ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『天気の子』(2019) 新海誠:脚本・編集・監督

 『君の名は。』でも「隕石が落下する」という「天変地異」が背後にあって、いわば「SF」的なストーリーだったと言えるのだけれども、この『天気の子』もまた、「関東地方で降り止まない雨」と、その雨を限定的に降りやめさせる能力を持つことになった「晴れ女」と、その周囲の人らの物語となり、これも一種「SF」と言えるのだろうか。そして、ここでの登場人物らは基本「未成年」の少年少女らで、そういうところでこの作品は「ジュヴナイルSF」とか言えるのかもしれない。
 登場人物の「ホダカ」は16歳の高校1年で家出して東京に出て来た少年であり、知り合った「ヒナ」もまたさいしょは18歳と語っていたが、実はまだ14歳で、まだ小学生の「ナギ」と2人で暮らしている。この3人は当然「保護観察」の対象でもあり、「ホダカ」が新宿のゴミ箱で拳銃を拾って撃ってしまったことからも、警察にも追われる。
 「ヒナ」はあるとき、廃ビルの屋上にだけ陽の光が射しているのを目にして、そのビルの屋上に上がってみるとそこに神社があり、その神社の境内に日光が射しているのだった。そして鳥居をくぐってその日光の中に入って行ったとき、「一時的に雨を止ませる」能力を手に入れる。「晴れ女」である。
 それで金がない3人は、「ホダカ」の発案で「ヒナ」に「晴れ女」の力を発揮させ、「雨に降られたくない」という人らのために一時的にでも晴れさせる、というアルバイト(?)をやるのだった。

 「晴れ女」というのは一種の「巫女」でもあり、その働きの代償なのか、その身体が日ごとに透明になって行くという。それは「巫女は人柱として犠牲になる」ということなのか、「ヒナ」は空に飲み込まれて姿を消してしまう。
 「ホダカ」も警察に保護され、高校卒業まで保護観察処分となる。
 東京では「ヒナ」がいなくなって雨が降り続き、下町は水没してしまう。しかし高校を卒業した「ホダカ」は上京し、「ヒナ」の行方を探すのだった。

 ま、なんだかわかったようなわかんないような話で、「ヒナ」が「晴れ女」になることは了解できても、それ以外「あれはどういうこと?」とか、「あのことはどうなってしまったの?」とかわたしにはわからないことがいろいろあった。もうわたしも歳取ってこういう作品を観るのも無理になったか?とか。それでも「アニメ」としての「背景」の描画はあまりに美しく、まあ写真から起こしてはいるのだろうけれども、それでも観ていて「息を飲む」美しさだったと言えるだろうか。
 そして、そんな背景をバックに降り注ぐ雨、その地面に落ちる雨粒の描写もまた美しく、そういうところは観ていても感心してしまったのだった。

 今は新海監督の次の作品『すずめの戸締り』が、中国や韓国で大ヒットしているという。やはりそちらも観てみたいと思う。