日本を横切って行った(元)台風は衰弱して「温帯低気圧」に格下げされたのだけれども、そのまま東の彼方に消えて行くのではなく、今はしばらく千葉の東の沖に停滞しているみたいだ。
そのせいで天候が崩れるというのでもないけれども、おかげでこのあたりにも「北風」が吹き込んでくる。まあ気温は7月らしくもある程度高いのだけれども(それでも先週のように「猛暑日」が連続する、ということでもない)、外を歩いてそういう「北風」に吹かれると、けっこう爽快な気分にはなる。
家を出て駅へと歩くと、これから昇ってくる朝日の光を浴びて、雲が明るく輝いているのが見えた。イイ感じだ。
それでも、屋内とかに入ると湿度は高いわけで、ムシムシとした不快感というのはあるようだ。
今日は仕事の帰りにひと駅乗り越して、駅前の大きなスーパーで買い物をして帰る。これから夏本番。下着と吸汗効果の大きいというTシャツなどを買い、食品売り場では今まで買ったことのないコーヒー(カフェオレ)のペットボトルを買う。これから仕事の合間に、どんなドリンクを飲むかということは、わたしには重大な問題ではある。
それで売り場の通路の真ん中に「ところてん」がいっぱい置かれていたので、「ところてん、いいねえ」と買ってしまう。
久々にブロッコリーなども買い、冷蔵庫には牛乳もあることだし、今夜は「クリームシチュー」にしようか。
そのブロッコリーの売り場で、けっこう年配の男性が二人、「あっちの方が大きい」とか、いつまでもブロッコリーをとっかえひっかえ手に取って、大きさを比べていらっしゃるのだった。かなり長い時間執拗に比較されていて、「そんなん、秤(はかり)でも持ち込んで測ってみなきゃあわかんないよね!」とか思う。ちょっと「コレ、デカそう!」って思ったら、それでいいじゃん!とか思う。
帰宅してちょうど1時。テレビをつけると、驚愕のニュースが報道されていた。
現在の参議院選挙の終盤戦(明後日が投票日)で、奈良県で応援演説をしていた自民党の安倍晋三元首相が、聴衆にまぎれていた男に後ろから銃撃され、「心肺停止」の状態なのだという。狙撃した41歳の男性は直後に取り押さえられているが、その生々しい映像が何度もテレビで流されるのだった。
事件の一部始終はテレビ局も撮影していたようだし、一般の方々がスマホとかで撮影した動画も、続々とテレビで放映される。
すっごいショックだった。
わたしは幼いとき、小学校から帰宅したときに母が「大変よ!」と言っていたのが、そのときリアルタイムで放映されていた、社会党の委員長の浅沼稲次郎氏が「右翼青年」山口二矢(やまぐちおとや)に刺殺された瞬間なのだった。それはそのときの記憶ではなく、あとで見た写真で、浅沼氏のずり落ちるメガネや、犯人の山口二矢の刃物の構えがあまりに堂に入っていたことなど、今でも鮮明に記憶している。
そのあとも、「ケネディ大統領暗殺」の瞬間の映像なども見ているが、今回の事件で、夕方になって民放で放映された映像で、犯人がしっかりと銃(手製?)を構え、迷いなく安倍氏の背後に迫って銃を発射するシーンはあまりに衝撃的だった。
犯人は2発銃弾を発射していて、放映された映像は弾が逸れた「1発目」までの映像で、そこで安倍氏が犯人の方を振り向くところまでのものだった。
安倍氏は夕方5時には病院で死亡が確認されたのだが、その安倍氏に命中し、「致命傷」となった2発目の銃撃の映像は、当然オリジナルでは撮影されていたことだろうが、テレビ放映はされない(そりゃそうだろう)。
安倍氏死亡後の医師の記者会見では、致命傷は左右鎖骨に的中した銃弾によるもので(銃弾は体内で屈折したのか、心臓も大きく傷つけていたらしい)、止血処理、輸血処理もかなわなかったという。
おそらく、1発目の銃弾発射音で犯人の方を振り向いてしまった安倍氏は、2発目の銃弾を真正面から胸の上部に受けてしまったのだろう。映像を見ても、犯人の「落ち着いた」的確な射撃には驚かされたものだったが。
ネット上では「SPが仕事していない」という声が大きいが、これは安倍氏の背後の警備をさいしょっからなおざりにしてしまっているわけで、そもそもが「そんな銃撃」が起きるなどこれっぽっちも想像もしていない警備陣の中、防御は不可能だったかと思う。
わたしはこの報道をさいしょに見て、「これは犯人は<右翼>だろう」と思ったのだったが、じっさい犯人は20年近く前に海上自衛隊の隊員だったことも判明し、「やっぱり」というところだったが、どうもその後の犯人の供述では、犯行の動機は「政治的なモノ」ではなく、「宗教的なモノ」だということらしい。まあこのことは、今すぐにどうのこうのと言えることではないが、とにかくは今ヤフコメなどにあふれている「犯人はやはりサヨク」などという妄想は回避されそうだ。
おそらくはこれから、政府要人などの出席するオープンな場でのイヴェントの警備は厳しくなることだろうが、そこまで大きな「転換」はないだろうと思う。
明後日の「参議院選挙」でおそらくは「大勝」するであろう与党が、この「事件」を契機に「反体制運動」を締め付けるということもないだろうとは思う(まあきっと、そういうことを大きな声で叫び出す与党議員は出て来るだろうけれども)。ただ、安倍氏が大声を上げていた「日本の防衛」問題において、安倍氏らの唱えた過激論は多少は声を潜めるだろうか(そう期待したい)。
今書けることはこのくらい。今日はちょいちょいと読んでいた『ポオ小説全集』の「1」を読み終えた。やっぱり来週からは、「2」を読むのだろうか。