ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ブレイクアウト』(2011) ジョエル・シュマッカー:監督

 「さて、何か映画でも観ようか?」と思って「GYAO!」の無料配信映画のリストを眺め、この作品が尺も91分と短かいことだし、ニコール・キッドマンも出ていることだしと、この作品に決めた。しかし、『ブレイクアウト』って邦題は何? Swing Out Sisterかよ? 懐かしいぜ。原題は『Trespass』なのだ。
 この映画、製作はアーウィン・ウィンクラーで監督はジョエル・シュマッカーと、まさに「ハリウッド映画」全開という感じだろうか?
 アーウィン・ウィンクラーはスコセッシの映画のプロデュースなども手掛け、「名プロデューサー」というところはあるけれども、ジョエル・シュマッカーという監督は微妙だなあ。わたしも名まえは知っているキャリアのある監督さんだが(去年お亡くなりになられたようだ)、『バットマン フォーエヴァー』とか『オペラ座の怪人』とかのヒット作はあるけれども、「これが代表作」というような作品がないというか、きっと「平均的なハリウッド映画を撮られる方」なのだろうという印象か?

 主人公家族はニコラス・ケイジニコール・キッドマンの夫婦に、15歳だかの娘がいる。ニコラス・ケイジはダイアモンドの売買の仲介をやっているようで、いちおうプール付きのすっごい豪邸に住んでいる。この「豪邸」がめっちゃ趣味が悪いのだが、まあそのことは置いておいて。
 「豪邸」だからセキュリティもめっちゃガッチリやってるクセに、「ピンポ~ン、保安官で~す。ちょっと見回りに来ましたのデスよ~」っていうのを、セキュリティカメラで「保安官バッジ」だけを確認して(犯人らのバカ面は見えてない)、無警戒に玄関を開けてしまうバカ亭主。押し入り強盗、「Trespass」である。
 強盗は犯行の中心の兄弟と、その兄のアホっぽい彼女、いろいろあって兄弟の「見張り役」みたいについてきている図体のデカい男との4人。これと襲われた家族3人との合計7人でず~~っと進行していくし、場所もほとんどその「豪邸」の中だけ(それだと閉塞感が強いと考えたのか、さいしょの方に娘が家を抜け出してパーティーに行くという、あとから考えるとど~でもいいエピソードが加えられているが)。意外と低予算なのか。

 押し入り強盗らはニコラス・ケイジに「金庫を開けやがれ!」と迫るが、ニコラス・ケイジは殺されそうなのに金庫を開けるのを拒む。そして、「なぜこの強盗兄弟はこの家を標的に選んだか?」みたいな展開になり、実は弟の方が見知っていた妻のニコール・キッドマンに横恋慕していたこともわかるし、ニコラス・ケイジニコール・キッドマンがその弟と浮気してるのではないかと疑っていたこともわかる。
 そしてしかも、ニコラス・ケイジは商売がうまく行かず実質一文無しで、強盗らが狙ったダイアモンドもこの豪邸の金庫には保管していないのだという。
 いろいろと形勢逆転に次ぐ形勢逆転がつづき(このあたりの展開が非常にしっつっこい!)、ニコール・キッドマンが犯人兄の首に危険な注射針を突き付けて「どうよ!」とやったりするのだが(それは男対男でもかんたんに振り払われてしまうぜ!)、まあとにかくは、強盗側はニコール・キッドマンに惚れてる弟以外は滅亡してしまうだな。
 ラストの「ほほう~っ!」というところはネタバレになるから書かないが(大したことでもないのだが)、とにかくは「豪邸」は炎につつまれてしまう。ここで「をいをい、鉄筋防火づくりだろうが!」という豪邸が焼け、柱がぐにゃぐにゃと曲がり落ちるショットでは「そりゃあないだろが!」と、叫びそうになってしまった。

 ニコール・キッドマンは「素晴らしい」です。ちょっとした「流し目」や表情の変化、見ていてゾクゾクさせてもらえる。わたしには、この映画はニコール・キッドマンを観るための作品でした。あと、娘さんを演じたコもよかった。ニコラス・ケイジはどうだったかな? 憶えてない(彼は嫌いじゃないけれども、いつもこ~んなものだ。いつも「一所懸命」なのは伝わってくるが)。強盗4人がやはり印象が薄く、ちょっと残念だったが、弟役の俳優はちょびっとイーサン・ホークに似ていたかな?

 91分にまとめてやたらに長く伸ばさない演出(というか編集)はいいけれども、「ここぞ!」というような演出の妙は味わえなかった。音楽は多分最低。以上。