漂流。島が流れて来る。島にはひとりの女がいる。そこに、不思議な、不可解な「生活」がある。「孤」というのは何なのか。問いかけがある。
わたしはこれは「島」というよりも「舟」として観てしまったところがあり、よけいに「漂流」という意識が頭をよぎる。
今、自分はどこにいるのだろうか。自分のよりどころはどこにあるのか。そういうことがわからずに生きるということ。わたしはそういうことを無自覚に、単純に「自分はこのような<地>に住んでいる」「わたしはこの<地>を頼りにしている」として生きているのではないだろうか。
そういうフィジカルな納得を取り払ったとき、わたしの精神はいかにして生きているのか。「孤独」であるということの<崇高さ>、<気高さ>、そして逆に<みじめさ>。そのような中に生きるには<勇気>がいる。
この舞台は、そのような<勇気>について、わたしを鼓舞するような舞台だったと思う。とても刺激的な舞台で、またもういちど観たいものだとも思った。多分、<傑作>だ。