ウチを出た近くのお宅の玄関のそばで、いつも見かけるワンコ(秋田犬だと思う)に出会った。相変わらず、ちょっと哀愁のただようイイ顔をしているなあ。わたしの大好きなワンコである。
今になってようやく、めっきり秋らしい気候になったみたいだ。今日は午前中に内科クリニックへ行き、処方箋をもらい、その帰りに北のスーパーまで足をのばした。特に今必要な食糧もないし、ただニェネントくんの猫砂だけを買って帰った。猫砂はけっこう大きいし、ストックしておけるから、ほかにあまり買うものがないときにこそ買うのがいい。
帰宅してテレビを見ていると、先日「ノーベル経済学賞」を受賞したダロン・アセモグル教授、ジェームズ・ロビンソン教授、サイモン・ジョンソン教授の3人の解説をやられていた。
正直、わたしは「ノーベル経済学賞」というものに興味の持ち合わせはなかったのだけれども、そのテレビを見ていると今回の授賞理由は「ヨーロッパの植民地で導入されたさまざまな政治・経済制度を検証し、国家間の繁栄に大きな差があることについて、社会制度の根強い違いが1つの重要な原因になることを明らかにした」ことによるという。
特にアセモグル氏とロビンソン氏には『国家はなぜ衰退するのか』という共同著作があり、この本はかなり以前の2013年に邦訳の文庫本も出ているそうなのだが、今その本がベストセラーになり、品切れなのだという。
調べてみたのだが、このダロン・アセモグル氏は受賞後の記者会見で「先進国で民主主義への支持率が低下していることに警鐘を鳴らし、労働者階級の信頼を取り戻すべきだと主張。社会の分断をあおる悪質なネット交流サービス(SNS)から脱却し、健全なコミュニケーションを取り戻すことが重要だ」と訴えたのだという。
先進国で多くの人が独裁政権の支配を容認したり指示したりするようになっていて、社会の二極対立をあおるSNSが民主主義の障害になっていると。彼はSNSの貧困化したコミュニケーション空間を「現代の最悪の罪」と批判し、人々がそれらから自らを解放することにより民主主義が回復力を発揮するとの見方を示したというのだ。
SNSがヤバいということはわたしも認識していたことだが、例えばYahoo!ニュースの「匿名掲示板」であるコメント欄の存在があるし、(わたしが目にしていないだけの)数多くのSNSがあることだろう。そして何より、イーロン・マスクが「Twitter」を買収し、「X」として半ば私物化していることも大きな問題だろう(わたしがやっているブログだって、ヤバくないこともないだろう)。
そういうところで、このダロン・アセモグル氏の訴えはわたしには合点のいくものではあった。
そしてどうやら『国家はなぜ衰退するのか』という本、「権力者が民衆を搾取する収奪的政治制度の国家は衰退するわけで、ではどのような国家が成長するのか」というようなことを世界史の流れの中から読み解いたものらしい。まあ「権力者が民衆を搾取する収奪的政治制度の国家は衰退する」というのは至極当然のようにも思えるが、わたしの考えでは権力を集中させる「国家」というものはいずれ暴力的に機能するようになり、腐敗するものであろう。今の世界中の国家はどこも、多かれ少なかれ「腐敗」していることに変わりはないだろう。資本主義国家はかんたんにいえば「大資本を持つものがさらに大きな富を得る」システムになっているし、共産主義国家には指導者以外の個人の自由は抑圧されているわけだ。また、主義の違い、宗教の違い、そして大国の覇権主義的な動きなどで国家と国家とが互いにけん制し合う場合、軍事的な衝突ということが世界平和を大きく乱すことになる。
それは隆盛期には民主主義も機能して理想的な成長をみせる国家というものもあるのだろうが、ではこの世界の歴史なんて、いつまでもそんな「栄枯盛衰」の移り変わりでしかないのか、という根本的な問題があるだろう。
例えばイマヌエル・カントは『永遠平和のために』で、この問題の解決を望んだだろう。
そして何よりも。共産主義と同じく「労働者運動」としてスタートしたアナーキズムは、そのスタート時から共産主義の「全体主義化」を見越していたし、「非強制的な社会」を目指し、まさに「権力機構としての国家組織」を否定しようとするのだった。
わたし自身ずっと、アナーキズムについては大きな興味を持っていて、いろいろと本を読んだりもして来たし、例えば今の文学作家や映画作家には、バックにアナーキズム思想があるのではないかという作家も多いと思う。
そういうわけでわたしも、この『国家はなぜ衰退するのか』という本には興味を持ち、読んでみたいとは思うのだった。
う~ん、今はこの本は「品切れ」だというが、どこかしらに残っていたりはしないものだろうか。明日はとなりの駅に映画を観に行くので、その帰りにでも駅前の大きな書店に立ち寄ってチェックしてみたいと思う(どうせ「品切れ」だろうが)。
そんなこんなで、今いちばん不安をおぼえることは、明後日の衆議院選挙で自民党が大敗し、それはいいのだけれども石破首相が退任し、自民党が政権を維持したまま代わりに高市早苗が首相になるという筋書き、そしてアメリカでトランプが大統領になってしまうという悪夢だ。