ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2023-12-31(Sun)

 2023年最後の日。今日はとなり駅の映画館に、アキ・カウリスマキ監督の新作『枯れ葉』を観に行くのだ。映画の上映が朝の回は9時45分からとちょっと早いので、9時ぐらいにニェネントくんにおやつを出してあげてから家を出た。
 ついさっきまで雨が降っていたようで、道路はしっかり濡れていたし、まだまだまばらにがんばって落ちてくる雨粒もあり、ときどき道路の水たまりに円を描いていた。天気予報は雨は9時ぐらいまでしかつづかないと言ってくれたので、信用して傘は持たないで家を出た。
 となり駅に着いてみると、自宅駅あたりよりは残った雨ががんばっていて、皆傘をさしていた。映画館までは外に出ないで行けるのでわたしには問題ないが。

 映画館でまず席を決め、いつものように「いちばん後ろの席の中央通路ぎわ」の席にしようとしたが、この日は一方の側の最後列は空いていたけれども、スタッフの方が「その前の席を決めた方がいるので、ひとつずらした方がいいでしょう」と言われたので、そのアドヴァイスに従った。この日のお客さんは全部で30人ぐらいだったかな。昨日公開が始まったばかりと考えると、ちょっと寂しいか。皆大みそかで別の用事があるのだろう。

       

 映画は80分と、今どきの映画になく短かい。わたしは最近は家でむかしの大映の映画ばかり観ていて、それはどれも90分もない尺なので、今は「映画というものは皆90分以内で終わるのだ」みたいな思い込みにもなっている。もう今では2時間の映画などというと「なんて長いんだ」などと思うようになった。

 映画が終わってもまだ11時15分ぐらい。映画館の外に出ると、映画館のとなりのペットショップの前に、今観た映画に出てきた犬にそっくりな犬がすわっていて、おとなしく店の宣伝をやっていた。

       

 「せっかくの大みそかだし、今日はウチで年越しそばでも作ろうか」と思い、駅の反対側のお惣菜のおいしいスーパーに移動して、「天ぷらの盛り合わせ」を買った(そばはウチに買い置きがある)。そんでもって、「明日からはお正月だからな」とか考え、さっき観た映画の主人公の「悪癖」を見習って「酒でも買ってしまおうか」と思い切り、「ジム・ビーン」を一瓶買ってしまった。
 今年は1月に思い切って断酒をし、ほぼ一年間ほとんど酒を飲まなかったのだが(ワインを買ったことはあるが)、これで断酒をやめるつもりではない。バランスの問題。

 昼はテレビも面白くなく、あれこれとネットの記事を読んでいたのだが、中に新作『PERFECT DAYS』の公開が始まっているヴィム・ヴェンダース監督のインタビュー記事があり、その中で、その『PERFECT DAYS』の中でパトリシア・ハイスミスに関するセリフがあることを聞かれ、ヴェンダース監督は「彼女は20世紀を代表する偉大な作家で、私が好きな作家であることは間違いありません」と答えているのだ。
 『PERFECT DAYS』というタイトルも、ルー・リードの曲タイトルからとられていて、その曲も映画で使われているようだ。2時間を超える「長大」な映画だけれども、やはり観に行きたくなってしまった。
 あと、午前中に観た『枯れ葉』のことをネットでチェックしていたら、映画の主演女優のアルマ・ポウスティさんが来日していたらしく、それがトークショー松重豊と対談をしている記事を読んだ。さすがの松重豊。ちょうどそのとき、わたしのテレビでは松重豊が主演している「孤独のグルメ」が放映されているところだったが。

 7時ぐらいになってピンポ~ンとチャイムが鳴り、思いがけずにわたし宛ての宅配便が届いた。3~4年前に再会したことのある古い友人からで、「もらった果物などがあまるので、野菜や酒などを添えて送るよ」ということだった。果物の量は多くもなく、なんだか野菜や酒を送るための(わたしと連絡を取るための)口実みたいだった。ありがたいこと。人との縁のすっかり切れてしまっているわたしには貴重な、年末の贈り物だ(また酒の在庫が増えたのは「要注意」だが)。すぐに彼に「お礼の電話」をしようとしたが、彼は出かけていたのか通じなかったが。

 夜には買ってきた「天ぷらの盛り合わせ」の半分を使って、「年越しそば」をつくって食べた。これがなぜか異様に美味しくって、「わたしの味覚もおかしくなってしまったか」と思えるのだった。
 まだ天ぷらも半分残っているので、明日(元日)の昼もまた「天ぷらそば」になるだろう。そういうことは「ルール違反」なのだろうか。
 食事のあともいつも通りに過ごし、読んでいた若島正の『ロリータ、ロリータ、ロリータ』をベッドの中で一気に読了し、そのままニェネントくんをのっけたまま寝てしまうのだった。