『ミニミニ大作戦』(2003) Ｆ・ゲイリー・グレイ：監督

ミニミニ大作戦DVD

　
　この『ミニミニ大作戦』、１９６９年の作品のリメイクだという。その１９６９年版の監督はピーター・コリンソンという人だった。わたしはこの監督のことを多少憶えていて、それはきっと高校時代に観た『帰らざる勇者』という映画によるのだと思うけれども、この旧版『ミニミニ大作戦』も、ひょっとしたら観ているのではないかと思う（ほとんど記憶してはいないのだけれども、なぜか観たような気がしてしょうがない）。今ではもう、このピーター・コリンソンという監督のこともすっかり忘れ去られたようではあるけれども。

　それでこの２００３年版の『ミニミニ大作戦』。監督のＦ・ゲイリー・グレイという人は、ミュージッククリップとかの演出をされていた人らしい。そういう感じでスピーディーな演出と音楽はそれこそ爽快で、気もちがいい。
　導入部の人々の集合するドラマ部分はちょっとばかし演出に疑問もあり、先行きを心配しながら観ていたのだけれども（この部分は御大ドナルド・サザーランドの出演で、監督も緊張してしまったのだろうか？）、話がころがり始めてからはそういうことも気にならない軽快な演出で、娯楽作品として楽しく観ることができた。まあとにかくは豪華なキャスティングで、それぞれの俳優の持ち味を楽しめる。

　まだ２００３年という時点だったからかどうか知らないけれども、基本的なシーンはすべて実写。「よくやるよな～」という感じだが、導入部の撮影地となったヴェニスでは、あまりに乱暴な撮影ぶりに当局が呆れ、以後のヴェニスでの映画撮影に大きな規制を入れることになったとかいう。まあメチャクチャさでは終盤のロサンジェルスでのロケの方が強烈ではあるだろうけれども。

　ラストのクレジットを見ていたら、音楽の演奏者にBruce Fowlerの名前が読み取れた。この人はFrank ZappaとかCaptain Beefheartのバンドで活躍した人だ。わたしはこの人が来日したときに聴きに行ったものだった（すっごくつまらなかったけれども）。その後も何かの映画で音楽を担当していた記憶もあるけれども、懐かしい名前ではあった。