- 発売日: 2018/12/04
- メディア: Prime Video
ウィンド・リバーというのは、ワイオミングに実在する「ネイティヴ・アメリカン（インディアン）居留地」の地名。冬は雪に覆われる厳寒の地である。
この地で家畜を襲うピューマなどの駆除を行うハンターのコリー（ジェレミー・レナー）は、雪の中に倒れているネイティヴ・アメリカンの少女の死体を発見する。居留地警察署長はＦＢＩに捜査を依頼するが、現地の気候に不釣り合いな軽装でやって来たのは、新人捜査官の若い女性、ジェーン（エリザベス・オルセン）だけだった。「一人では手に負えない」と判断したジェーンは、コリーに協力を依頼して、以後二人は組んで捜査に当たる。
コリーの別れた前妻もネイティヴ・アメリカンで、二人の娘もまた３年前に殺害され、事件は迷宮入りしていたし、娘は今回殺害された少女と友人でもあった。
画面が白一色になるような雪に覆われた土地での捜査、その寒さがひしひしと伝わってくるような映像で、捜査の中でネイティヴ・アメリカンの若者の不良グループ、近隣の掘削所で労働する男たちの存在などがあらわになってくる。
産業も、そして娯楽もない土地に押し込められたネイティヴらの不満やるかたない気もちは、冒頭にちょっと写る「逆さに掲揚された合衆国旗」にあらわされていただろうか。ラストにテロップで「この種の、ネイティヴ・アメリカンの女性への事件の実数は把握されていない」とも知らされる。
事件を解決するミステリー、サスペンスとしての理詰めの展開はけっこう面白く、ジェーンの活躍ぶりもいい感じである。いちおう解決はするこの事件の「決着のつけ方」もシビアなものだ。コリーの語る、「ここでは生き残るか諦めるかしかない」という言葉も重たい。
ただ、３度ある銃撃戦というか入り乱れての「山場」がどれも、タランティーノ的というか似たような演出だったのが、終わってみれば残念だった気もするし、ジェーンがある場所をノックして、そこに出ようとする男の映像が時制が異なっているというのは、『羊たちの沈黙』以来おなじみの演出ではあっただろう。
