ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ナイトクローラー』(2014) ダン・ギルロイ:脚本・監督

ナイトクローラー [DVD]

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  • 発売日: 2019/02/02
  • メディア: DVD

 監督・脚本のダン・ギルロイという人のことはまるで知らなかったが、そもそも脚本家として何本かの作品を手掛け、この『ナイトクローラー』が監督第一作だったということ。このあと2本ほどの作品を監督しているようだ。

 主人公のリー(ジェイク・ギレンホール)は、フェンスの金網やマンホールのふたを盗んで換金している、「泥棒」とも呼べないようなチンケなホームレスにも等しいような男なのだが、野心とそれに伴う能力の持ち合わせはあるようで、偶然自動車事故の現場を撮影するフリーランスのカメラマンと出会い、「その道に進もう」と、ヴィデオ撮影機器と無線傍受機を入手する。
 警察の無線を聞いて現場に直行し、犯罪現場、事故現場などを撮影してテレビ局に売り込むようになる。警察が到着する前に交通事故現場に着けば、いいアングルを求めて遺体を動かしたりもする。リーに「倫理観」はない。テレビ局のニュース・ディレクター(レネ・ルッソ)の信頼も得て、無職で仕事を探していたリックをアシスタントに雇いもする。
 あるとき、高級住宅地の豪邸での強盗殺人の情報を受け、警察に先んじて現場に到着すると、犯人の姿、犯人の車も目撃して撮影する。3人が射殺されていた現場は凄惨を極めるがリーは平然と撮影、犯人の情報は隠してテレビ局に映像を売る。番組スタッフは「倫理に反する」と放映に反対するが放映される。
 リーは隠していた犯人のことを独自に割り出し、自分で警察に知らせて独占的に「逮捕シーン」を撮影しようとする。状況を知ったリックは、「得た金を山分けしなければ警察に通報する」とリーを脅すのだが、さてどうなるか‥‥

 まあこのリーという人物がけったくそ悪い人物で、そのけったくそ悪さ、「一片も同情できない野郎」をジェイク・ギレンホールがリアルに演じている。まさに「ハマリ役」という感じがする。「その過激さで視聴率を上げよう」というテレビ局もひとつのファクターだろうけれども、まあ現実的に考えて、いくらリーのような「クソ野郎」でも、そんなに連続して「エグい映像」に出っくわせるわけでもないだろうし、テレビ局との専属契約というのはあまりリアルではない(さいごの「強盗殺人」の話はリアルだけれども)。
 で、テレビ局のディレクターを演じるのがレネ・ルッソということで、「またずいぶんと久しぶりだな」とか思ったのだが、実のところ彼女は監督のダン・ギルロイの配偶者なのだということだった。な~んだ(などと思ってはいけないか)。

 途中だれることもなくストーリーをぐんぐん牽引していく演出は力強いし、夜の都会の空気感もストーリーにマッチしていた。けったくそ悪い映画ではあったが、さいごまで飽きることもなく観てしまった。