夜中に目覚めてトイレに立ち、ベッドに戻ると、枕元のカーテンの外からわたしの寝るあたりに明るい光が長四角を映していた。「ウチの近くにそんな明るい街灯とかがあっただろうか?」と窓の外を見てみると、雲のない夜空に明るい丸い月が浮かんでいて(昨夜見た<満月>だ)、その月の光が窓から差し込んでいたのだった。ずいぶんと明るいものだ。
わたしは「月の光」を浴びながら寝ていたのかと思い、「それってどうなのよ?」と思うのだけれども、たしかヨーロッパでは「月の光を浴びて眠ると、月に生命を奪われてしまう」ということもいわれていたと思うし、もっと文学的なことを書けばそれは「ルナティック」というわけで、月の光は人を狂気に導くともいわれているのだ(全然「文学的」ではないが)。どちらにせようれしいことではないのだけれども、はたして何か影響があるや否や?
ついに今日から十二月。何か人知を超える存在に祟られたような2020年も、あと一ヶ月になった。わたしは春にはCOVID-19とは無関係に入院し、そのまま長い「自宅待機」になだれ込んだのだった。入院した際にとってもお世話になった人もあり、この年の終わりに、その「お礼」も兼ねて「お歳暮」を贈ることにした。
わたしも結婚していた頃には多分「お中元・お歳暮」の付け届けはやったこともあるのだろうけれども、今では何も記憶していないし、こうやってひとりで暮らすようになってからそういうことはやっていない。というか、やったことはない。
近所のスーパーや郵便局にもそんな「お歳暮」のカタログとかも置かれているのだけれども、いや、そういう「お中元・お歳暮」を選ぶならばデパートがいちばんだろうと、急にコンサバぶりを発揮してデパートで買うことにした。ちょうどこの日は銀座に展覧会を観に行く予定もあったので、その近くのデパートに行くことにした。
何の見当もつけずにいきなりそんなデパートのギフトセンターに行ってもきっと何を選んだらいいのか迷ってしまうだろうから、先にそのデパートのサイトの「オンラインストア」をざっと眺め、「こんなのがいいかな?」という候補は立てておいた。そのまま注文しちゃえばいいのだが、例によって「オンラインストア」はクレカがないと決済できない。そこはじっさいに店に行けば現金払いができるわけだ。
ということで、仕事を終えたあとにデパートへ行った。今日から十二月だし、年末年始への商戦開始、たいていは今は「クリスマス」のディスプレイがあふれる時期だと思うのだけれども、これが意外と寂しかった。これも「COVID-19禍」の影響なのだろうか?
デパートに入り、「ギフトセンター」のある上の方の階へ行ってみると、ここも意外と地味なディスプレイで、ただサンプルがずらりと並んでいるだけで、客はそのサンプルのところに束ねてあるカードを抜いて受付に進むだけ。こう、「わたしはこれから(それなりに高価な)お歳暮を買うのだよ」という気もちの高まりにはまるで比例しない。それに受付の向こうの、各々のお客さんの注文を承るコーナーも、ただ事務机を並べただけの役所の窓口みたいな雰囲気。これは「COVID-19禍」だからなのか、そもそも「お中元・お歳暮」の受付というのはいつでもこういうものなのかはわたしにはわからない。
とにかくは、わたしがネットで選んだ品よりもいいものもあるかもしれないとサンプル展示をぐるりと見てまわるのだけれども、意外と早くに、そのネットで選んだ品を見つけてしまい、あとはいくら見てまわっても同じように思えたので、その品に決めることにした(2品買ったのだが、1品は「わたしも食べたい」と、自分用にも注文した。合計3点だ)。
受付に行き、担当の人に「コレね! コレちょうだい!」とカードを渡し、ちゃっちゃっちゃっと手続き完了。
時間があったので、その同じデパートのまさに「デパ地下」へ行き、いろいろと見てまわった。特にお弁当がおいしそうだ。今夜の食事は「デパ地下」の弁当にしようと決めた。
目的だった展覧会にも行く。この階段、このエレヴェーターの階表示で、どこだかわかる人もいるだろう。
帰りは近くのもうひとつ別のデパート(百貨店というべきか)の地下へ行き、おこわご飯のお弁当と、昨日夢に出てきてくれたミイと、ウチで留守番しているニェネントのために「まぐろ切落とし」パックを買った(まあ半分はわたしが食べるのだが)。
帰り道、ウチの近くで三色パンジーがきれいに咲いているのを見た。みごとに美しく咲いたものだなあと思う。
帰宅するとちょうどニェネントの夕食時間だった。ニェネント喜べ! 今日のキミのご飯は銀座の「デパ地下」の刺身付きだぜ!
わたしもちょっと早かったが買って帰ったお弁当を食べることにした。「おろしハンバーグおこわ弁当」なのである。
もちろんメインの「ハンバーグ」も「おこわご飯」もとってもおいしいのだが、やはりウチのあたりのスーパーやコンビニのお弁当とちがうのは、ちょこっと付け足しの切り干し大根やお漬物がめっちゃ美味なことである。ニェネントの刺身もちょっといただき、大変に満足な夕食にはなったのであった。