ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『サロメ』オスカー・ワイルド:著 西村孝次:訳(新潮文庫『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇』より)

サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 (新潮文庫)

サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 (新潮文庫)

 岩波文庫版だとビアズリーの挿画も掲載されているはずだけれども、これは新潮文庫だからそういうのはなし。

 やたらと、いろいろな背景を背負った端役的な登場人物が多いし、これは先に予習しておかないと舞台で観ても(? よくわからない?)みたいなことになりそう。おまけにこれは舞台美術として難関というか、まあどうしてもギュスターヴ・モローの「サロメ」を思い浮かべてしまうからいけないのだけれども、じっさいにこの戯曲を舞台化するというのはなかなかにコスト・パフォーマンスが悪いのではないかと思う。YouTubeで検索してみると、ひとむかし、ふたむかし前の「ク・ナウカ」による公演の映像があったけれども、まあ舞台美術は簡略化しているわけだ。

 けっきょく、中心となる登場人物とはサロメ、ヨカナーン、ヘロデとヘロデアの4人で事足りるみたいなもので、やたらと多い<その他>の登場人物に背景を語らせ、表わそうとするのは、作家としては説明のト書きを登場人物にやらせているわけで、うまい作劇とは言えないのではないかと思った。ここは登場人物を上記4人、それとあと3人ぐらいに絞って作劇してこそ、なのではないだろうか?(ま、「この人物、この描写は必要」というのはあるだろうし、「その他大勢」の兵士はいた方がいいだろうけど)