ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『カフカ マイナー文学のために』ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ:著 宇波彰・岩田行一:訳

 この翻訳は1978年刊行のもので、翻訳としては40年以上前のものである。まあ翻訳された時代が古いということは「ありえること」で、そのこと自体を批判する気はないけれども、読んでいるとこれは「日本語」として了解不能ではないのか、という気がする。
 主な翻訳者の宇波彰氏は、おそらくはこの原典を深く理解しておられるのではないかと想像できるのだけれども、その翻訳の文章として読者に伝えようという<努力>が足りないと思う(岩田行一氏はカフカのドイツ語原典への<補助翻訳>)。つまり、日本語として読み直してみて、自分の選んだ「助詞」や「接続詞」が<適切>であるかどうか、再考されていないと思う。かつての研究書の<翻訳>としてありがちの問題だったのかとは思うが、「すでに<1978年>のこと」である。もう<戦後>の西欧リテラシーの直輸入の時代ではない。

 この本を出版した「法政大学出版局」は、2~3年前に、同じ叢書の中でこの書物を宇野邦一氏による<新訳>で再刊されているらしい。潔い決断だと思うし、わたしもその<新訳>で読み直したいと思っている。

 いろいろと思うところのある書物で、ドゥルーズガタリの思考とカフカの「手紙・物語・長編作品」とをリンクさせる重要な書物だとは思うが、この「宇波彰訳」であれこれと書いておくのは、やめておこうと思う。