ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

「カタストロフと美術のちから」@六本木・森美術館

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 まずは、「阪神淡路大震災」があった*1。そして「9.11」があり、「東日本大震災」、「フクシマ」があった。世界のディザスターは継続、拡張していて、アメリカでは「トランプ」という妖怪、そしてもちろん日本では、「安倍晋三」という妖怪が米国/日本の秩序を破壊しようとしている。それだけではなく、今では全世界的に「反動/ファシスト的」動きが活発になっている。わたしたちは、そのような情況をただただ眺めているしか出来ないのか?
 もちろん、そのような視点に立てば、この展覧会には、今の時代でいちばんインパクトを持つであろうところの、バンクシーをはじめとした「ストリート・アーティスト」の紹介が皆無だということに「異」を唱えることが出来るだろうと思う。それは例えばバンクシーに「こういう展覧会をやるので、作品を展示させて下さい」ということは不可能なわけで、そういうところにこそ、こういうオーソリティー主催のエクスヒビションの限界がある、ということでもあるだろう。そういうことでは去年公開された映画「ザ・スクエア 思いやりの領域」のことを思い起こされる展覧会でもあった。

 ‥‥つまり、「アートは<免罪符>なのか?」ということでもある。

 わたしはここで、個々のアーティストを批判しようなどとはつゆとも思っていないけれども、「ただ現地に行けばいい」というのは違うと思う。「現地」とはどこなのか、爆心地半径10キロ以内が「現地」なのか? たいていの人が知っているように、「東京」だって「現地」であり、わたしが今住んでいる<柏〜我孫子>地域も<ホットスポット>である。そこから発信する。そういうことだという思いがある。
 個々の作品について語りたいことは山ほどあるし、そういう意味では<いい展覧会>だったのだろうか、とは思う。‥‥わたしは、モナ・ハトゥムの展示スペースでぐるぐると駆け回っていた3〜4歳の子どものことを、きっと忘れることはないだろう。
 

*1:いや、もっと前からさまざまな「カタストロフ」は出現していた。例えば「AIDSパニック」など。