ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『HACHI 約束の犬』(2009) ラッセ・ハルストレム:監督

 最近、この映画へのAmazonとかに投稿されたコメントを読んで、特に海外の人が熱狂的にこの映画を推していることを知った。「ただただ泣けた」とか「今まで観た映画でいちばん!」とかいうコメントが並んでいた。
 監督もラッセ・ハルストレムという名の知られた監督だし、「ひょっとしたら、相当に良く出来た映画なのかな?」とは思っていたのだが、今日は「よし、今夜は泣くぞ!」と決意してこの映画を観た。

 主人公の秋田犬の「ハチ」は、日本からアメリカに転居したらしい人が連れて来たのだが、駅の近くで車の上から「ハチ」の入ったケージが落ちてしまい、そのケージから抜け出した「ハチ」は迷い犬としてリチャード・ギア演じるだ大学教授に拾われる。その同僚の日系人がその犬が「秋田犬」だと教え、首輪に「八」と書かれていたその読み方と意味を教え、以後その秋田犬は「ハチ」という名まえになるわけだった。

 基本的にわたしなどの知る「忠犬ハチ公」のお話と変わらないのだけれども、リチャード・ギアの心温まる演技や、「ハチ」が毎日通う駅の周辺の人たち(駅員やホットドッグ屋)の温かさもあって、自然みていても「ハチ」に優しく、感情移入してしまう。特にまだ幼い頃の「ハチ」はとっても可愛く、「やっぱりイヌも可愛いよなあ」と思ってしまうのだった。
 リチャード・ギアの亡くなった後半は「ハチ」の視点から描かれることも多くなるけれども、ラッセ・ハルストレム監督は、「泣かせるぞ!」というような「フランダースの犬」最終回のようなあざとい演出はしないわけで、「ハチ」に気もちを通わせる演出主体になる。その分、後半は人間の描写が薄くなってしまった感があり、ここで「もうひと押し」しても良かったように思えた。
 そういうこともあってか、「泣くぞ!」と心構えしていたわたしだが、そりゃあ涙はこぼれたのだけれども、そこまで「涙ぽろぽろ」と泣いてしまうということでもなかった(わたしはけっこう涙もろい方だと思っていたが)。あまりに意気込み過ぎたか、それとも、わたしの感受性が鈍化したということなのかも。

 この映画、アメリカでは劇場公開されずにDVDスルーだったらしいのだが、けっこう名の知られた監督でリチャード・ギア主演だというのに、どうしたことだろうと思う。映画会社もその理由を語っていないので「謎」なのだ。しかし一般の映画評価は、4.7/5(5点満点で4.7点)という非常に高いものなのだ。

 映画の最後に、この映画のオリジナルの「忠犬ハチ公」の写真などが紹介され、渋谷の「ハチ公像」の写真も出て来る(映画で、主人の帰りを待つ「ハチ」が駅前のレンガブロックの上ですわっているポーズは、まさに渋谷の「ハチ公像」のポーズであった)。それでもって来日して渋谷の「ハチ公像」詣でをする人が増えたという。中には「ハチ公像」の前で涙を流す人もいたというからすごい。