朝、家を出てすぐのところでネコに出会った。このサビ茶の猫は、前に出会ったことのあるネコかもしれない。前に会ったネコは首輪をしていたのだけれども、今日のネコも首輪をしていたかもしれない。そのあたりよく確認できなかったし、そのときの写真を見ても首輪をしているようにもしていないようにも見える(ちょっとボケてしまった)。
けっこうわたしのことが気になったようで、じっとわたしのことを見ていたというのも、「飼いネコ」だからこそなのかもしれない。写真も何枚か撮ったのだけれども、み~んなピンボケ。こういうところは写真撮るときにもっと気をつけないといけないとは思うのだけれども、「どういう風に気をつける?」というのがわからなかったりする。難問。
先週にも書いたが、今わたしは寝る前にずっと、リチャード・エルマンという人の書いた『ジェイムズ・ジョイス伝』をちょっとずつ読んでいる。そして今日6月16日は、「Bloomsday」である。「Bloomsday」とは、ジェイムズ・ジョイスの代表作(というか、20世紀を代表する作品)『ユリシーズ』に描かれたのが、1904年6月16日の一日間の主人公ブルームのダブリンを彷徨だったわけで、その6月16日を祝って「Bloomsday」としているわけである。
その1904年6月16日というのは、ジェイムズ・ジョイスにとってはのちの妻のノラ・バーナクルと最初のデートをしたという「記念日」で、その記念すべき日を『ユリシーズ』の一日にしつらえたわけだ。
この日はダブリンの街中(特に『ユリシーズ』に描かれたスポット地)に街の人や観光客があふれ、おおにぎわいになるわけだ。
わたしも昨夜から「明日は<Bloomsday>だなあ」とは気に留めていたのだけれども、おかげで、ジェイムズ・ジョイスとノラ・バーナクルの登場するという、素晴らしい<夢>を見たのだった。
夢の中でわたし自身がどこにいるのかはわからず、単に「観客」的な位置にいるのではないかとは思ったのだが、その夢は「ジェイムズ・ジョイスがノラ・バーナクルに出会ったとき、実はジェイムズはノラの姿を映画(フィルム)に撮っていたのだ」という設定のもと、そのフィルムを観るという夢なのだった。
夢の中のそのフィルムの映像を鮮明に記憶しているのだけれども、セピア色でノイズもそれなりに入った映像で、夢の中で「20秒ぐらいだね」とフィルムの長さをわたしだか誰かが語っていた。映像は街の中ではない田舎道のような風景で、道の片側にポプラのような一本の木があり、その手前にオーバーのようなものを羽織って帽子をかぶったノラが立っていて、からだの前で両腕を組み、左足を上げて後ろの木にかけている姿。撮影しているカメラはゆっくりと道を進み、ノラの方へ近づいて行ったような記憶もあるが、いや、ずっとカメラは動かないままだったかもしれない。
もちろんその映像の中にジェイムズの姿は写っていないのだけれども、ひょっとしたらその映像の「上映会」か何かの会場、そこにジェイムズ・ジョイスもいたのかもしれない。
自分の愛する作品に絡んだ夢を見るなんて、それはけっこう幸せな体験であることはまちがいなく、目覚めたときにその夢のことを思い出し、うれしい出会いがあったかのように気分が良くなったのだった(写真はジェイムズ・ジョイスとノラ・バーナクル。時代的にはずいぶんと後の写真だが)。
実は先日YouTubeをチェックしていて、先日もちょっと触れた映画『ノーラ・ジョイス 或る小説家の妻』のオリジナル版(つまり英語版)『Nora』が全篇アップされていることを知り、今日この日こそはこの映画を観るのにちょうどいいだろうと、仕事から帰ったあとに観たのだった。
いちおう英語字幕をつけて観たのだけれども、わたしの能力ではもちろんヒアリングはムリだったし、英語字幕というものもけっこう不完全なものだったし、けっきょくほとんど話されていることはわからないままで観終えたのだった。感想は別に。
天候の話。今朝家を出たとき(ネコに会ったとき)には空は薄曇りで、雨が降ることもないだろうと思っていたのだけれども、これが勤務地の駅で降りて外に出ると、歩く人が皆傘をさしていた。たしかに弱い雨が降っていて、ついに初めて、先日買った「折りたたみ傘」が役に立ってくれたのだった。
雨はしばらく降りつづいて、そのうちにやんでしまったようだったが、わたしといっしょの時間帯で働く方が駅を降りたときは強烈な土砂降りで、けっこうずぶ濡れになってしまったという。その方はいつもわたしより15分ぐらい早く出勤されるわけだけれども、つまりわたしが駅に着いたその10分とか15分前には、強烈な雨が降っていたということなのだ。
このことは夕方のテレビでも報道されていて、この早朝の6時から7時にかけて、都内のあちこちで突然の激しい雨が降ったということだった。
昨日の夕方も、それまで晴天だったのがとつぜんに大雨になったりもしたわけで、どうも今年の梅雨はこんな突発性の豪雨がつづくらしい。わたしの新しい折りたたみ傘はけっこう小さいのだけれども、そんな激しい雨にも持ちこたえてくれるだろうか。