早朝、3時ごろに目が覚めた。「あれ? 何だか肩のあたりが重たいんだけど?」と思って顔を向けると、目の前、わたしの肩の上あたりにニェネントくんがうずくまっていて、わたしと目が合ってしまった。
わたしが動いたせいで、ニェネントくんはすぐにわたしの上から降りて行ってしまったが、「もう、ふとんの上ではない<お気に入りのスポット>を見つけたから、夜にわたしの寝ているふとんの上に乗って来ることもなくなるんだろうな」と思っていたけれども、どうやら、わたしがすっかり寝てしまったあとになって、わたしのふとんの上に乗って来るみたいだ。それはやっぱりうれしいことだけれども、わたしは寝てしまっているので、ニェネントくんの行動はわからないのでつまらない。
今日は午後からかなりの雪になった。そのことをメインに書くので、午前中にいつもの「ふるさと公園」へ行ったことは明日書くことにしたい(多分、明日は何も書くことがなくなってしまうような気がするし)。
しばらく前から天気予報でも「この5日、6日は南関東でも雪になり、積雪する可能性がある」とは言われていたのだった。
午前中からしっかりと曇天で、いつ雨とか雪が降り始めてもおかしくない天候だったけれども、テレビでは「南関東で雪が降り始めるのは午後1時とか2時で、夜になるとけっこう激しく降るだろう」ということだった。
もちろんわたしは午後は一歩も外に出なくって、ときどき窓の外を眺めるだけだったのだけれども、1時ごろに窓の外を見ると、弱い雨が降っていた。「このまま雪にはならないかもしれないな」と思っていたけれども、次に2時ぐらいに外を見ると雪がしっかりと、どんどんと降っていて、すでに向かいの車の屋根やアスファルトではない土の上などは、積もった雪で白くなっていた。
雪のせいで気温が上がらないのだろう。部屋の中でストーブをつけていてもめっちゃ寒い。スマホで時間ごとの天気予報をみても、今日の気温はずっと「1℃」だという表示になっていた。それは寒いわけだ。感覚としてはこの冬いちばんの寒さだ。
夕方には道路のアスファルトにも雪が積もり、外はすっかり雪景色になっている。去年はこのあたりでは積雪はなかったと思うので、わたしが記憶しているところでは、2年前の積雪以来のことかと思う。あのときは都心に仕事に出ていたので、仕事場の前の歩道の雪かきをやったのだった。
テレビでも、都心で激しく雪が降る様子が写され、高速道路が閉鎖されるなどして、一般道で渋滞も起きているらしいし、やはり転倒して救急搬送される人もあるみたいだ。けっこう水分を多く含んだ雪のようで、滑りやすいのだろう。
日が暮れても、積もった白い雪のせいで窓の外は明るかった。それで時が経ち、わたしがベッドにもぐり込んで本を読み始めると、ニェネントくんが和室にやって来てキャットタワーに上がり、窓の外を眺めるのだった(キャットタワーは窓際に置かれていて、その上からニェネントくんが外を見られるように、いつもカーテンを少し開けてある)。
ニェネントくんだって、この夜の外の景色がいつもと違うことはわかっただろうと思うし、降って来る雪片も目にとまっていたのではないかと思う。いつになく長いことキャットタワーの上にとどまっていたように思ったが、ニェネントくんはこの夜の雪景色をみて、何を感じ何を思っていたのだろうか。頭の中で、この雪をテーマにして新作の詩を書いていたのかもしれないな。
ところがそのうち、外がいっしゅん青白く明るく光り、「おや、かみなりか」と思うと同時に、大きな雷鳴が部屋の中にも響いたのだった。
当然ニェネントくんは驚愕し、すぐにキャットタワーから跳び下りて、どこかへ走り去ってしまった。それからもときどき稲光が見え、雷鳴も聞こえて来たけれども、さいしょの一発がいちばん強烈だった。
どうも最近このあたりでは、雨が降り続くとかみなりも発生することが多い。雪でも同じことなわけだ。
「ニェネントくんはどうしたのだろうか」と、起き出してリヴィングへ行ってみたけれども彼女はいなかった。「こわい思い」をしたから押し入れの中に避難したのかと、押し入れの中も見てみたがやはりいなかった。ベッドの下を覗いてみると、そこの狭いスペースにニェネントくんがいるのが見えた。そうか、ベッドの下も「とっておき」の避難場所なんだな。「もう大丈夫だから出ておいで」と声をかけ、わたしもベッドに戻った。そのうちにニェネントくんも最近のお気に入り、ベッドのそばの段ボール箱の中に移動したようだった。
いつもは部屋で過ごしても同じような日常の繰り返しなのだけれども、この日は雪とかみなりのおかげで、部屋の中にもちょっとした非日常が忍び込んで来たようだった。明日もまた午前中は雪になるという予報だけれども、もう「かみなり」は来なくっていい。
この夜はいつもより早くにベッドに行って本を読んだので、いつになく読書がはかどった。今読んでいるのは、パトリシア・ハイスミスの最後の作品『スモールgの夜』なのだが、期せずして昨日2月4日は、1995年に亡くなられたパトリシア・ハイスミスの命日なのだった。今年は彼女の29回忌。