ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2021-12-17(Fri)

 夜明け時から雨になるとの予報で、わたしが仕事を終える時間まで降りつづけるとかいっているので、いちおう「折りたたみ傘」をバッグに入れて家を出る。
 雨のせいというか、気温はそんなにまで低くはならないというし、昨日はちょっと厚着して暑かったので、昨日よりは薄着。
 家を出るとそのときは雨は降っていなかったけれども、道路はしっかりと雨で濡れていて、ついさっきまで雨が降っていたという感じだった。
 仕事場駅に着いても雨は降っていなくって、いつもの、それぞれが犬を連れていっしょに散歩されている女性二人とすれちがう。三輪自転車でわたしと逆方向に行くおばさんともすれちがう。だいたいこのわたしの出勤時間、出会う人も顔を見知っている人が多かったりする。

 しかし、わたしが仕事を始める頃には外には雨が降り始めたようで、「やはり天気予報の言う通りだったか」などと思う。それでもわたしが仕事を終えて「帰りますよ!」という時にはすっかり雨もやんでいて、薄日も射しているのだった。

 もう歩道沿いの並木は剪定して、歩道に「落ち葉」もないのだけれども、そばの芝生には剪定前に降り落ちた枯れ葉がまだ残っていた。「秋」の名残り。

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 帰り道、知り合いのアーティストが西日暮里近くのギャラリーで日曜日まで個展をやっていて、「この際観に行ってみようか?」とも思って調べてみると、ギャラリーのオープンは13時で、1時間近く時間をつぶさなければならないとわかり、簡単に断念するのだった。考えれば1時間ぐらい時間をつぶすことなどどうってことないのに。
 けっきょく、「ウチからも近いから、明日にでも行ってみようか」とか考えるのだが、わたしはあまり実際に行きそうにも思えない。

 帰宅して、このところは毎日「Spotify」にハマっているわけだけれども、今日はちょっと思いついて、わたしが高校生の頃に持っていたアルバム(LP)が見つかるかどうか、検索してみた。
 それはアメリカの「T-Bones」というインスト・グループの「真赤な太陽」というアルバムなのだけれども、以前また聴きたく思ってYouTubeで検索したとき、見つからなかったわけだった。
 わたしはこの「T-Bones」というグループが大好きだったわけでもなく、このアルバムも人にもらったものだったけれども、その後成人してから以降、アルバムもとうに処分したあと、このアルバム収録の曲を聴こうと思ってもどこでも聴けず、「また聴きたいな」とは思っていたもの。
 それが、「Spotify」で検索するとちゃんと見つかったので、けっこう喜んでしまった。ただ、わたしが持っていた国内盤とはその内容、曲目が大幅に異なってはいた。

 ここでその「T-Bones」という、今ではもうまったく知られていないバンドのことを説明する必要があるだろうか。
 実はこの「T-Bones」というバンド、当初は固定したメンバーもない、いわゆる「Wrecking Crew」と呼ばれるスタジオ・ミュージシャンたちで録音を行ったという、つまりは実体のない「覆面バンド」だった(この時代、「エレキ・インスト曲」というのはこういうスタジオ・ミュージシャンらによるものが実に多かった)。それが、1966年の2月に彼らの「No Matter What Shape (Your Stomach's In)」という曲*1が大ヒットし、全米3位まで上がってしまう。「こりゃあテレビにも出なくっちゃならないし、ツアーだってやるべきだろう」となってしまい、急きょ、レコーディング・メンバーとは無縁のメンバーによるグループがでっち上げられることになる。まあ「Monkees精神」といいますか。
 日本でもこの「No Matter What Shape」は「ビートでOK」というタイトルでリリースされたけれども、まあまるでヒットはしなかった。それでアメリカでは「No Matter What Shape」があまりに売れてしまったので、続篇というか、第2弾シングル「Sippin' 'N Chippin'」がリリースされる。全米62位どまりというから「ヒットした」とは言えないのだけれども、これが日本で「真赤な太陽」という邦題でリリースされると、なかなか、そこそこのヒットになってしまう。それで日本でのレコード会社がヴェンチャーズを取り扱っていた「日本リバティー」だったから、そういうプロモーション、来日しての地方公演とかのノウハウを持っているから、彼らを日本に呼び寄せてしまう。まあヴェンチャーズのように「大人気バンド」にはなれなかったけれども、それなりに売れたのではないだろうか? ちなみに、メンバーが固定されたT-Bonesだけれども、それ以降もレコーディングの基本は「Wrecking Crew」によって行われたという。

 それで、このわたしの持っていたアルバムであるが、これはアメリカで発売された彼らのセカンドアルバムと同じジャケットだけれども、アメリカと違ってこれが日本ではファースト・アルバムでもあったわけで、収録曲を大幅にチェンジしている。
 わたしはもちろん、この日本盤を持っていたのだけれども、そこにどんな曲が収録されていたのか、たしかな記憶がなかった。今回検索してアメリカ盤と日本盤のジャケットを見つけたが、収録曲が大きくジャケットに書かれているから、その違いがわかるだろう(左がアメリカ盤で、右が日本盤)。

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 これは余談になるが、世界中のレコード、CDの情報をしっかり網羅しているデータベース・サイトの「discogs」に、この日本盤の「Sippin' 'N Chippin'」は掲載されていなかった。「discogs」としては珍しい「情報漏れ」ではないかと思った。

 さて、前置きが長くなってしまったが、とにかくは今日、「Spotify」で検索すると、アメリカ盤ではあるが「Sippin' 'N Chippin'」のアルバムが見つかったわけで、喜んで聴いた。

 ここで「T-Bones」の音楽の特徴を書いておくと、彼らは普通に「ギター、ベース、ドラム、キーボード」という普通のエレキ・インストバンドの編成なのだが、ここにほとんどの曲で「女性コーラス」が絡み、そのことがこのバンドの大きな特徴になっている。ここに、YouTubeにあったその「真赤な太陽」をリンクさせておくけれども、曲のブレイクのところでの女性の「ラララララ~」の声が実に印象的。

 さて、わたしは「ずいぶん久しぶりに聴いて懐かしいな」と思っていたのだけれども、その収録曲の中の「The Phoenix Love Theme」を聴いて、なんと心せずに目に涙があふれてしまった。この曲もバンドの音と女性コーラスの絡みが絶妙なのだけれども、全体にいって、このアルバムの編曲はすばらしい。
 で、「いったい誰が編曲(Arrange)を担当していたのか」とみると、これがあの、「イタリアン・グラフィティ」で知られるNick DeCaroなのだった。そりゃあ聴きごたえもあるわけだ。
 この曲は映画『飛べ!フェニックス』の主題曲(?)らしいが、わたしは前に検索したときはYouTubeでも見つけられなかったのが、今日探してみると見つかった。
 「こんな音楽で涙を流すとはバカか」と思われそうだけれども、いちおうリンクさせておきます。

 なお、このT-Bonesは1967年の終わりには解散してしまったようだけれども、実はそのときのメンバーは1970年になって「Hamilton, Joe Frank & Reynolds」というバンドで再デビュー、こっちではちゃんと自分たちで演奏して、しかも歌まで歌って、70年代の前半にけっこうヒット曲を飛ばしたということ(わたしはちゃんと聴いたことはないが)。
 

*1:この曲、実のところはあのアルカ・セルツァーの胃腸薬の、テレビでのコマーシャル・ソングだった