ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ジョアンナ』(1968) マイケル・サーン:脚本・監督

 先日観たタランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の中でいっしゅん、壁に貼られたこの映画のポスターが映され、わたしも公開当時にこの映画を映画館で観たことを思い出した。「DVDは今リリースされているのだろうか?」とチェックしてみたら、意外と廉価で売られていたものでついつい買ってしまったもの。しばらくそのまま放置していたが、ようやっと観てしまった。

 1967年だか68年だか、「スウィンギング・ロンドン」といわれた頃のロンドンが主な舞台。ヒロインのジョアンナは美術学校へ通うためにロンドンに出てきて、つまりは自由で奔放、ファッショナブルな彼女の生活が始まる。

 ジョアンナを演じるのは、この作品でいきなり主役デビューしたジュヌビエーブ・ウエイトという女の子だが、はっきりいって表情に乏しく、とても女優業が勤まるとは思えないわけで、じっさいに以後の映画界でのキャリアはないといってよく、それよりもあの「ママズ&パパス」のジョン・フィリップスの3番目の妻として記憶されることになるだろうか。彼女は今年の5月に亡くなられているようだ。
 他には死期の近い富豪役でドナルド・サザーランドが出演し、映画の基調を築く重要な役を彼らしくこなしている。監督のマイケル・サーンはこのあとに1~2本撮っているようだが、けっきょくそこまでで終わってしまわれたようだ。

 67年とか68年のロンドンの美術学校というと、のちにロックの世界で名を残す多くのミュージシャンが通過したところでもあるのだけれども、ここでの主人公は女の子だし、この映画にはそんな音楽を志す若者は登場しない。主人公のジョアンナは別に(例によって、というべきか)美術を熱心に学ぶわけではなく、友だちの女の子と毎夜「発展」を楽しむというか、ま、何をやりたいのかはっきりしない子なのだけれども、ドナルド・サザーランドとの出会いで「愛」の重要さを学び、友達の兄と愛し合うようになる。彼は事件を起こして刑務所入りするのだが、彼女は彼の子を産むことを決意してロンドンを離れるのだ。

 ラストにパディントンの駅から帰路に着こうとするジョアンナに、それまでの登場人物らと、楽屋オチ的にスタッフら全員がホームでジョアンナを祝福するのだ。このラストシーンは評判になったというか、わたしもこのシーンだけは記憶していた。