ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2024-05-05(Sun)

 そろそろ今年の春の連休もおしまい。今日はわたしはとなり駅の映画館へ、濱口竜介監督の新作『悪は存在しない』を観に行くことにした。考えてみたら、これがわたしのこの連休の唯一の「お出かけ」なのだ。
 朝10時10分の上映回に合わせ、だいたい1時間前に家を出た。この日も空には雲ひとつ見えない好天だけれども、先日のように「真夏日」になるような暑さにはならないようだ。
 いつものように、ドリンクとしてウチの近くの自販機で缶のカフェラテを買って行く。この自販機は、たいていのものがどこよりもいちばん安く売られているのだ。

 電車に乗って、映画館に到着。この日は、上映スクリーンの前のロビーはけっこうな数のお客さんが開場を待っていた。じっさいのところ、『悪は存在しない』は評判にはなっているけれども上映館は少なく、東京も渋谷と下北沢の映画館の2館だけ、千葉もやはり千葉市とココの2館。だからこの映画館に普段くるお客さん以外にも、けっこう遠方からやってくる人もいることだろう。ましてやこの日は連休中でもあるし。開場して入って来た人の数は50人以上はいただろう。今までわたしがこの映画館へ来た中で、もちろんいちばん多い人数だ。

       

 ‥‥上映開始。ここでわたしはエライことに気づいてしまった。映画の中で登場人物がしゃべるセリフが、聴き取れないのだ。まあ普通にしゃべる声は聴こえるのだが、この映画がまた登場人物がボソボソとしゃべってばかりいるのだ。
 上映時の館内でのボリュームが低すぎるのではないかとも思ったが、み~んな(見たわけではないけれども)平気な顔してスクリーン観ているし、わたしが聴き取れなかったところで笑ったりしている。明らかに、わたしだけ聴こえてないのだ。

 考えてみたらこのところ、わたしは人としゃべることなどまるでなかったし、スーパーなどでレジの人のしゃべる声はちゃんと聴き取れていたのだが、近くの内科クリニックへ行ったとき、医師がぼそぼそとしゃべるのが聴き取れなかったことはある。それでも医師がわたしと面と向かって語る言葉はちゃ~んと聞き取れていた。
 これは帰宅後に調べたのだが、「では最近映画館で邦画を観たときはどうだった?」と調べると、まずは『ゴジラ-1.0』だったし、それから『君たちはどう生きるか』だった。それはどちらも今日の映画館とは違う映画館だったけれども、聴き取れないということはなかった。今日の映画館では、去年の9月に『福田村事件』を観たが、そんな不具合は感じなかったわけだ。つまり、この最近になって急にわたしは「難聴」になったのだろうか。それで確かに、帰宅してみると「耳鳴り」もかなり激しいな、と思うことにもなったが。

 「難聴」について調べると、「加齢性」の難聴というのは、65歳以上の人の三分の一の人で該当するとも書かれていた。
 これはちょっとショック。まあ今のような生活をつづけている限り、特に不具合があるというわけでもないが、こうやって映画館で映画(邦画)を観るときには困ってしまう。医者に行ってもしょうがないことだろうから、補聴器でも買いますか。

 そういうわけで、今日観た映画のことをしっかり理解したかというとそういうことも言えないが、それなりにストーリーは追えたし、自分なりの「感想」も持つことになった(でも、もう一度耳の問題をクリアして観てみたいものだが)。

 映画が終わり映画館を出て、駅前でちょっと買い物をして自宅駅へ。今日も「今まで歩いたことのない道を歩いてみよう」というミッションを遂行すべく、いつもの「跨線橋」を渡る道を歩かず、ウチの南に東西に延びる丘陵に沿った道を歩いてみた。くねくねと曲がりくねった道で、左側にはその丘陵、右側は畑が拡がっているけれども、その畑の向こうには、いつも「ふるさと公園」へと歩く手賀沼沿いの道がある。
 丘陵を覆う雑木林、竹やぶは鬱蒼としているが、この上には先日書いた古墳や城跡があるはずなのだ。

     

     

 車が通ることもないし、「野趣に富んだ」というほどでもないけれども、歩いていると「散歩しているなあ」という気分にはなる。

 帰宅してから、観てきた『悪は存在しない』のことを考えたり、「難聴」のことを調べたりする。
 6時からはテレビの番組「世界遺産」を見る。この日はネパールの「チトワン国立公園」の特集。この地域には実に多くの絶滅危惧種が生息していて、実は「コロナ禍」でしばらく人が立ち入らなかったため、そんな絶滅危惧種の動物たち、数はいくぶん増加傾向にあるらしい。
 ベンガルトラ、インドサイ、イリエワニ、そしてナマケグマなどなど。インドサイが現地の街なかに現れる姿にはおどろいたが、現地ではよくあることなのだという。これも生息数が増加して来たおかげなのだろう。
 ちょっとこの日観た映画『悪は存在しない』のことを考えたりした。

 そして7時半からは「ダーウィンが来た!」。この日は「オカヤドカリ」の特集だった。
 オカヤドカリは、エビやカニと同じく「十脚類」に分類されるのだが、殻の外に出ている脚は3組6本で、残りの2組4本は殻の中で独自の役割を果たしているのだ。1組はヤドカリの体を殻の中で支える役目で、もう1組は体のお掃除などをする。
 その眼柄の先の「黒目」に見える部分とか、ちょこまかと動く様子とかかわいらしいのだが、日本のオカヤドカリは「天然記念物」に指定されているというのに、一般に飼育することが可能なのだ(調べたら、1匹300円から1000円で売られているようだ)。温度にさえ気をつけていれば比較的飼育は容易で、、けっこう長生きもするらしい。ただ、卵は海中に放たれてプランクトンとして成長するらしいので、一般人がオカヤドカリを繁殖させることはムリなのだ。

 そのあとは寝る前にナボコフの『偉業』を読み始めるが、やはりナボコフ独特のオリジナルな比喩や、もってまわったような文体は読んでいて楽しい。