ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『復讐 運命の訪問者』(1997) 黒沢清:監督

 脚本は高橋洋で、出演は哀川翔のほか、六平直政清水大敬小日向文世大沢逸美ら。
 『勝手にしやがれ!!』シリーズはナンセンス・コメディ的な面も大きかったけれども、この「復讐」2話はがっちりシリアス。

 幼い頃に押し込み強盗に両親、姉を殺害されてただひとり犯人に見逃されて生き残った安城伍郎(哀川翔)は、成長して覚せい剤捜査担当の刑事になっていて、一家の殺人事件はとうに時効になってはいる。。
 自殺したシャブ中の男の遺体引き取りに来た、身元引受人の宮地茂治(清水大敬)を見たとき、安城は宮地こそが家族を殺して自分を見逃がした男だと確信し、宮地の身辺調査をする。
 宮地は弟の知治(六平直政)と妻のときえ(由良よしこ)と共にクリーニング店を営み、刑務所から出所して来た男らの保護司もやっているのだが、その影で出所して来た男らを暴力団・大石組の殺し屋として提供していたのだった。
 安城の執拗な追及に、知治とときえは安城の妻の冴子(大沢逸美)を誘拐し殺害し、宮地家は行方をくらます。
 ついに安城は警察を辞職し、単身大石組と交渉し、宮地家との関係は不問にして宮地家の行方を聞き出そうとする。安城の単独行動をかつての同僚の平沢(小日向文世)が止めようとするが、安城に射殺されてしまう。
 安城は海岸沿いの廃倉庫に隠れていた宮地家の三人を追い詰めるが。

 『CURE』はこの1997年の12月公開で、その直前の撮影だろうと思うけれども、確実に『CURE』へと発展する演出が随所に見られると思う。
 全体に乾いたクールな演出で、即物的な殺人シーンなど黒沢清タッチともいえる演出も散見される。例えばヒッチコック作品でいえば『疑惑の影』のような、ヒッチコックとしてはユーモアを排したシビアな作品を思い浮かべもする。