『勝手にしやがれ!!』第４作。今回の脚本には塩田明彦が黒沢清に協力しているが、正直言って、今までの「非現実」なナンセンスな面白さはちょっと希薄になってしまったように感じてしまう。
オープニングは前回第３回と同じで、雄次の住まいの「託児所」あとで雄次が食事をしようとしているところに、チャリンコに乗った耕作がやって来るのだ（しかしこれはあくまで「オープニング」で、ここから話が始まるというわけではない）。
たばこ屋の看板娘のサツキ（仁藤優子）に惚れてしまった雄次だったが、進展はしない。そんなとき、耕作が町内会の福引きを２回引き、１枚は一等のウォークマンを引き当て、もう１枚は特賞の「ハワイ旅行ペア券」が当たる。雄次はそのウォークマンを巻き上げ、サツキにあげようとして多少は仲も進展し、サツキの父親の杉山（河原崎健三）とも知り合いになる。
今回は耕作がやたらツキまくり、逆に雄次は運に見放される回。しかし雄次が競馬ですって川べりのベンチで寝転がっていると、目の前にヤクザらしい男、黒川（下元史朗）がフラフラとやって来て、雄次の前で倒れて気を失うのだ。雄次がその男の持っていたカバンを開けてみると、中には札束が詰まっていた。一千万円だ。
雄次はカバンをかっさらって持って帰り、ベッドの下に隠しておく。しかし黒川が雄次の居所を突き止め、「別のヤクザの組、銀星会に収める上納金だったのだから返せ」と迫るのだったが、雄次がベッドの下に隠したカバンはそっくり姿を消していた。
銀星会の連中も黒川を追って来て、雄次といっしょに逃げるのだったが、実はカバンを盗んだのは杉山だった。杉山は「競馬で金を増やして元金は返せばいい」とサツキを連れて競馬へ行き、何とサツキは一千万円すべて一点買いしてしまい、ぜんぶスッてしまったのだった。
すったもんだあって雄次と耕作が銀星会の連中にとっつかまり、処刑されそうになるとき、銃を持った黒川が助けに来て銃撃戦になり、銀星会の連中は皆撃たれてしまうのだった。しかしここで、実は耕作がこのとき買った馬券が「大穴」的中で、一千万になっているのがわかり、無事に黒川に返却するのだ。
「ハワイ旅行券」を耕作から譲り受けた杉山とサツキは、ハワイの「ペリカンレース」で大勝ちしたらしく、ハワイへ移住するのだった。
どうも、このシリーズに登場するマドンナたちは皆、かわいいのだけれども金銭感覚がないというか、ぶっ飛んでしまった女性ばかりである。
今回は耕作の「一人勝ち」の回だったが、耕作はぜったいに自分のモノにしてしまわないのだ。負けてばかりの雄次、それでもマドンナにつくそうと頑張る姿は、ちょっと「寅さん」に似ているのだった。
作品の中で雄次と耕作が隅田川の橋を駆け抜ける場面で、二人がちょうど橋を渡ったところで、橋のたもとにいた百羽余りのハトが合わせたようにいっせいに飛び立つシーンがあり、まあ「演出」ではないとはいえ、見ていて「おお～っ」と、声をあげてしまった。
