ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『贖罪』(2012) 第2話「PTA臨時総会」 湊かなえ:原作 黒沢清:脚本・監督

 第2話のヒロインは、事件のときに「先生を呼びに行く」と言って、そのまま逃げてしまった真紀(小池栄子)。

 真紀は当時自分が逃げてしまった負い目からか、15年後に小学校の教師になって「子供たちを救おう」としているのだろうか。しかし教育者としては厳しすぎるところもあり、SNSに批判的なことを書かれたりしている。そのSNSの書き込みが、学校の教頭によって「あなた、こ~んなこと書かれてるんですよ!」との攻撃の材料にされたりするのだが、別の教師によるとそのSNS書き込みは教頭自身がやっているらしい。

 あるとき、クラスの水泳の授業のとき、近所の男が「いつもうるせえんだよな!」と刃物を持ってプールに乱入し、ひとりの男教師を切りつけて皆を追い回す。そのとき剣道を習っていた真紀は、近くにあったモップを使って完膚なきまでに男を打ち据える。真紀は例のSNSで賛美され英雄視されるが、そのときプールにいたもうひとりの男性教師は逃げまとったため、SNSでも「教師失格」とかボロクソに言われて休職に追い込まれる。

 一躍「侵入者撃退」の英雄にされて賞状も授与された真紀だが、その後の剣道部での実習などでの、相手を徹底して打ち据える「過激」な姿勢が問題にされるようになり、一転して「侵入者撃退」の時も「過剰攻撃」と言われ、例によってSNSで「生徒が怖がって登校したがらない」とかの書き込みが相次ぐ。
 これらの事態を受けて小学校ではPTA臨時総会を開催することとするが、真紀はこのことを麻子に手紙で知らせ、「是非わたしの話を聞きに来てほしい」と訴える。

 麻子も参加したPTA臨時総会で、真紀は「自分は生徒を守るためではなく、15年前の出来事への反応で行動していた。今日限りで教師は辞めます」と話して総会場から一人立ち去る。
 麻子はそのあとについて行くが、そのときにかつて真紀のせいで「教師失格」とされた教師が真紀の前に現れ、真紀を殴り倒して去って行く。
 真紀はコンクリート地面で頭を強打しているが、そばに来た麻子に、実は15年前の犯人の顔を記憶しているという。その犯人のことを麻子に話そうとするが、「もう遅い」と息を引き取るのだった。

 小池栄子という人は、黒沢清監督とも親しい万田邦敏監督の『接吻』という作品で強烈な印象を与えてくれたのだが、この『贖罪』でも凛とした教師像を演じ、「やはりこの人の演技はすごい」と思わされたのだった。
 演出面で、また第1回にも出た学校の体育館があらわれ、第1回と同じようにあやしい光のアウラをみせてくれたし、学校校舎内の撮影でやはり、印象的な演出・撮影をみせてくれた。