ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

Book

『11の物語』(1970) パトリシア・ハイスミス:著 小倉多加志:訳(3)

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:パトリシア ハイスミス早川書房Amazon「ヒロイン」(The Heroine) パトリシア・ハイスミス24歳の時のデビュー作。このときからすでに、人の精神の歪みを冷徹に捉える視線は恐ろしいほどに鋭かったようだ。 主人公のル…

『11の物語』(1970) パトリシア・ハイスミス:著 小倉多加志:訳(2)

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:パトリシア ハイスミス早川書房Amazon「モビールに艦隊が入港したとき」(When the Fleet Was In at Mobile) 「序文」で、グレアム・グリーンが「お気に入り」とした作品。主人公ジェラルディーンの「内的独白」を交え…

『11の物語』(1970) パトリシア・ハイスミス:著 小倉多加志:訳(1)

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:パトリシア ハイスミス早川書房Amazon「かたつむり観察者」(The Snail-Watcher) 食用かたつむりを観察し、飼育するようになったピーター・ノッパードの「悲劇」。 ハイスミス自身がかたつむりの飼育を趣味としていた…

『死者と踊るリプリー』(1991) パトリシア・ハイスミス:著 佐宗鈴夫:訳

死者と踊るリプリー (河出文庫)作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon この本の原題は「Ripley Under Water」。リプリー・シリーズの第2作が「Ripley Under Ground」(邦題『贋作』)と似ていて、じっさい、その内容も『贋作』から引き継いでいて…

『リプリーをまねた少年』(1980) パトリシア・ハイスミス:著 柿沼瑛子:訳

リプリーをまねた少年 (河出文庫 ハ 2-16)作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon 原題は「The Boy Who Followed Ripley」だから「まねた」というニュアンスではなく、「ついて行く」とか「追いかける」という言葉の方がふさわしいだろう。 わたしが…

『アメリカの友人』(1974) パトリシア・ハイスミス:著 佐宗鈴夫:訳

アメリカの友人 (河出文庫 ハ 2-15)作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon 原題は「Ripley's Game」なのだけれども、この邦訳が刊行される前にヴィム・ヴェンダース監督による映画化作品『アメリカの友人』が先に公開されて知られるようになってい…

『贋作』(1970) パトリシア・ハイスミス:著 上田公子:訳

贋作 (河出文庫 ハ 2-14)作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon トム・リプリーシリーズの前作『太陽がいっぱい』からこの『贋作』までに、刊行には15年のブランクがあるけれども、内容的には『太陽がいっぱい』から6~7年あとのことのようで、…

『太陽がいっぱい』(1955) パトリシア・ハイスミス:著 青田勝:訳

太陽がいっぱい パトリシア・ハイスミス 青田勝訳 角川文庫 角川書店作者:パトリシア・ハイスミス 青田勝訳ノーブランド品Amazon 凛としたアラン・ドロンのたたずまい(わたしにはマリー・ラフォレの美しさこそ!)と、ニーノ・ロータの甘美な映画主題曲でよ…

『プードルの身代金』(1972) パトリシア・ハイスミス:著 岡田葉子:訳

プードルの身代金 (扶桑社ミステリー ハ 8-9)作者:パトリシア ハイスミス扶桑社Amazon ハイスミスの作品には、読後感のよろしくないものがあれこれとあるけれども、この『プードルの身代金』からは、読み終わってもただ「やりきれない」という気もちから抜け…

『スモールg(ジー)の夜』(1995) パトリシア・ハイスミス:著 加地美知子:訳

スモールgの夜 (扶桑社ミステリー ハ 8-6)作者:パトリシア ハイスミス扶桑社Amazon(実はこの本、2021年10月にも読んでいて、わたしのことだから読んだ記憶はまるで残っていなかったのだけれども、この日この本の感想を書くにあたって、その2021年10月にこの…

『キング、クィーンそしてジャック』(1928) ウラジーミル・ナボコフ:著 出淵博:訳

世界の文学〈8〉ナボコフ (1977年)キング、クィーンそしてジャック 断頭台への招待作者:ナボコフAmazon (わたしが今回読んだのは、今手軽に入手できる新潮社刊の「ナボコフ・コレクション」によるものではなく、もっと古い、1977年に刊行された「集英社版 …

『溝口健二の人と芸術』(1964) 依田義賢:著

溝口健二の人と芸術 (1964年)Amazon 黒澤明監督には橋本忍という脚本家がいて、小津安二郎監督は野田高梧との結びつきが強かったけれども、同じように溝口健二監督には依田義賢という脚本家がいた。依田義賢は脚本家になってまもなく溝口監督の『浪華悲歌』(…

『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』(1941) ウラジーミル・ナボコフ:著 富士川義之:訳

セバスチャン・ナイトの真実の生涯 (講談社文芸文庫)作者:ウラジミール・ナボコフ講談社Amazon とりあえず読了したが、これは再読したいところ。ただ図書館本なので来週中に返却しなければならず、そうもいかないのが残念ではある。 この本は、37歳で夭逝し…

『ロリータ、ロリータ、ロリータ』(2007) 若島正:著

ロリータ、ロリータ、ロリータ作者:若島 正作品社Amazon 日本における、ナボコフの『ロリータ』翻訳の決定版を出された若島正氏による、いわば「翻訳者の視点から語る『ロリータ』論」という本、なのだが、いわゆる「作品論」というのではなく、「言語の魔術…

『ロリータ』(1955) ウラジーミル・ナボコフ:著 若島正:訳

ロリータ (新潮文庫)作者:ウラジーミル ナボコフ新潮社Amazon 前にこの『ロリータ』を読んだのはもう6年も前で、それから今までのあいだにわたしは記憶障害も起こしていて、『ロリータ』の内容は誰もが読まなくても知っているぐらいのことしかわかっていな…

『アナーキスト人類学のための断章』(2004) デヴィッド・グレーバー:著 高祖岩三郎:訳

アナーキスト人類学のための断章作者:デヴィッド グレーバー以文社Amazon あまり書きたくはないのだけれども、わたしが政治的立場を選ぶとすれば、それは「アナーキズム」ということになる。まあ「政治的立場」などというよりも「信念」のようなもので、政治…

『象の物語 神話から現代まで』(1990) ロベール・ドロール:著 南條郁子:訳 長谷川明・池田啓:監修

象の物語―神話から現代まで (「知の再発見」双書)作者:ロベール ドロール創元社Amazon 著者のロベール・ドロールという人は、以前に『動物の歴史』というけっこう分厚い本を読んで知っていた。この「象」の本は、創元社の「知の再発見双書」の一冊として刊行…

『熊 人類との「共存」の歴史』(2005) べルント・ブルンナー:著 伊達淳:訳

熊: 人類との「共存」の歴史作者:ベルント ブルンナー白水社Amazon 7月にいちど読んでいた本だけれども、その頃は国内で「熊問題」も今ほどではなかったし、わたしもこの本の内容をまるで思い出せなかったりしたので、また読んでみた。 けっきょくこの本は…

『愛しすぎた男』(1960) パトリシア・ハイスミス:著 岡田葉子:訳

愛しすぎた男 (扶桑社ミステリー)作者:パトリシア ハイスミス扶桑社Amazon この文庫本の裏表紙には「いま話題の<ストーカー>(追跡者)の世界を内側から描いた名手ハイスミスのノンストップ・サスペンス!」とあり、「あとがき」にも「日本でも注目されつ…

『消しゴム』(1953) アラン・ロブ=グリエ:著 中条省平:訳

消しゴム (光文社古典新訳文庫)作者:アラン ロブ=グリエ光文社Amazon アラン・ロブ=グリエの作家としてのデビュー作にして、「ヌーヴォー・ロマン」の登場を告げることになる作品。発表は1953年である。 わたしはロブ=グリエの映画こそ観ているが、小説を…

『ディフェンス』 ウラジーミル・ナボコフ:著 若島正:訳

ディフェンス (河出文庫)作者:ウラジーミル・ナボコフ河出書房新社Amazon 1930年に刊行された、ナボコフの3作目の長編小説(ロシア語)だが、この邦訳は1964年にマイケル・スキャメルとナボコフ自身によって翻訳された「英語版」からの翻訳。ロシア語から英…

『メイスン&ディクスン』(下) トマス・ピンチョン:著 柴田元幸:訳

下の画像は、スペイン版のこの『メイスン&ディクスン』の表紙で、読み終わったあとにこの絵を見ると「ああ、まさにメイスンもディクスンもこ~んな感じだったな」とは思うのだ(左のメイスンは白髪なのではなく、愛用の鬘をかぶっているのだ。いっしょにい…

『メイスン&ディクスン』(上) トマス・ピンチョン:著 柴田元幸:訳

この本を読むのは連続して2回目のこと。とにかく初読のときには「どこか道を迷っていた」感じだったのだが、こうやって2回目に読むと前に読んだときに見失っていたところにもあれこれ気づき、「やはりこうやって2回読むことにしてよかった」とは思うのだ…

『メイスン&ディクスン』(下) トマス・ピンチョン:著 柴田元幸:訳

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)作者:トマス・ピンチョン新潮社Amazon ついに、この分厚い本を読み終えたのだが、どうも途中で使用していたパソコンのクラッシュなどということもあって、読書継続の…

『メイスン&ディクスン』(上) トマス・ピンチョン:著 柴田元幸:訳

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(上) (Thomas Pynchon Complete Collection)作者:トマス・ピンチョン新潮社Amazon 主人公のチャールズ・メイスンとジェレマイア・ディクスンとは「実在の人物」で、日本のWikipediaにも、彼らが測量して引いた…

『賜物』 ウラジーミル・ナボコフ:著 沼野充義:訳

賜物 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2)作者:ウラジーミル・ナボコフ河出書房新社Amazon ナボコフは1940年にアメリカへ渡るのだけれども、その前のドイツ~フランス亡命時代の、そのさいごにロシア語で書かれた作品がこの『賜物』(これが亡命時代さいごの…

『終りなき世界 90年代の論理』 柄谷行人・岩井克人:著

終りなき世界―90年代の論理作者:行人, 柄谷,克人, 岩井太田出版Amazon 対談の一人、岩井克人氏とは理論経済学の学者で、『不均衝動学』という著作で国際的に知られる人だという。柄谷行人氏とは非常に親しい仲だというが、そんな2人が1990年の春に行った対…

『四重奏/目』 ウラジーミル・ナボコフ:著 小笠原豊樹:訳

四重奏;目作者:ウラジミール ナボコフ白水社Amazon ナボコフの短篇はたいていは書かれた時代順に、ある程度まとまった時点でいくつかの短篇を集めて「短篇集」のかたちで刊行されているのだが(ナボコフに限らず、たいていの「短篇集」というものはそういう…

『アメリカのナボコフ 塗りかえられた自画像』 秋草俊一郎:著

アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像作者:秋草 俊一郎慶應義塾大学出版会Amazon 序 章:ナボコフと読者(オーディエンス)たち 第一章:亡命の傷―アメリカのロシアで 第二章:ナボコフとロフリン―アメリカ・デビューとモダニズム出版社 第三章:注釈の…

『プニン』 ウラジーミル・ナボコフ:著 大橋吉之輔:訳

プニン作者:ウラジーミル・ナボコフ文遊社Amazon 愛おしいプニン。万年助教授のプニン。皆にその所作を笑われているプニン。アメリカ文化の美点として「入れ歯」を賛美するプニン。でも、プニンの内面には、やはり「哀しみ」が隠されている。 もちろん、ナボ…