ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2020-11-20(Fri)

 今日はついに、佐倉の「国立歴史民俗博物館」へ『性差(ジェンダー)の日本史』展を観に行く。世間はCOVID-19の大規模なまん延もあり、政府の主導する「Go To キャンペーン」への批判も強まっているというのに、わたしはこうやって「プチGo To トラヴェル」みたいなことをやるのだ。
 まあ佐倉へはウチから電車で一時間ぐらいのものだし、「トラヴェル」などといえるようなものではないのだけれども、都心方面ではなく、今まで行ったことのないスポット(佐倉自体は去年にいちど訪れてはいるが、「国立歴史民俗博物館」は初めて)へ行くのは、わたしの中ではちょっとした「旅」気分ではある。
 とにかく今年はわたしの入院療養もあったし、「COVID-19禍」も継続中だし、こういう遠出(というほどではないのだが)というのは今年初めてのことだし、おそらくはこれが今年さいごの、というか当面はずっと将来にわたってさいごの「遠出」になるのではないかと思える。

 天気予報では今日は曇り。雨が降ることもあると。気温はやはり昨日のように上昇し、23度ぐらいになると言っていた。「では」とシャツ一枚で出かけることにし、かんたんな朝食をとって7時半ぐらいに家を出た。
 たしかに空は暗い雲に覆われていて、「今にも雨になりそうだ」と思ったとたん、ポチポチと雨粒が落ちてきた。

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 傘をさすほどの雨でもなく、そのまま駅へと歩いているうちに止んでしまった。
 駅からは成田線の電車に乗って成田まで行き、そこで京成線に乗り換えて京成佐倉の駅まで。車内は危惧していたような混み方ではなく、たいていは通学の高校生らしい乗客だった。
 9時すぎに京成佐倉駅着。博物館は9時半オープンだからけっこうちょうどいい時間。博物館のサイトからプリントアウトしたマップが役に立った(なぜかわざわざ遠回りしている箇所があったけど、どうも国道沿いの情緒のない道を避けているようだった)。

 国立歴史民俗博物館佐倉城址公園の中にあり、ゆるい坂道をのぼって行く。行きかう車も人の姿もほとんどなく、道の両側には色づいた木々が連なっている。正面にでっかい箱のような建物が見え、あれが博物館なのだろう。

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 国立歴史民俗博物館に到着。

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 チケットを買う前におでこで体温を計測し、さらに氏名と電話番号を用紙に記入して提出する。COVID-19への対処なのだろうけれども、けっこう厳格な印象だ。
 入場してみるとそれなりの数の観客。中年ぐらいの女性客がほとんどで、平日ということもあってか、若い人はほとんど見かけない。そして、女性客よりはちょっと年配の人の多い感じの男性客は、女性客にくらべてもかなり数が少ない印象だった。

 全体を7つのセクションに分けた展示は、予想していた通りに文書関係の資料の展示が多くもあったけれども、わかりやすい解説もあって要点は理解できる(しかし資料は読めない)。
 展示を観ているうちに暑さを感じ、着ていたシャツを脱いで半袖のTシャツ一枚でちょうどいい感じになった。しかし肩からぶら下げたバッグが重いし、とにかく展示を観る(読む)のに時間がかかる。ようやく展示をすべて観終えて外に出ると、けっきょく3時間近くかかっていた。

 ミュージアムショップに行き、まずは図録を買い、その他にもいろいろと面白そうなグッズが売られていたけれども、「どうせ買っても放置してしまう」と思って何も買わず。

 実は同じ博物館で並行して開催されている展示、『日本の食の風景 そとたべの伝統』というのも観たい気もちもあったのだけれども、もうヘトヘト。みてみると、その展示のけっこう充実した無料パンフレットが置かれていて、「これでいいや」ということにして、いただいて帰った。

 外に出るとそこはつまり「佐倉城址公園」で、広いスペースに色づいた木々が見られ、芝生には落ち葉がたまっていた。ちょっとばかり散策してみたが、ほとんど人の姿もなく、「COVID-19禍」からの逃避行として心も和らいだし、美しい景観に目も休まる思いがした。「来てよかった」と思えたひとときだった。

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 食事がしたい。公園を出て駅への道を歩きながら、昼食を食べられるところを探す。ちょうど道沿いに蕎麦屋があったので、「蕎麦屋のカツ丼が食べたい」と店に入った。何の変哲もない、おしゃれでもアンティークでもない蕎麦屋で、「こういうところに来たかった」と思う。まかないは、このような蕎麦屋では決まって「蕎麦屋らしいおばさん」なのであって、それでちょっとばかし雑談をする。「今日は暖かいですねえ」。ビールとカツ丼を注文した。

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 いつも思うことだが、蕎麦屋のカツ丼が他の食堂とかのカツ丼よりおいしく感じるのはなぜなんだろう。蕎麦屋特別のレシピでもあるのだろうかと思う。この店では特に味噌汁が抜群に美味で、ひとくち口をつけてそのおいしさに「あ~!」と声が出てしまった。至福のひとときであろう。

 あとは家に帰るだけ。帰路の電車の中から、それまでの曇天が青空に押しのけられて行く感じが目にはいり、「美しいものだな」と思う。

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 駅からの帰りにスーパーに立ち寄り、お留守番のニェネントくんへのお土産のつもりで「刺身の盛合わせ」(このスーパーのお刺身はおいしいのだ)を買い(まあ半分はわたしが食べるのだ)、わたしはわたしで「天ぷらの盛合せ」を買う。帰り道も、ちょっと遠回りの空がよく見える道を選んで、空の雲を見ながら帰った。

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 ちょうど帰宅するとニェネントの夕食の時間で、ネコ缶のトッピングにお刺身をいっぱいのっけてあげた。ニェネント喜べ。
 わたしも夕食にそのお刺身をいただいたが、やっぱり近隣のスーパーではこの刺身を買ったスーパーの刺身が飛びぬけて美味で、「どうしてスーパーによって、こういうとんでもない味の差異があるのだろう」と、あらためて思うのだった。
 わたしの、今年さいしょでさいごの「旅」が終わった。疲れたが心は休まった。