ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『アース』(2007) アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド:監督

 ドイツとイギリスの合作映画で、おそらくはBBCの主導のもと、脚本にはデヴィッド・アッテンボローらの名も見られる。5年の歳月をかけ、地球全体に視野を広げて動物たちの営みを捉えた作品。ドローンなども駆使したのか、鳥たちやゾウ、スイギュウ、トナカイなどのものすごい数の群れを空から捉えた映像に迫力がある。ラストのクレジットをみると、カメラマンとして30人の名前が記されていた。

 冒頭に「50億年前に小惑星が地球に衝突し、地球の地軸は23.4度傾いてしまった。しかしその傾きが出来てこそ、地球には四季の移ろい、寒暖の差、そして生物が生み出されたのだった」と語られる。

 映像はまずは北極近辺からだんだんに南下して行くのだけれども、温帯地域をすっ飛ばしていきなりアフリカの熱帯へジャンプしたのにはちょっと予想外で驚いた。しばらくアフリカの映像が続いたあと(南極もちょびっと)、インド沖のザトウクジラの親子と共に北上し、また北極圏へと戻っておしまい。
 それでこの作品の最初に登場するのが「ホッキョクグマ」の親子で、作品のラストもまた「ホッキョクグマ」。字幕で「『地球温暖化』でホッキョクグマは滅亡の危機にさらされている」と示され、前に観たドキュメンタリー『北極のナヌー』とまるで同じだな、などとは思ってしまった。

 この100分のほどの作品の中で、世界の数多くの動物種の中から「この動物を選ぼう」と決めるのはたいへんな作業だろうとは思う。「もっと観たい!」という気もちにさせられるが、それでも極地、ツンドラ地帯、熱帯のジャングル、砂漠、サバンナ、高山地帯、そして海の中の動物らを紹介することで、この「地球」という惑星の中の「多様性」は描かれていたと思う。

 最初に書いた印象的な「空撮」のみならず、全編にわたって構図が決まっていたというか、美しい画面に見入ってしまうことが多かった。

 この映画撮影時には「野生の個体は40頭ぐらいしかいない」とされた(今は倍以上に増加しているらしいが)アムールヒョウの、自然の中での貴重な映像もあるし、ヒマラヤ山系を飛び越えて東に向かおうとするツルの群れが、風をおして高山を越えるシーンには感動も覚えた。
 そういう、地球上で長距離を移動する動物たちを捉えるのがこの作品のひとつの特色かとも思ったが、乾期になって水を求めて何百キロも移動するゾウの群れの映像は何度か登場し、仔ゾウを守りながら群れに遅れまいとがんばる母ゾウの姿は素晴らしかった。
 短いシーンだけれども、ピューマがガゼルの子を追いかけて倒すシーンもあり、「地球の動物たちの食物連鎖」への視点も取り入れられていた(子供が観ることを考えてか、あまり残虐なシーンは映されていなかったが)。

 やはり、動物たちを撮ったドキュメンタリー映画はいいなあ。