ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ゴジラ対メカゴジラ』(1974) 中野昭慶:特技監督 福田純:監督

 東宝としては、去年の暮れに公開した特撮映画『日本沈没』が大ヒットしたこともあり、「東宝の特撮映画ということで一般客が流れてくることが見込める」と考えたらしく、これまでのゴジラ映画の「お子さま路線」から脱しようとしたらしい。じっさい、前作『ゴジラ対メガロ』は、シリーズ中最低の観客動員数でもあったようで、そういうところでも、もう「お子さま路線」は終わりにしようと考えられたようだ。
 相変わらず予算は苦しかったが、「ゴジラ20周年」ということで若干予算も上積みされたともいう。そういう「脱・お子さま映画」というところからか、平田昭彦、小泉博、佐原健二、そして岸田森ら、往年のゴジラ映画、東宝特撮映画に出演したメンバーが出演している。
 今回は翌年開催予定の「沖縄海洋博覧会」にも絡め、沖縄を舞台とし、新しい怪獣にはじっさいに沖縄で「魔除け」にされている「シーサー」をもとに「キングシーサー」を誕生させた。
 そんな「沖縄の伝説」みたいなものをストーリーに組み込むためか、今回は原案に福島正実の名前が見られる。

 ストーリーはもはや定例化した「宇宙人」との戦いになったが、その宇宙人との「シーサー像」の奪い合いという序盤から、まさに「サスペンス・アクション」的な展開となり、出演者ら「人間」のアクションシーンも(いちおう)見せ場となった。
 まあ「突っ込みどころ満載」ではあったけれども、場所を変えながらのアクションの連続は、いい展開だっただろうか。
 今回の宇宙人は「大宇宙ブラックホール第三惑星人」っつうヤツで、人間に化けてはいるがその正体は『猿の惑星』の猿にクリソツ。地球侵略にあたり地球最大の敵である「ゴジラ」を研究し、巨大ロボット「メカゴジラ」を建造していて、その基地は沖縄の観光スポット「玉泉洞」につくられているのだった。

 映画冒頭、ゴジラが現れてまずはアンギラスと戦う。「あれ? アンギラスゴジラの盟友・舎弟ではなかったっけ?」と思うわけだが、そのゴジラアンギラスの口を裂き、流血させて退場させる。ありゃりゃ、ありゃあ助からないな、というドイヒーな重傷だ。するともう一頭のゴジラが登場し、そのゴジラと戦い始めるのだが、戦っているうちに先のゴジラの皮膚がはがれ、その下は金属のボディの「メカゴジラ」なのであった。「第三惑星人」の設計にもかかわらずメカゴジラは故障するようだし、元祖ゴジラは海に転落して姿を消す。

 それで沖縄では古代遺跡が発掘され、そこからシーサー像と文献が見つかる。その文献を解読すると、「怪獣が現れて世界を滅ぼそうとするが、2頭の怪獣があらわれて世界を救う」というのだった。
 その世界を救う2頭の怪獣の1頭は、沖縄に言い伝えられている「キングシーサー」なのだろう。そのキングシーサーの復活に、一緒に発掘されたシーサー像が関わるみたいで、第三惑星人もそのシーサー像を奪取しようとするし、インターポールも絡んでくるのであった。
 一方で第三惑星人らは自分らがつくったメカゴジラの修理もできないボンクラらしく、沖縄に来た宮島博士(平田昭彦)を拉致して、メカゴジラの修理をさせるのだった。
 復活したメカゴジラは、やって来たゴジラと戦い始めるのだった。

 とかなんとかやってるうちに、「モスラ」で言えばザ・ピーナッツが「モスラの歌」を歌ってモスラを呼んだように、ここでは沖縄人の女性が海岸にたたずみ、まるで歌謡ショーが始まったように、長い長~い「祈りの歌」をフルコーラスで歌うのだった。すると岩山の中からキングシーサーがついに姿をあらわし、ゴジラを助けるため格闘技に参入するのであった。う~ん、見ていてもこのキングシーサーの働きはイマイチ、「怪獣新メンバー」の割には活躍度はかなり低いのだった。

 なんかもうこのあたりになると、あまりに連続して見すぎたせいか、「ガイガンってどんなんだっけ?」とか「メガロ?」とかわからなくなってきた。出てくる宇宙人もどれがどれだったことやら。
 しかし、そんな「昭和ゴジラシリーズ」もあとは『メカゴジラの逆襲』を残すのみ。そのあとは9年間のブレイクをおいて、原点のシリアス路線に戻った『ゴジラ(1984)』になる。もう一本がんばって見れば、そのあとはまた新たな気もちで見ることも出来るだろう。