは、その前に(自…

『ストップ・メイキング・センス』(1984) ジョナサン・デミ:監督 トーキング・ヘッズ:出演

今年になってから、この「名作」の4Kリストア版が国内で公開され始め、ようやくウチのとなり駅の映画館でも上映が始まった。それでわたしも、30年ぶりぐらいにこの映画を観たのだった。 う~ん、やっぱり映画館の外の寒さを忘れて、熱くなってしまった。ま…

『エル・スール』(1983) ヴィクトル・エリセ:監督

ヴィクトル・エリセの新作『瞳をとじて』が公開されたもので、彼の旧作『ミツバチのささやき』、『エル・スール』とが劇場で再公開された(『マルメロの陽光』の上映はなかった)。わたしは両作品とも観ていたが、『ミツバチのささやき』の方はなんとなく記…

『12日の殺人』(2022) ドミニク・モル:監督

ある年の10月12日の深夜3時、ある家でオールナイトで開かれていたパーティーから、女子大生のクララは「ウチへ帰る」と会場をあとにする。帰り道、公園のそばで男がクララに近づき、彼女にガソリンをぶっかけ、ライターで火をつける。 彼女の焼死体は翌朝発…

『瞳をとじて』(2023) ヴィクトル・エリセ:監督

二回目の鑑賞。わたしは前回、自分自身の記憶障害とこの作品とをあまりに関連付けて観ようとしてしまい、いささか道に迷ってしまったのだったが、今回はさいしょのときのそのような先入観を捨て、もっとストレートに観ることにしたのだった。 ただ、いちど観…

『落下の解剖学』(2023) ジュスティーヌ・トリエ:監督

わたしはまず、この作品のポスターのイメージに惹かれた。「雪の上に血を流して倒れている人物を見つめる人物」というイメージは、『ウィンド・リバー』という作品でも用いられていたし、古くは『ファーゴ』にもそういうイメージがあったと思う。どちらの作…

『瞳をとじて』(2023) ヴィクトル・エリセ:監督

83歳のヴィクトル・エリセ監督、『マルメロの陽光』以来31年ぶりになる、彼の長編第4作。観る前の予備知識で、「記憶喪失に陥った男(俳優)」の話ということを知っていたので、記憶障害を抱えたわたしとしては、そんな心の準備をしてこの作品を観たのだっ…

『君たちはどう生きるか』(2023)宮崎駿:脚本・監督

わたしは当初、この作品のことはその内容もわからなかったし、ただタイトルから『風立ちぬ』みたいな作品かと思っていて、「それなら観なくってもいいや」というつもりだったのだが、実はこの作品が海外で公開されるときのタイトルが「The Boy and The Heron…

『PERFECT DAYS』(2023)ヴィム・ヴェンダース:監督

わたしは1970年代の頃のヴェンダース監督の作品を愛おしく思い出すことができるが(このあたりの、ロビー・ミューラー撮影になる作品群は去年の3月にまとめて観たもので、まだ記憶が消えずにけっこう憶えている)、実はそれ以降のヴェンダース作品はそれほ…

『枯れ葉』(2023)アキ・カウリスマキ:脚本・監督

わたしもカウリスマキの作品は好きだからだいたい全部観ていると思うけれども、例によって(このことを毎回書くのも恥ずかしいが)その内容はほとんど記憶していない。今日この映画を観た映画館では、この『枯れ葉』公開を記念して、来週からはカウリスマキ…

『パトリシア・ハイスミスに恋して』(2022)エヴァ・ヴィティヤ:脚本・監督

「パトリシア・ハイスミスとは、いったいどんな人物だったのか?」という問いかけの、その答えの一端でも見出せればという気もちでこの映画を観た。 わたしは(そのほとんどを忘れてしまっているとはいえ)パトリシア・ハイスミスの作品はいちおう、邦訳され…

『ゴジラ-1.0(IMAX)』(2023)山崎貴:脚本・VFX・監督

というわけで、2回目の鑑賞。そもそも日記に書いたように、先に通常上映でこの作品を観たときにあまりにもサウンドトラックの音量が小さく、「もっと音量が大きければもっと迫力を感じられたことだろうに」と感じたことから、この2回目の鑑賞になったわけ…

『パトリシア・ハイスミスに恋して』(2022)エヴァ・ヴィティヤ:脚本・監督

観る前から予想はしていたが、パトリシア・ハイスミスの著作を年代的に紹介しながら彼女の私生活を追っていくような展開ではなく、彼女の著作で紹介されるのはデビュー作の『見知らぬ乗客』、それと『トム・リプリー・シリーズ』、そしてもちろん『キャロル…

『ゴジラ-1.0』(2023)山崎貴:脚本・VFX・監督

12月になって、この新作ゴジラ映画がアメリカでもかなり大規模に(字幕付きで)一般公開され、観客動員数も相当なものだったというし、何よりもアメリカの有名な映画評サイト「Rotten Tomatoes」で批評家レビューは97パーセント、一般レビュー(千件以上のレ…

『ザ・キラー』(2023) デヴィッド・フィンチャー:監督

そもそもの原作はフランスのグラフィック・ノヴェルということで、そこから『セヴン』の脚本家アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが脚本を手掛けた。 マイケル・ファスベンダー(冒頭からラストまで、まさに「出ずっぱり」)演ずる雇われ殺し屋が依頼された…

『アステロイド・シティ』(2023) ウェス・アンダーソン:脚本・監督

映画の冒頭はスタンダードサイズ、モノクロの画面でちょっと驚かされるのだが、「司会者」とおぼしき人物が、「これから演劇製作の舞台裏のドキュメントをお見せします」と語り、そのうしろでタイプライターに向かった劇作家(エドワード・ノートン)が執筆…

『福田村事件』 森達也:監督

1923年(大正12年)9月6日、関東大震災後の混乱の中、千葉県東葛飾郡福田村(現在の野田市)において、香川県から来ていた薬の行商グループ15人が地元の「自警団」に朝鮮人と怪しまれ、15人のうち女性子供を含む9人(1人は妊婦であった)が虐殺された。これ…

『EO イーオー』(2022) イエジー・スコリモフスキ:製作・脚本・監督

ポーランド出身の映画監督イエジー・スコリモフスキは、名の知られた監督ではあるけれども、実はわたしはこの監督の作品を観た記憶がない。そもそも20年ぐらい映画を撮らなかったブランクがあるし、その前の作品は日本では未公開だったのではないかと思う。2…

『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』 ウィル・シャープ:監督

ルイス・ウェインは19世紀末から20世紀初頭に活動した、とにかくは「ネコの絵」で有名になったイギリスの画家。彼は晩年に統合失調症を患っていたとされ、わたしなどは、年代順に並べられた彼の描いたネコの絵から「統合失調症」の進行を読み取る例とし…

『ピアニストを撃て』(1960) フランソワ・トリュフォー:監督

トリュフォーの、『大人は判ってくれない』(1959)に次ぐ第二作で、製作された1960年はゴダールが長編第一作の『勝手にしやがれ』を撮った年でもあり、この二本の作品の撮影監督はラウール・クタールだったりする。見ていても「こういうショットはラウール・…

『アンナの出会い』(1978) シャンタル・アケルマン:脚本・監督

この映画は、わたしが今まで観た映画の中でも、もっとも大きな感銘を受けた作品だった(と思う)。それはけっきょく、わたしが「映画」に求めているのは「ドラマ」とかいうものではない、ということだっただろうか。いや、この映画はこの映画で、また別の「…

『こちらあみ子』今村夏子:原作 森井勇佑:脚本・監督

主人公の「あみ子」を演じたのは、オーディションで選ばれた大沢一菜(おおさわ かな)という、東京に住む(撮影時で10歳ぐらいの)女の子だったけど、パンフレットなど読むと、この一菜ちゃん、まさに「あみ子」を彷彿とさせられる、天真爛漫な型破りの子…

『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コルメス河畔通り23番地』(1975) シャンタル・アケルマン:脚本・監督 バベット・マンゴルト:撮影

先週観た『私、あなた、彼、彼女』(1974)の翌年に撮られた作品で、シャンタル・アケルマンの代表作とされる作品。主演はデルフィーヌ・セイリグで、この200分に及ぶ作品で、彼女はさいしょから最後まで、ほぼ「出ずっぱり」である。というかこの作品、そのデ…

『わたし、あなた、彼、彼女』(1974) シャンタル・アケルマン:脚本・監督 ベネディクト・デルサル:撮影

わたしが、シャンタル・アケルマンという映像作家のことを意識するようになったのはけっこう最近のことで、それはつまりは2年前に、『ONE DAY PINA ASKED... / ある日、ピナが…』という1983年の彼女の作品をネット配信で観てから、ということになる。 実は…

『ドライブ・マイ・カー』 村上春樹:原作 濱口竜介:脚本・監督

濱口竜介監督の作品は、前にサブスクで『寝ても覚めても』という作品を観ているが、実はこれっぽっちも記憶していない。ただ、黒沢清監督の『スパイの妻』の脚本がこの人だったということで、その作品に映画として感銘を受けたこともあって、(その「脚本」…

『湖のランスロ』(1974) ロベール・ブレッソン:監督

実はこの作品のことを調べていて、「製作総指揮」のジャン=ピエール・ラッサムという人物のことを知った。この人物、ゴダールがアンヌ=マリー・ミエヴィルととも設立した「ソニマージュ」の共同製作者として、巨額の資金を調達し、この「非=商業時代」の…

『たぶん悪魔が』(1977) ロベール・ブレッソン:脚本・監督

映画はいきなり、若者たちが集まる討論集会のような場面から始まり、まるでこの映画より10年近く前の「五月革命」みたいな雰囲気。若者たちの政治意識がテーマになっているようでもあって、まさかブレッソンがこんな政治的映画を撮るとは思わなかったし、…

『やさしい女』(1969) フョードル・ドストエフスキー:原作 ロベール・ブレッソン:脚色・監督

ロベール・ブレッソン初のカラー作品であり、ドミニク・サンダのスクリーン・デビュー作。 原作はドストエフスキーなのだが、実はこの邦訳は『白夜』とカップリングされて文庫本で出ている。その『白夜』はヴィスコンティの映画が有名だけれども、ロベール・…

『MEMORIA メモリア』(2021) アピチャッポン・ウィーラセタクン:脚本・監督

映画というものが映画監督の「夢」の具現化だとしたら、これほど見事な映画作品もないと思った。「映画を観た」というより、まさに「映画を体験した」という感じではあり、これはわたし自身のみた夢なのではなかったか、という感覚も生まれた。 ヒロインはあ…