ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2021-09-04(Sat)

 土曜日。今日はまた、ちょこっと本を読む以外何にもしない一日になった。午後には長い午睡もした。外はこの日も雨が降ったりやんだりしているようで、空は重く暗い。
 今朝のFMの「ウイークエンド サンシャイン」は、先日亡くなられたチャーリー・ワッツを追悼しての特集。ずいぶんと久しぶりにローリング・ストーンズをまとめて聴いてしまったが、特にチャーリー・ワッツのドラムスの音を集中して聴いて新鮮な思いもしたし、安定したドラミング、キース・リチャーズとの絡みなど、やはり素晴らしいドラマーだったのだなあと、今さらながらに認識した。聴いていて面白かったピーター・バラカン氏の話は、チャーリー・ワッツストーンズから加入を誘われていたとき、チャーリーの知り合いだったらしいキンクスのレイ・デイヴィスにカフェでやっていいものかどうか相談し、そのときレイ・デイヴィスに「ストーンズはいいバンドだよ。やればいいじゃん!」と言われて加入を決めたという話。ふふふ。

 今日はそうやって朝からロックを聴いていたので、ロックが嫌いなニェネントくんは和室に逃げてしまっていた。ごめんね。

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 昼食はなんとかアルファ米を使ったオムライスをつくったが、夕食をつくるのが面倒で、近所のコンビニに弁当でも買いに行こうかとしたのだけれども、外に出るのもおっくうで、けっきょくレトルトパックの白米を温め、「チキンとインドカレー」という缶詰のカレーで超お手軽にすませるのだった。このカレー、なかなかに美味だった。

 読んでいる本は相変わらず、引きつづいて『ジェイムズ・ジョイス伝』なのだが、どうしても一日に20ページぐらいしか読めない。書かれている密度が濃いからなのだろうか。とにかくは面白い本だ。
 今読んでいるところでようやく『ユリシーズ』は刊行され、評判が響きはじめるのだけれども、ナボコフが『ロリータ』を出して経済的問題から一気に解放され、スイスのホテルで悠々自適の生活が出来るようになったような、そ~んな大ベストセラーになったわけではない。篤志家からの義援金ジョイス一家はなんとか生活出来ているが、「裕福」になったと言えるものではない(そもそも、ジョイスはすっごい浪費家なのだ)。おまけにジョイスの眼疾は悪化したりするが、ついにジョイスは次作の『フィネガンズ・ウェイク』執筆に取りかかるのだ。

 わたしはその『フィネガンズ・ウェイク』を読んでみようという気もちもほとんどないのだが(「翻訳不可能書物」という意見を信じているのだ)、先日、ジョイスの作品で読んでいない小品『ジアコモ・ジョイス』と『猫と悪魔』とを読んでみたくって、集英社版の「世界の文学」のジョイスとズヴェーヴォの巻を買ったのだった。その中に、その『フィネガンズ・ウェイク』の大澤正佳氏らによる抄訳が含まれていた。
 この大澤正佳氏らによる『フィネガンズ・ウェイク』の翻訳には懐かしい思い出があって、それはまだわたしがガキンチョの頃、ちょっとハイブロウな文芸思想誌の「パイディア」という季刊誌が出ていて、さいしょはシュルレアリスムの特集とかやっていたので買ったのだけれども、その後もモーリス・ブランショバタイユの特集をやっていたわけだ。表紙デザインもよかったし、記事ごとにページの紙の色を変えたりするカッコいい造本で、わたしはそういう「見映え」の良さで買いつづけたのだったが、その雑誌でいつからか、大澤正佳氏らによる『フィネガンズ・ウェイク』の翻訳がちょっとずつ開始されたのだった。そのページを開いたとき、わたしは「これはわたしには読むのはムリだな」とは思ったのだった。はるかにはるかに昔の思い出である。
 そのときの翻訳の一部が、こうやってこの「世界の文学」に再録されていたわけだ。いったいどういうモノかというのを、写真で紹介しましょう。

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 これ、右ページが日本語翻訳で、その左下隅には短い解説が載っている。そして横組みになった左ページ上段は「原文」をそのまま掲載し、その下には「訳注」。つまり「4段階翻訳」というか、まるで大学での講義をそのまま書物にしたような感じである。
 まあそこまでやらねばならぬぐらいに、原著は英語の重層的な読み、そして歴史への隠された言及などに満ちているわけで、つまり教養も低い単なる一読者のわたしには、「こりゃ読めないな」となったわけである。
 でもまあ、せっかくこうやって、その『フィネガンズ・ウェイク』の一部分でもわたしの手元にやって来たわけだから、ザザザッと眺めてみようかな、ぐらいには思っている(いつのことになるやら)。

 さてさて、ネットやテレビでは、「スカ総理の総裁選不出馬」の報道にあふれている。けっきょくはこの8月末から一昨日にかけてのスカ氏の「水面下工作」がすべて「失敗」し、党の重鎮(麻生太郎とか)に蹴られたということだろうが、その背後には無為無策だった「COVID-19対策」、「国民との対話の不在」などへの市民の「不信感」こそがあったことだろう。
 ただ、いったいなぜスカ氏のような、「どこまでもどこまでもどこまでも無能な人物」が国のトップに立ってしまって、しかも1年間もその座に座りつづけたのかを問わなければならない。
 スカ氏はその前の安倍氏を引き継いで首相になったわけで、その政治姿勢は思いっきり安倍氏の政策を引き継いでいた(ただし、相当に劣化したかたちでだが)。
 ここで自民党総裁(=日本国首相)がスカ氏以外の人物になっても、そういう安倍時代、スカ時代の政治構造を引きずるのでは意味がない。もちろんここでいちど自民党は次の衆議院選挙で惨敗して下野すべきなのだが、このスカ氏の不出馬で、自民党は持ち直してしまうのではないかと危惧している。

 とにかくわたしを含め、多くの人たちが今の政府の「COVID-19」対策に危機感を持っている。次の政権を自民党が継続するにせよ別の野党(立憲民主党なのか?)が政権を奪還するにせよ、まずはマジにまともな「COVID-19」対策を早急に実施してほしい。