この日は、あの東日本大震災〜フクシマ原発事故から８年の日になる。わたしはあの日あのときは茨城に住んでいて、自宅アパートで録画した映画を観ていた。長い大きな揺れに襲われ、さいわいにも倒れた家具はなかったが、本棚がそのまま横にずれるように動いたし、いっしゅん停電もした。いつまでも揺れがおさまらず、かえって揺れが大きくなるようだった。「これは体験したことのない＜大地震＞だ」と思って、避難した方がいいかと玄関のドア口に行ったときにピシッと玄関の壁に亀裂が入り、細かい壁の破片が床に落ちたのをみたとき、「ああ、もうこれでおしまいだ」と思ったものだった。
とりあえず揺れがおさまり、落ち着かない気もちでテレビ報道をみる。震源地は宮城県沖で、そのあとにあの「津波」である。海からの巨大な黒い津波が地上のすべてをさらって行く。そして、福島第一原発をも津波が襲い、原発の建物の上に煙が上がるのをみた。それは「世界の終わり」のような光景だった。
余震が続き、さいしょの地震と同じぐらいに感じられる地震も起きたりしたので、「とにかく避難するとしたらどうしたらいいのか」知ろうとして、ウチから５０メートルのところにある児童公園に行ってみた。そこには近所の人たち７〜８人が集まっていて、皆が「どうしよう」という話をしていた。わたしの向かいの家の方もいらっして、家具が倒れてたいへんなことになったと。知人に電話してもつながらないらしい。
しばらくは公園で待機したけれども、ニェネントをウチに置いてきているし（なんて薄情な！）、家に帰ったのだった。
それからしばらくは断水も続き、プチ被災者気分にもなった。スーパーの食料品とかすべて売れてしまって売ってるものはないような状態。市役所からの広報アナウンスはあるのだけれども、何を言っているのか聞き取れない。水に関してはその公園にあった水道からだけは水が出る状態で、わたしもペットボトルとかバケツを持って水を汲みに行った。中にはその公園の水道でお米をといでいく女性とかいて、「たくましいなあ」などと思ってしまったのだった。
それでけっきょく、わたしの住んでいたアパート（鉄筋３階建てのしっかりした造り）も、わたしの部屋では壁にひびが入ったくらいで大きな被害はなかったのだけれども、他の部屋ではもっと被害も大きかったようで、とにかくは＜雨漏り＞するようになったのは深刻だったようで、その後の２年ほどのあいだに、わたしの斜め上の住居の住民以外はすべて転居してしまわれた。そして２年前にその「斜め上の住民」の部屋から火事が出て、もう住むことが出来なくなり、わたしも今の住まいに転居して来たのだ。ある意味、わたしもまた、すっごい時間をかけて避難して来た＜被災者＞ということも出来る気がする。それがとりあえず、８年前の記憶だ。わたしはその８年前の３月末の日記に、「これで日本も大きく変わってしまうだろう」と書いているのだが、まさか、今のようなかたちに変わってしまうとは、思ってはいなかった。最悪の災厄がまだ進行中だ。
それで今日。朝起きると、外から雨だれの音が聞こえる。天気予報のとおりに雨が降っている。胃の具合が悪い。吐き気がする。症状で調べると、昨夜遅くまでアルコールを摂取していたことも悪かったようだし、夕食のあとに時間を置かずに寝てしまうことも良くない。寝ているあいだに胃液が食道を逆流してしまうらしい。このところこういう症状は続いている。とりあえずは遅くまで酒を飲むのをやめ、食事のあとにすぐ寝ることもやめなければ。
出勤して仕事をしていても胃の調子が悪い。何か調子の良くなるドリンクを飲みたいと思うが、缶コーヒーとかはいやだ。勤め先の中に設置された自動販売機をながめていると、「プリンシェイク」とかいうドリンク（？）があって、「いいかも」と買ってみる。缶をガツガツと振ってから飲むのだ。‥‥これがとってもいい感じで、胃の調子もかなり良くなった。これからは愛用しようか。
帰宅するときには雨も上がっていて、気温もちょうどいい「快適」な感じになった。３時を過ぎて買い物に出た。空は快晴になっていて、午前中の雨のおかげでどこもかしこも洗浄され、空気も洗浄されている感覚だ。すべての色彩が鮮烈で、色彩鮮度を上げるフィルターを通して世界をみているような感じがする。それを「美しい」といえば、たしかに「美しい」だろう。
わたしの頭の上を鳥が飛んでいて、電線にとまる。「ムクドリ」だろうかと思うのだが、羽根の色がずっと灰色だし、くちばしが黄色くはない。「キミはなんという鳥なのだろう」と問いかける。
スーパーに行き、胃の調子を鑑みてプレーンヨーグルトを買い、いっしょに「メイプルジャム」というのを買う。ヨーグルトにこのメイプルジャムを添えれば「いい感じ」になるのではないかと思う。
今夜の食事は昨日の残りの「タコ炊き込みご飯」ですませたのだけれども、これで食事のあとにすぐに寝てしまうとまた朝起きたとき胃の調子が悪くなるので、今日からは「食事のあと最低２時間は起きていよう」と決める。それはだいたい映画を一本観る時間にあたるので、これから毎晩ＤVＤとか録画した映画を観よう。まずこの夜はニコラス・ローグ監督の『ジェラシー』を観始めたのだけれども、どうしてもとちゅうで眠くなってしまい、「まあ食事を終えて２時間過ぎたからいいか」と、映画の続きは明日にして寝てしまうのだった。
