金曜日の仕事の帰りに、知り合いのアーティストが個展をやっている日暮里のギャラリーに行ってみようか、とは思ったのだったけれども、なんだかんだ理由をつけて行かないでまっすぐ帰宅したわけだった。
その個展は今日までで、天気もとってもいいことだし、「やはり行ってみようか」と思った。なんだか、このところはずっと自宅と職場を往復するだけの生活だし、知り合いの個展や展覧会に出かける機会も少ない。
日暮里ならば職場への経路途中だから定期券で行けるわけだし、そのギャラリーのこともだいたい知っているし、実はわたしは日暮里~谷中周辺に昔住んでいたこともあり、土地勘があるというか、ギャラリーに行くと同時に周囲の街並みを見たり、周辺を歩いてもみたい。それでまたこの日も出かけないでウチでゴロゴロしてしまうと、あとで「オレは何をやってるんだ」と後悔することだろうし、無理しても出かけることにしたのだった。
いつもより早く、3時ちょっと前にニェネントくんの夕食を出してあげ、「ちょっとお出かけしてくるね~」と家を出た。「西日暮里」駅で降り、千駄木~日暮里方向へ歩く。建物の上にラクダがいるのが、そのギャラリーの目印。25年以上前、わたしがこのあたりに住んでいた頃からあるギャラリーだ。
その三田村さんの個展のタイトルは、「人生は忘れたものでつくられている」というもので、大きく記憶を失っているわたしには「どうなんだろう?」というようなタイトルかな?
ギャラリーの中に入ると、さすがに最終日ということもあって、かなり混み合っていた。「ではちょっと、あたりを散歩してからまた来よう」と、いちど三田村さんにあいさつをして外に出る。
このギャラリーで飼われているネコだろうか。ギャラリーの前をウロウロしているネコたち。
今はこのあたり、谷中は「ネコ」のスポット、ということでも売り出していて、たしかに歩いているとネコたちによく出会う。撮影できなかったネコたちをふくめても、6~7匹のネコたちに出会ったと思う。けっこう首輪をしている「飼い猫」が多かったように思ったけれども、このあたりは車も通らない細い道、曲がりくねった道も多いし、皆がネコに優しいわけだし、ネコも「外飼い」でも安心できるかもしれない(下のネコは「野良」かもしれない)。
そしてこの場所、今は門ができてその裏側は駐車スペースになってるようだけれども、わたしはこの場所にあった一軒家の、二階に住んでいたのだった。当時の日記が残っていて、この場所には2005年の4月末まで住んでいて、ここのあとに茨城県へと移転したのだった。
実はこの、わたしの住んでいたところからほんの10メートルも歩くと、「谷中銀座」というこのあたりでは名高い繁華街である。まあわたしが住んでいた頃はまだまだ「谷中ブーム」というのでもない時期で、この「谷中銀座商店街」というのもずいぶんとひなびた感じの店が並び、イイ感じだったのだけれども、ブームになってしまうと猫グッズを売る店だとか、占いの店だとか、チャラい店が増えてしまったわけだ。
古い日記で検索すると、わたしがこうやって「谷中銀座」に来るのは2018年の3月以来のこと。その前は2014年2月。さらにその前は2010年7月と、これはまるで決められたスケジュールに従っているのではないかと思えるほど、きれいに4年ごとに谷中に来ていることがわかった。まあ今はほぼ2022年だから、次に谷中に来るのは2026年ぐらいになるのだろうか?
ウチに帰ってから思い出してみたら、「昔、わたしの知っていたあの店はどうなったのだろうか」とか、確かめておけばよかったことがいろいろと出てくる。
まあ、そういう感じで「谷中銀座」も25年前の面影もないね、というところだけれども、「夕焼けだんだん」を上がって日暮里駅の方へ行けば、まだまだこちらの方が「昔の面影」が残っているかもしれない。
これは、老舗の「つくだ煮」のお店。こういう、ウィンドウの外にスポットライトをぶら下げて、皿に盛ったつくだ煮を照らす感じがいいのです。何か買って帰ろうかと思ったけど、今は塩分カットの食生活なのでパス!
こちらはもっと駅に近いところに並んでいる、双子のような「軽食喫茶」。この2軒はおそらく50年以上やってると思うけど、「軽食喫茶」といいながらも、どちらの店も店頭のサンプルはラーメンとか餃子とか、中華ばっかりで、「どこが<軽食>なのか?」と、昔から思っていた店。さすがにリニューアルしてきれいな店になってたけれども、「軽食喫茶なのに<中華>?」というのはまったく変わらない。
このあたりでギャラリーへとUターンし、三田村さんとちょびっとだけお話をしたのだった。三田村さんはわたしがかつて主宰していたイヴェントにも参加していただいたのだけれども、その後ビッグになられた方のひとりではある(いちおう言っておくと、わたしのイヴェントに参加されて、以後ビッグになられた方はけっこういらっしゃる~まあ、わたしの手柄というわけでもないが)。
三田村さんにあいさつしてギャラリーを出て、ちょうど夕暮れ時だったので、すぐ近くの「富士見坂」に上がって写真を撮ってみた。
この「富士見坂」、たしか10年ほど前まではじっさいにこの坂から富士山の姿が見られたのだけれども、正面にビルが建ってしまい、今では富士山は見られなくなってしまった。
ちょうどこの建物の黒い影、夕陽が沈むあたりに富士山があるはずで、手前のビルがなければ、ちょうど富士山のシルエットに夕陽が沈むような「絶景」が見られたのではないかと思う。
これが、下から見上げたその「富士見坂」。
あまり遅くならないうちに帰ろうと、この日は日暮里駅から帰路に着いたのだけれども、思いがけない乗客数でちょっとおどろいてしまった。こんなに人が乗っている電車に乗るのは「コロナ禍」以降初めてになるな。
日暮里から乗ったので自然と電車は「常磐線快速」で、わたしの降りる自宅駅は快速は停車しないからひとつ手前の駅で下車。ついでに駅前のステーションモールへ行き、おいしそうな中華のお弁当を買って帰った。
長くなって疲れたので、今日はここまで。