ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

Book

『目には見えない何か 中後期短篇集 1952-1982』(3) パトリシア・ハイスミス:著 宮脇孝雄:翻訳

目には見えない何か作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon 最後の4篇を読み終えた。トータルに言って、この後期短篇集には「自殺」で終わる作品が多く、最後の4篇のうち2篇もそういう内容だった。ハイスミスの長篇にはそういう「自殺」を描いた…

『目には見えない何か 中後期短篇集 1952-1982』(2) パトリシア・ハイスミス:著 宮脇孝雄:翻訳

目には見えない何か作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon ここで読んだ5篇の短編は、もっと「長編小説」へと書き進められそうな、そのシノプシスのような作品が増えたように思う。いちおうハイスミスの作品らしく、「バッドエンド」に終わる作品…

『目には見えない何か 中後期短篇集 1952-1982』(1) パトリシア・ハイスミス:著 宮脇孝雄:翻訳

目には見えない何か作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon 同じハイスミスの初期短篇集、『回転する世界の静止点』と続けて読んで、今までのところどうも作品のテイストが異なるような気がしてしまう。 というのは、『回転する世界の静止点』での主…

『回転する世界の静止点 初期短篇集 1938-1949』(3) パトリシア・ハイスミス:著 宮脇孝雄:翻訳

回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon この4編でようやく読了。次はハイスミスの中後期短篇集、『目には見えない何か』を読むのだ。●「スタイナク家のピアノ」(The pianos of the Steinachs) 主人公の…

『回転する世界の静止点 初期短篇集 1938-1949』(2) パトリシア・ハイスミス:著 宮脇孝雄:翻訳

回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon パトリシア・ハイスミスは一般に「サスペンス・ミステリー小説の作者」として知られているのだけれども、ここまで読んできた5篇の短篇はどれも、そういうサスペン…

『回転する世界の静止点 初期短篇集 1938-1949』(1) パトリシア・ハイスミス:著 宮脇孝雄:翻訳

回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949作者:パトリシア・ハイスミス河出書房新社Amazon パトリシア・ハイスミスのデビュー作は、長篇小説であれば『見知らぬ乗客』だけれども、短篇小説も含めると、日本版のWikipediaによると「ヒロイン」という作品で…

『ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界』阿部謹也:著

ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界 (ちくま文庫)作者:阿部謹也筑摩書房Amazon かつて読んだことのある本だけれども、記憶からすっかり失せていたのでまた読んだ本。著者の阿部謹也氏のことは、前に『世間とは何か』という著作を読んでいて、この本は多…

『物語 世界動物史』(下)ヘルベルト・ヴェント:著 小原秀雄・羽田節子・大羽更明:訳

上巻を読み終えたときにも書いたが、この本の原題は「Auf Noahs Spuren」で、「ノアの足跡をたどる」とかいう意味。あくまで西欧人の視点から書かれた「動物発見史」という側面を持つ本だけれども、「生物学」の発展と合わせてのドキュメンタリーとしても、…

『パリが愛したキリン』マイケル・アリン:著 椋田直子:訳

パリが愛したキリン作者:マイケル アリン翔泳社Amazon この、「19世紀にエジプトからパリへと行ったキリン」については、前に読んでいた『物語 世界動物史』に書かれた「ちょっとしたエピソード」で知ったのだが、「これは面白い」と思ってその史実関係を…

『物語 世界動物史』(上)ヘルベルト・ヴェント:著 小原秀雄・羽田節子・大羽更明:訳

物語世界動物史〈上〉 (1974年)作者:ヘルベルト・ヴェントAmazon とりあえず、まだ上巻を読み終えただけなので、ちゃんとした感想は下巻まで読み終えてから。 著者のヘルベルト・ヴェントはドイツのライターで、特に「動物学」の専門家だったというわけでは…

『知的常識シリーズvol.3 フランツ・カフカ』D・Z・マイロウィッツ ロバート・クラム:著 堀たほ子:訳

前にも書いたけれども、わたしがこの本を購入したのは「カフカ」についての本であるのはもちろん、その挿画をあのロバート・クラムが描いているからだった。 アンダーグラウンド・コミックのカルトな作家としてのロバート・クラムのことを知る人もそれなりに…

『キャッチ=22』(上)ジョーセフ・ヘラー:著 飛田茂雄:訳

キャッチ=22〔新版〕 上 (ハヤカワepi文庫)作者:ジョーゼフ ヘラー早川書房Amazon ようやく上巻を読み終えたが、まだ全部を読み終えたわけではないので、感想を書けるわけでもない。ちゃんとした感想は、下巻まで読み終えてから。 ただ今の時点で何か書く…

『野火』(1952) 大岡昇平:著

野火(のび) (新潮文庫)作者:昇平, 大岡新潮社Amazon この夏に塚本信也監督の映画化した『野火』を観ていたもので、それ以来寝る前に少しずつ読んでいたのを、ようやっと読み終えた。 大岡昇平氏の作品というと、この春に『成城だより』を楽しく読んだものだ…

『シンデレラの罠』セバスチャン・ジャプリゾ:著 望月芳郎:訳

シンデレラの罠 (創元推理文庫 142-1)作者:セバスチアン・ジャプリゾ東京創元社Amazon 刊行されたのは1962年ということで、「推理小説」、「ミステリー小説」としては古い時代の作品だとは思う。この作品は当時「フランス推理小説大賞」を」受賞していて映画…

『エドガー=A=ポー (Century Books―人と思想) 』佐渡谷重信:著

エドガー・A・ポー (Century Books―人と思想)作者:佐渡谷 重信清水書院Amazon もともと、ポオの生涯をもうちょっと詳しく知りたいという気もちから読んだ本ではあり、その先に彼の作品についての納得の行く「解明」があればいいな、というところだったのだが…

『ポオ 詩と詩論』(創元推理文庫)エドガー・アラン・ポオ:著

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)作者:エドガー・アラン・ポオ東京創元社Amazon この巻にはポオの生涯にわたる詩作作品63篇(福永武彦氏が自分の選んだらしい10篇の詩を翻訳し、残りの詩は入沢康夫氏が翻訳)と、「詩論」として『構成の原理(The Philo…

『ポオ小説全集4』(創元推理文庫)エドガー・アラン・ポオ:著

ポオ小説全集 4 (創元推理文庫 522-4)作者:エドガー・アラン・ポオ東京創元社Amazon 収録作品は以下の通り。・黄金虫(The Gold Bug) 丸谷才一:訳 ・黒猫(The Black Cat) 河野一郎:訳 ・長方形の箱(The Oblong Box) 田中西二郎:訳 ・不条理の天使(The Ange…

『ポオ小説全集3』(創元推理文庫)エドガー・アラン・ポオ:著

ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)作者:エドガー・アラン・ポオ東京創元社Amazon 収録作品は以下の通り。・モルグ街の殺人(The Murders in the Rue Morgue) 丸谷才一:訳 ・メエルシュトレエムに呑まれて(A Discent into the Maelstrom) 小川和夫:訳 ・…

『鑑識レコード俱楽部』マグナス・ミルズ:著 柴田元幸:訳

鑑識レコード倶楽部作者:マグナス・ミルズアルテスパブリッシングAmazon 語り手(名前や年齢、職業などまるでわからないが、男ではあろう)は、ジェームズという男と、毎週月曜日の9時からなじみのパブの奥の部屋に集まって、持ち寄ったレコードを聴くとい…

『ポオ小説全集2』(創元推理文庫)エドガー・アラン・ポオ:著

ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)作者:エドガー・アラン・ポオ東京創元社Amazon 収録作品は以下の通り。・ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語(The Narrative of Arthur Gordon Pym of Nantucket) 大西尹明:訳 ・沈黙(Silence) 永川玲…

『ポオ小説全集1』(創元推理文庫)エドガー・アラン・ポオ:著

ポオ小説全集 1 (創元推理文庫 522-1)作者:エドガー・アラン・ポオ東京創元社Amazon 収録作は以下の通り。・壜の中の手記(MS. Found in a Bottle) 阿部知二:訳 ・ベレニス(Berenice) 大岡昇平:訳 ・モレラ(Morella) 河野一郎:訳 ・ハンス・プファアルの無…

『ランボーとアフリカの8枚の写真』鈴村和成:著

ランボーとアフリカの8枚の写真作者:鈴村 和成河出書房新社Amazon 去年の8月に、この鈴村和成氏の『ランボー、砂漠を行く アフリカ書簡の謎』という本は読んでいて、まあ「アフリカ時代のランボー」を書いた本も少ないこともあって、それなりに面白く読んだ…

『世界の終わりの物語』パトリシア・ハイスミス:著 渋谷比佐子:訳

世界の終わりの物語作者:パトリシア ハイスミス扶桑社Amazon パトリシア・ハイスミスが1987年、最後に発表した短編集。でも彼女としてはこのあと、「トム・リプリー」シリーズの最終作『死者と踊るリプリー(Ripley Under Water)』(1991)と、最後の長篇『スモ…

『木になった亜沙』今村夏子:著

木になった亜沙 (文春e-book)作者:今村 夏子文藝春秋Amazon 「木になった亜沙」、「的になった七未」、そして「ある夜の思い出」の三篇を収録。ヤバい。 「木になった亜沙」 仏教か何かの、宗教的な「説話」のように思えた作品。ひとつの「執着」の物語なの…

『こちらあみ子』今村夏子:著

こちらあみ子 (ちくま文庫)作者:今村夏子筑摩書房Amazon 「こちらあみ子」、「ピクニック」、そして「チズさん」の三篇を収録。久しぶりに読み返した。 「こちらあみ子」 わたしには、とっても「恐ろしい」作品に思える。主人公のあみ子は、ストレートに言っ…

『あひる』今村夏子:著

あひる (角川文庫)作者:今村 夏子KADOKAWAAmazon 2011年に、『こちらあみ子』で鮮烈すぎるデビューを飾った今村夏子が、2016年に発表した「第二作」。表題作と「おばあちゃんの家」、「森の兄妹」との三篇の短篇からなる。 先に、このあとに書かれた『星の子…

『星の子』今村夏子:著

星の子 (朝日文庫)作者:今村 夏子朝日新聞出版Amazon 刊行は2017年。先日、大森立嗣監督による2020年の映画を観たばかりだけれども、映画版はこの原作の時系列をちょっといじっただけで、基本的にこの原作小説と同じだ(ただ、映画の方ではさいごの「合同研…

『ベンドシニスター』ウラジーミル・ナボコフ:著 加藤光也:訳

ベンドシニスター (Lettres)作者:ウラジーミル ナボコフみすず書房/東アジア出版人会議Amazon 1947年に刊行された、ナボコフ2作目の英語による長編小説で(ナボコフ全体では11作目)、ナボコフがアメリカに渡ってから初めての作品。ナボコフの中でこの作…

『ヴェネツィアで消えた男』パトリシア・ハイスミス:著 富永和子:訳

ヴェネツィアで消えた男 (扶桑社ミステリー)作者:パトリシア ハイスミス扶桑社Amazon イタリア(ヴェネツィア)が舞台である(タイトルでわかるって!)。主人公のレイはアメリカの裕福な家庭の生まれで、将来画廊と持ちたいとヨーロッパの作家(画家)を探…

『断頭台への招待』ウラジーミル・ナボコフ:著 富士川義之:訳

世界の文学〈8〉ナボコフ (1977年)キング、クィーンそしてジャック 断頭台への招待作者:ナボコフAmazon 亡命ナボコフのパリ時代、「シーリン」のペンネームで1938年に発表された作品(当然、ロシア語による作品)。この作品の次は『賜物』で、1940年にはアメ…