ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『世界の名著 プルードン・バクーニン・クロポトキン』より『十九世紀における革命の一般概念』(1851) ピエール・ジョゼフ・プルードン:著 渡辺一:訳

 1809年にフランス東部で生まれたプルードンは、8歳の頃から働きながら勉学に勤しんでいたらしいが、19歳からは学業をあきらめ、印刷所の校正係として働き始めたという。以後は校正係としての仕事から得る知識など、独学でさまざまな知識を身につける。
 1840年には『財産とは何か』を著し、「財産とは盗みである」との過激な断定で評判になる。1846年には『貧困の哲学』を刊行するが、それまでプルードンのことを「彼の著作はフランス・プロレタリアートの科学的宣言」と賞賛していたマルクスと、この頃から軋轢が生じるようになる(マルクスは『貧困の哲学』を批判して『哲学の貧困』を発表する)。
 プルードンは1848年の二月革命に参加し、以後「人民」「人民の声」などの新聞を発刊、「人民銀行」を実現しようとするが、大統領ルイ・ナポレオンを自分の新聞で攻撃したために3年間獄中の人となる。この『十九世紀における革命の一般概念』は、その獄中にて著されたものである。
 獄中にあったとはいえけっこう自由にやっていたようで、この本を刊行したり、新聞の発行も獄中からつづけているし、獄中生活のなかで結婚し、子供ももうけているのだ。

 さてこの『十九世紀における革命の一般概念』だが、内容は1789年からのフランス革命以降、1850年当時までのフランスの政治的情勢を総括する、まことにジャーナリスティックな書物ではある。大きなバックボーンとして「ジャン=ジャック・ルソーへの批判」というものがあるとはいえ、あくまでも「情勢の分析」に主眼のある書物で、「プルードン自身の望む世界観(=「アナーキズム的世界観」)」の記述というものを読み取るのは難しい。そういう意味で「無政府主義の父」とも呼ばれたプルードンの、無政府主義的な思想をこの書物に求めようとすれば、「大きな大きな失望」を味わうことであろう。
 ただひとつ、わたしが「ここは」と興味を持ったのは、彼が「結社の自由」ということにも疑念をさしはさんでいることで、まあたいていは「結社の自由」がダメだなんて、そりゃ何て反動的な考えだ、などと思われるかもしれないけれども、「自由」というものに最大限の価値を置くプルードンにとって、「組織」というものは「自由」の障害にしかなり得ないのだ。それはある意味「個人主義」でもあるけれども、マルクスの説く「共産主義」への根源的・普遍的疑念ということはできるだろう。
 そのことを読み取っただけでも、苦難の末に読み終えた価値はあったのだろうか。わたしの読解力があまりに低い、ということでもあっただろうが。