ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ぼくの伯父さんの休暇』(1953) ジャック・タチ:脚本・監督・主演

ぼくの伯父さんの休暇 [DVD]

ぼくの伯父さんの休暇 [DVD]

  • 発売日: 2005/12/02
  • メディア: DVD

 この作品はむかし、「ジャック・タチ映画祭」とかで観たのではないかと思うのだけれども、今となってはまるで確かなことではない。
 ジャック・タチといえば『ぼくの伯父さん』が有名で、この作品はその続編ではないかというような邦題だけれども、実はこちらの方が古い作品(彼の長編第2作)で、以後のジャック・タチ映画でおなじみになる「ユロ氏」の初登場となる映画。

 原題は「Les vacances de Monsieur Hulot」で、このくらいのフランス語ならわたしもわかる。「ムッシュー・ユロのヴァカンス」である。って、単語をカタカナに置き換えただけだけれども。
 向こうのヴァカンスというのは皆がいっせいに休みに入り、避暑地のホテルでつかの間の「共同生活」をおくる。そんな共同生活をはじめると次第に、「あの人はいい人だ」とか「あの人は避けた方がいい」とかの評価が出てくるだろうし、皆の性格もわかってくる。そして子どもたちはいつも騒々しいものだ。そんな中で「ありゃあ変なヤツだ」と思われるだろう人物、それがジャック・タチの演じるユロ氏であろう。

 いつも同じテーマ音楽がひゃっぺん返しに流れるけど、微妙に編曲が異なったりしている。みんなアメリカのジャズが大好きで、ホテルでも大音量でかけちゃったりする。議論を吹っかけるのが好きな若者がいて、それは当時の「実存主義哲学」の流行の反映なのだろうか。特に外ーリーはなく、そんなリゾート地のホテルでの情景が連なって行く。

 ユロ氏はほとんどしゃべらず、パントマイム的な動きで笑かしてくれる。それは映画だからカメラがある側の一方向からしか見られないということをうまく活かしたコントであったり、じっさいに体を張ってやるところのコントもある。そういうコントは、フランスの映画だから「エスプリ」が効いている、とでもいうのだろうか。でも、主題音楽のおかげか、わたしにはペーソスを感じさせてくれる映画だった。
 さいごには皆が本来の自宅へ戻って行き、「さようなら、また来年お会いしましょう」と挨拶してお別れする。‥‥しかしわたしたちはこれから、そういう体験を持つことが出来るのでしょうか??