1944年12月に始まるこの作品の主人公は連合軍情報局員のタイロン・スロースロップで(だと思う)、「はたしてイギリスにおいて、スロースロップはドイツのV2ロケットの落下地を無意識のうちに認識しているのか?」ということがさいしょの大きな問いかけ。第1章ではこのことをめぐって、特殊作戦執行部の人間、「ホワイト・ヴィジテーション」という謎の機関の人物らが暗躍する。ごちゃごちゃとした複雑なサブ・ストーリーが入り乱れ、読んでいても「はて?今わたしが読んでいるのは何の話?今出てきた人物は誰?」とたびたび迷子になってしまう。
第2章以降になるとドイツは連合軍に降伏していて、ベルリンは<連合国>と<ソヴィエト>との分割統治になっている。そのベルリン周辺を舞台にナチスの残党、ソヴィエトのスパイ、さらに前作『V.』にも登場した南西アフリカの「ヘレロ族」の人間、そしてスロースロップらの「影の闘争」が激化するのであった。
とにかく、もうちょっと詳しく書こうとするといくらでも長く書けそうな気がするし、そうすると、「あれ、あのことはどういうことだっけ?」とわからなくなり、自分がいかにこの本を理解していないかということも、自分のなかであらわになってしまう。
だいたい、ネットで読んでも「この本は3回読まないとわからない」とか「7回読んだ」などという読書体験談がいろいろ出てくるわけで、そもそも1回読んでわかった顔をするのはムリっぽい。
そもそもこのピンチョンの文章、学術書っぽい記述から歴史書、高踏文学、ポルノグラフィー、ナンセンスでコミカルな描写へと自在に変化していくわけで、しかも長いセンテンスの中で書かれている対象人物がいつの間にか変わってしまっていたり、まるでこちらの読書力を試されているようなものである。しかもこの作品、登場人物は400人にも及ぶといい、一回きりしか登場しない人物もあれば、それこそ「忘れた頃に」再登場してくる人物もある。
そういうわけで、読んでいて登場人物の名前を記憶しておくのもなかなか大変で、あとになって「あれ?この人は前に出てきたな?」なんてことになるが、そのときにはどんな人物だったのかなんて記憶になかったりする。逆に、読んでいて「この人物は重要人物だな」という熱のこもった記述で「この人物のことはこころに留めておこう」と思っていても、そのあとまったく登場しなくなってしまったりする(下巻になってまた登場してくる可能性はあるが)。
日記の方に書いたように、やはり「その日に読んだところはその内容をメモ的に記録しておくべきかな」とは思う(そもそもわたしの記憶力があまり良くないわけで)。
そういうことはいちど通読してしまったあと、2回目に読むときにはやってみようとは思うのだった。
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