ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2022-03-10(Thu)

 ワクチン接種の「副反応」が心配な、ワクチン接種2日目の朝。昨日の朝起きたときには、多少接種した側の腕に痛みがあったけれども、この朝は何ともなかった。体温を測っても普段の平熱よりも低いぐらい。ただ、毎朝測っている血圧が、最近になく高めだったか。
 1回目、2回目のワクチンの時よりもはるかに副反応も軽く、「こんなものでいいのだろうか?」と、逆に気になる。「副反応が大きいほど抗体も強くなる」とも聞いていて、まあそれは副反応が大きかった人への「なぐさめ」なのかもしれないとは思っていたが、あまりに副反応がないと「抗体なんて出来てないんじゃないの?」とか思ってしまう。まあ今まで通りに感染予防に努めればいいのだが。とにかくは何の心配もなく仕事に出た。

 この日もけっこう暖かく、そりゃあ3月も中旬になるわけだからどう考えてももう「春」だ。この週末は気温も20度近くまでになるだろうという予報だし、もうじき桜の花も咲きはじめるだろう。
 わたしも長く蟄居していたので、そろそろ動き出したりもしてみたいところだが、来週には古い友人と久しぶりに東京で会う約束も出来た。
 展覧会や映画にも出かけてみたい。舞台を観に行くのは、今となっては先に予約したりする手間もめんどうだし、そういう公演情報にも疎くなってしまっている。
 映画にしても、やはり今どんな映画が観られるのか情報を得ようとしないから、けっこう「観たい映画」を見逃してしまっている。
 先週も、となり駅の上映作品をチェックしていたら『ラストナイト・イン・ソーホー』という映画が上映されていて、「どんな映画だろう」と調べてみたら、わたしの好きなエドガー・ライト監督の新作なのだった。「それは観てみたい」と思ったが、悲しいことに映画はわたしがチェックしていたその日までで上映は終わりで、とても間に合わないのだった。とても残念な思いをした。
 「そういう悲しい思いをしないために」と、ざっと今公開されている映画を調べてみたりしたのだが、大好きなウェス・アンダーソン監督の新作が今公開されているのだった。このウェス・アンダーソン監督の新作はしばらく前に情報を得ていて「観に行こう」と思っていたのだけれども、すっかり忘れてしまっていた。
 明日は金曜日で、多少帰りが遅くなっても翌日は仕事も休みだし、ニェネントくんには悪いけどちょっと留守番してもらって、仕事のあとに映画館へ行こうと予定を立てた。「昼食はどうしよう?」とか、何だか遠出をするみたいな気分になる。考えてみたら、映画館へ映画を観に行くのは今年初めてになるのか。

 読んでいる大岡昇平の『成城だより』でも、ちょうど彼が意を決して『地獄の黙示録』を映画館へ観に行く話が書かれていた。
 映画本編を観る前に、「昴」という雑誌で作家・詩人・批評家ら9人が『地獄の黙示録』を語るのを読み、作品の多義性を理解しているのは3人で、あとは「誤解に基づいてとんちんかんな印象を語ったり、はぐらかしたりするのみ」「近来の珍事なり」という。「筆者はこういうことは大好きにて、たちまち浮かれ出した。」ということ。大岡昇平氏の楽しいのはこういうところだ。
 大岡氏は映画を観る前にコンラッドの『闇の奥』(中野好夫:訳)を読み返し、クルツ(カーツ)の最期のことば、「The Horror, The Horror」というのを「地獄だ、地獄だ」と訳していることに疑問を感じる。この訳文が影響して、映画の原題「Apocalypse Now」を「地獄の黙示録」などというナンセンスな邦題にしたのではないかということを、立花隆氏の推測として紹介している。
 大岡氏は映画を観たあとでやはり気になり、翻訳の中野好夫氏に電話して「あれはなぜ『地獄だ、地獄だ』と訳されたのですか?」と聞く。中野氏は「記憶にない」と答えられるが、こうやって「典拠となる原典」にダイレクトに向かわれるのが、大岡昇平という人なのだ。
 映画に関しては、多少の疑問はあるとされながらも、「映画はストーリーとセリフに非ず。大事なのはイメージの送る無言のメッセージなり。」と書かれ、そのことを「この異様なるシテュエーシォンにて、コッポラ復活させたというべし。」と結ばれていた。

 今日も仕事の帰りに自宅駅前のスーパーに立ち寄ると、ブロッコリーが百円で売られていたもので、またまた買ってしまった。
 帰宅して、前に買ってあったブロッコリーと並べて撮影しようとするとニェネントが寄って来て、ブロッコリーをぺろりと舐めるのだった。
 あ~、ニェネントくん、それはキミには食べられませんね。

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 午後、ウチのチャイムが「ピンポ~ン」と鳴った。特に今は配達してもらうモノもないわけで、「どうせ何かのセールスだろう」と無視しようと思ったが、市役所から不意に書留便が来ることもあるのでドアの覗き口から外を覗くと、外に音が聞こえたのか「ごめん下さい、失礼します」とか言われてしまった。しょうがないからドアを開けると、首から名刺ホルダーをぶら下げた若い男が立っていた。
 何かと思えば、けっこうヨレヨレのファイルホルダーを開いて、はさんである東京電力(TEPCO)の毎月の料金通知書のコピーを見せられる。「お宅にも今もコレと同じものが届いているようでしたら、電気料金が半額になります!」などと言う。
 そりゃサギだ。ついにウチにも訪問詐欺が訪れたか。だいたいそんなヨレヨレのファイルホルダーからして情けないし、白黒のコピー1枚見せて騙そうなどと、「安上がり」にもほどがある。
 前に東京電力から東京ガスに鞍替えしたら電気代が安くなるという話は読んだ記憶はあるが、そういうのではない。だいたい、そうやって「訪問勧誘」するのだったら、客に手渡しするカラーのパンフレットとか用意するのではないのか?
 せっかくだから「ちょっとネチネチといじめてやろうかな」などと性悪なことも考えたが、そんなヒマもないので(いや、ヒマではあるが)、「わかりました、調べてみてこちらから連絡します」というと、「何で調べられるのですか?」と聞くので、「いや、ネットでとか」と答えると、何も答えがなかったのでドアを閉めてさようならをした。

 やっぱりね、不意の「ピンポ~ン」には基本出るものではないな。固定電話への電話とおんなじ。前も不用意に「ピンポ~ン」に出てしまったら、宗教への勧誘だったりもした。
 まあ、市役所からの書留だったりしても、出なければ不在通知を置いて行ってくれるわけだし(ただ、配達の人に二重手間をかけてしまうのが申し訳なく思うのだ)。

 この日の夕食は、「ブロッコリーとベーコンのスパゲッティ」。味付けがシンプル過ぎて物足りなかったが。

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