ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『マクリントック』(1963) アンドリュー・V・マクラグレン:監督

マクリントック [DVD]

マクリントック [DVD]

  • 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
  • 発売日: 2011/02/17
  • メディア: DVD

 西部劇としては時代の下がった1963年の映画で、そもそもすでに、あまり「西部劇」らしさは感じられない。たしかに先住民(インディアン)らの叛乱とかはあるし、馬だって出てくるのだけれども、ここには「生きるか死ぬか」みたいな撃ち合いはない。というか全体にコメディ色が強く、映画全体が「舞台劇」の映画化のようでもある。これは調べてみるとそもそもがシェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』の翻案らしいのだ。わたしは教養がないので『じゃじゃ馬ならし』のストーリーも知らないので、どこがどう翻案なのか、まるでわからない。

 主演はジョン・ウェインで、ここではガンマンだとか切れ者騎兵隊員とかそういうのではなく、まあ町の名士というか富豪というか、そういう人物。このときジョン・ウェインは56歳ぐらいになっているから、そろそろアクション・スターとしてはキツくなってきたのだろうか。
 この作品のプロデューサーはジョン・ウェインの息子のマイケル・ウェインで、もうひとりの息子パトリック・ウェインもなかなかおいしい役で出演しているわけで、ウェイン一家みんなでつくったぜ!みたいな映画だ。
 監督はアンドリュー・V・マクラグレンという人物で、わたしはなぜかこの監督の名まえはよく記憶している。それはわたしが高校生になっていろいろと映画を観始めたころ、この監督の『コマンド戦略』っつうのを観ていて、さらにそのあとに『バンドレロ』というのも観て、「またアンドリュー・V・マクラグレンかよ!」みたいなことで記憶しているのだ。だからこの監督はバンバンとアクション映画を量産していたのかと思っていたのだが、そこまでに活躍、評価された監督でもないようだ。
 共演しているモーリン・オハラという女優さんも、その名まえだけは知っているが、どうやらけっこうジョン・フォードの作品にいろいろと出演していて、ジョン・ウェインとも『リオ・グランデの砦』、『静かなる男』で共演している。

 まあそういうわけで、映画としては「西部」を舞台としているとはいえども、「西部劇」を期待して観ると期待を裏切られるところの、舞台劇コメディというところ。こういっちゃなんだけれども、ジョン・ウェインには演技力というものは期待できないところを、相手役のモーリン・オハラがしゃかりき頑張って映画を支えていたか?という印象が強い。しかし全体の印象は男尊女卑的な空気が強く、今ならとてもつくれない映画かも知れない。
 あと、もうちょっと品のいいコメディに仕上げていただきたかったところもあるが、「階段落ち」そして終盤の「全員泥沼に転がり落ちるのよ」みたいなドタバタの演出に逃げたのは、これは残念ではあった。