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象の物語―神話から現代まで (「知の再発見」双書)作者:ロベール ドロール創元社Amazon 著者のロベール・ドロールという人は、以前に『動物の歴史』というけっこう分厚い本を読んで知っていた。この「象」の本は、創元社の「知の再発見双書」の一冊として刊行…
熊: 人類との「共存」の歴史作者:ベルント ブルンナー白水社Amazon 7月にいちど読んでいた本だけれども、その頃は国内で「熊問題」も今ほどではなかったし、わたしもこの本の内容をまるで思い出せなかったりしたので、また読んでみた。 けっきょくこの本は…
愛しすぎた男 (扶桑社ミステリー)作者:パトリシア ハイスミス扶桑社Amazon この文庫本の裏表紙には「いま話題の<ストーカー>(追跡者)の世界を内側から描いた名手ハイスミスのノンストップ・サスペンス!」とあり、「あとがき」にも「日本でも注目されつ…
消しゴム (光文社古典新訳文庫)作者:アラン ロブ=グリエ光文社Amazon アラン・ロブ=グリエの作家としてのデビュー作にして、「ヌーヴォー・ロマン」の登場を告げることになる作品。発表は1953年である。 わたしはロブ=グリエの映画こそ観ているが、小説を…
ディフェンス (河出文庫)作者:ウラジーミル・ナボコフ河出書房新社Amazon 1930年に刊行された、ナボコフの3作目の長編小説(ロシア語)だが、この邦訳は1964年にマイケル・スキャメルとナボコフ自身によって翻訳された「英語版」からの翻訳。ロシア語から英…
下の画像は、スペイン版のこの『メイスン&ディクスン』の表紙で、読み終わったあとにこの絵を見ると「ああ、まさにメイスンもディクスンもこ~んな感じだったな」とは思うのだ(左のメイスンは白髪なのではなく、愛用の鬘をかぶっているのだ。いっしょにい…
この本を読むのは連続して2回目のこと。とにかく初読のときには「どこか道を迷っていた」感じだったのだが、こうやって2回目に読むと前に読んだときに見失っていたところにもあれこれ気づき、「やはりこうやって2回読むことにしてよかった」とは思うのだ…
トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)作者:トマス・ピンチョン新潮社Amazon ついに、この分厚い本を読み終えたのだが、どうも途中で使用していたパソコンのクラッシュなどということもあって、読書継続の…
トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(上) (Thomas Pynchon Complete Collection)作者:トマス・ピンチョン新潮社Amazon 主人公のチャールズ・メイスンとジェレマイア・ディクスンとは「実在の人物」で、日本のWikipediaにも、彼らが測量して引いた…
賜物 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2)作者:ウラジーミル・ナボコフ河出書房新社Amazon ナボコフは1940年にアメリカへ渡るのだけれども、その前のドイツ~フランス亡命時代の、さいごにロシア語で書かれた作品がこの『賜物』(これが亡命時代さいごの作品…
終りなき世界―90年代の論理作者:行人, 柄谷,克人, 岩井太田出版Amazon 対談の一人、岩井克人氏とは理論経済学の学者で、『不均衝動学』という著作で国際的に知られる人だという。柄谷行人氏とは非常に親しい仲だというが、そんな2人が1990年の春に行った対…
四重奏;目作者:ウラジミール ナボコフ白水社Amazon ナボコフの短篇はたいていは書かれた時代順に、ある程度まとまった時点でいくつかの短篇を集めて「短篇集」のかたちで刊行されているのだが(ナボコフに限らず、たいていの「短篇集」というものはそういう…
アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像作者:秋草 俊一郎慶應義塾大学出版会Amazon 序 章:ナボコフと読者(オーディエンス)たち 第一章:亡命の傷―アメリカのロシアで 第二章:ナボコフとロフリン―アメリカ・デビューとモダニズム出版社 第三章:注釈の…
プニン作者:ウラジーミル・ナボコフ文遊社Amazon 愛おしいプニン。万年助教授のプニン。皆にその所作を笑われているプニン。アメリカ文化の美点として「入れ歯」を賛美するプニン。でも、プニンの内面には、やはり「哀しみ」が隠されている。 もちろん、ナボ…
熊: 人類との「共存」の歴史作者:ベルント ブルンナー白水社Amazon 例えば、この本に書かれていることは、イギリスを例に考えるとけっこうわかるかもしれない。イギリスは「クマのプーさん」や「パディントン」の誕生した国であり、クマを愛でるお国柄である…
月: 人との豊かなかかわりの歴史作者:ベアント ブルンナー白水社Amazon 人は空を見上げると昼間は太陽、夜にはいろいろな星の中でひときわ月こそが目につくだろう。太陽というのは人が直視することは出来ないのだけれども、月はしっかりと観察することが出来…
水族館の歴史:海が室内にやってきた作者:ベアント・ブルンナー白水社Amazon 作者のベアント・ブルンナーはベルリン出身のノンフィクション作家で、この本はドイツ版原書「Wie das Meer nach Haus kam」(2003)からの英訳「The Ocean at Home」からの重訳。ド…
サーカスの子作者:稲泉連講談社Amazon 先日観た、ロバが主人公の映画『EO イーオー』の冒頭のシーンがサーカスだったりしたもんで、そういうことでもこの本を読んでみようと思ったのだった。 著者の稲泉連という人は、『ぼくもいくさに征くのだけれど-竹内浩…
目には見えない何か作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon 最後の4篇を読み終えた。トータルに言って、この後期短篇集には「自殺」で終わる作品が多く、最後の4篇のうち2篇もそういう内容だった。ハイスミスの長篇にはそういう「自殺」を描いた…
目には見えない何か作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon ここで読んだ5篇の短編は、もっと「長編小説」へと書き進められそうな、そのシノプシスのような作品が増えたように思う。いちおうハイスミスの作品らしく、「バッドエンド」に終わる作品…
目には見えない何か作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon 同じハイスミスの初期短篇集、『回転する世界の静止点』と続けて読んで、今までのところどうも作品のテイストが異なるような気がしてしまう。 というのは、『回転する世界の静止点』での主…
回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon この4編でようやく読了。次はハイスミスの中後期短篇集、『目には見えない何か』を読むのだ。●「スタイナク家のピアノ」(The pianos of the Steinachs) 主人公の…
回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon パトリシア・ハイスミスは一般に「サスペンス・ミステリー小説の作者」として知られているのだけれども、ここまで読んできた5篇の短篇はどれも、そういうサスペン…
回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon パトリシア・ハイスミスのデビュー作は、長篇小説であれば『見知らぬ乗客』だけれども、短篇小説も含めると、日本版のWikipediaによると「ヒロイン」という作品で…
ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界 (ちくま文庫)作者:阿部謹也筑摩書房Amazon かつて読んだことのある本だけれども、記憶からすっかり失せていたのでまた読んだ本。著者の阿部謹也氏のことは、前に『世間とは何か』という著作を読んでいて、この本は多…
上巻を読み終えたときにも書いたが、この本の原題は「Auf Noahs Spuren」で、「ノアの足跡をたどる」とかいう意味。あくまで西欧人の視点から書かれた「動物発見史」という側面を持つ本だけれども、「生物学」の発展と合わせてのドキュメンタリーとしても、…
パリが愛したキリン作者:マイケル アリン翔泳社Amazon この、「19世紀にエジプトからパリへと行ったキリン」については、前に読んでいた『物語 世界動物史』に書かれた「ちょっとしたエピソード」で知ったのだが、「これは面白い」と思ってその史実関係を…
物語世界動物史〈上〉 (1974年)作者:ヘルベルト・ヴェントAmazon とりあえず、まだ上巻を読み終えただけなので、ちゃんとした感想は下巻まで読み終えてから。 著者のヘルベルト・ヴェントはドイツのライターで、特に「動物学」の専門家だったというわけでは…
前にも書いたけれども、わたしがこの本を購入したのは「カフカ」についての本であるのはもちろん、その挿画をあのロバート・クラムが描いているからだった。 アンダーグラウンド・コミックのカルトな作家としてのロバート・クラムのことを知る人もそれなりに…
キャッチ=22〔新版〕 上 (ハヤカワepi文庫)作者:ジョーゼフ ヘラー早川書房Amazon ようやく上巻を読み終えたが、まだ全部を読み終えたわけではないので、感想を書けるわけでもない。ちゃんとした感想は、下巻まで読み終えてから。 ただ今の時点で何か書く…