ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ゴジラ2000 ミレニアム』(1999) 大河内孝雄:監督

 ついに先代ゴジラが死んじゃってから4年。この間1998年にはローランド・エメリッヒ監督によるハリウッド版『GODZILLA』が公開され、その大きなトカゲっぽい容姿には観客皆が違和感を抱いたのだった。ここで東宝プロデューサーの富山省吾は「本家のゴジラはちゃうんやで~」という差異を出そうと、東宝ゴジラの新作映画を製作することに踏み切ったのだった。製作費も今までになく思いっきり注ぎ込み、内容もこれまでのゴジラシリーズをリセット、1954年の第一作『ゴジラ』からつながるものとしたらしい。
 監督は「平成ゴジラシリーズ」で3作を監督した大河内孝雄が選ばれ、特技監督は前年に『モスラ3 キングギドラ来襲』でデビューした鈴木健二が担当した。脚本は『ゴジラvsスペースゴジラ』の柏原寛司と『ゴジラvsメカゴジラ』の三村渉との共同執筆となった。

 第一作『ゴジラ』からつながるものということだけれども、もうゴジラの日本襲来に対する対策は構築されていて、「ゴジラ予知ネットワーク」なる組織もあるようだし、自衛隊内にも「対ゴジラ」兵器は開発されている。おそらくは第一作の「オキシジェン・デストロイヤー」の「必殺兵器」のことはなかったことにされているのだろう。
 わたしなんか、それだったら(『ゴジラ-1.0』みたいに)「人々とゴジラとの戦い」をじっくりと見せてくれることを期待したのだけれども、そうはならず、今までのシリーズで何度も見られた、「困ったときには宇宙人」という展開が繰り返されたのだった。またかよ!
 今回は、6千万年も前に飛来して海底に沈んでいたUFОが再び起動し始めたという設定なのだが、「宇宙人」というのは登場せず、そのUFО自体がひとつの「生命体」みたいなもの。これが今見るとものすごく稚拙なCGでその姿を変えながら、最終的に「ゴジラのエネルギーを吸い取ろうとする」オルガという、「こりゃあどう見ても怪獣だよね」という姿になってしまう。なんか、せっかくの「宇宙生物」なんだから、今までの「怪獣」とは異次元の姿を見せてほしいとも思ったのだけれども、そのあたりが「どうしても怪獣にこだわる」東宝特撮映画の限界なのだな。

 冒頭、根室に登場するゴジラの姿はかなり迫力があって、ちょっと『ゴジラ-1.0』での「ゴジラ銀座襲撃」シーンも思い浮かべたのだけれども、けっこう自衛隊の防御・反撃も頑張っていたと思う。
 それでラストは新宿での「怪獣バトル」になだれ込むけれども、前作『ゴジラvsデストロイア』のようなセットの広さを生かした立体的な映像でもなくって見あぐねてしまったし、ここで人間たちはビルの上から「ゴジラとオルガとの対決」を観戦するだけの、ただのギャラリーに成り下がってしまい、見ていても「ただ指をくわえて見てるだけでいいのかよ!」とシラケてしまうのだった。

 ここから「ミレニアム・シリーズ」というのが始まるらしいが、そのしょっぱながこ~んな作品だと、何だかまったく期待が持てなくなってしまうのだ。
 ただ、ラストのゴジラは「人間たちはオレをいじめやがって!」とばかりに、新宿の街を徹底的に破壊しているところで「THE END」となり、今までにない「ディストピア」なエンディングだなあ、とは思ったが。