ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018) フアン・アントニオ・バヨナ:監督

 二作目の『ロスト・ワールド』と同じような位置づけ、ストーリー展開もけっこう似ている作品。

 一般公開されていた「ジュラシック・ワールド」は前作の展開でまた閉鎖されているのだが、ここで休火山だった島の火山が噴火をはじめ、溶岩の流出などで島に住む恐竜らには壊滅の恐れが出て来た。
 かんたんに言えば、前作の主人公だったオーウェンとクレアは、島の恐竜らを救出するために「恐竜保護グループ」と共にふたたび島へと出向く。一方、前作で「恐竜を武器に」と企んでいたボスは、実は今のオーナーに仕えているイーライという男が実権を握っていて、自分の判断で恐竜らを島からそれぞれ「つがい」で運び出そうとしているのだが、実はそれらの恐竜を「武器」または「ペット」として(!)オークションにかけ、売り飛ばそうとしているのである。
 一方、前作でハイブリットの「インドミナス・レックス」を創り出していた「ジュラシック・ワールド」の遺伝学者は、こんどはヴェロキラプトルから「最強兵器」となりうる「インドラプトル」の試作モデルを産み出していたのだったが、その試作モデルをもっと完成させるためには前作で活躍したヴェロキラプトルの「ブルー」を捕えることが必要なのだ。

 というわけで、「恐竜を売り飛ばそう」とする言わば「悪役」と(イーライはけっきょく、オーナーも殺害してしまう)、「恐竜を保護しようとする」善玉との戦いになる。今回は「善玉」側に「そういうの、あり?」というような腑に落ちない言動をとるものもなく(といって、最終的には「恐竜保護派」は4人しかいないのだが)、言ってしまえば「善悪の対立」は明快である。
 それで再会できたブルーは「恐竜売却派」に撃たれて重傷を負う。「恐竜保護派」はそんなブルーを救おうと手立てを尽くし、さいごはティラノザウルスの血を輸血してブルーを救う。しかしそのため、ブルーは「恐竜売却派」の目論む「インドラプトル」のグレードアップには使えないことになる。

 島の噴火は激しくなり、多くの恐竜を残したまま島は溶岩の流れに呑み込まれてしまう。捕獲された恐竜らはアメリカの今のオーナーの大きな屋敷に運び込まれ(ブルーも運び込まれている)、そこでオークションが行われようとしている。そして屋敷内の別のスペースでは「恐竜保護派」が「売却派」の企みを妨害しようとしているが、その過程で恐竜の監禁スペースにシアンガスが漏れ出し、そのままでは恐竜たちはみ~んな死んでしまうということになるのだった。

 まあ「人間ドラマ」と言えるような場面もあまりなく、つまり「アクション映画」という位置づけで、前回のような演出のむごさを感じることもないが、監督も代わっていて、今回の監督はそこまでひどい演出をする方ではなかったようだ。
 わたしは昨日、「動物ショー」というものへの疑問も書いたのだが、この作品では「恐竜売却派」の男がオーウェンに、「お前がやっていたショーも、恐竜を武器にすることと変わりはないのではないか?」と語るのだった。

 最終的に「恐竜売却派」は暴れ出た恐竜たちに蹴散らされ、みんな死ぬか逃げ出すかするのだが、残った「恐竜保護派」は屋敷のゲートを開けて恐竜を「死」から救い人間の生活圏に恐竜を解き放つか、このまますべての恐竜が死ぬのを是認、放置するかの選択に迫られるわけだ。まあここに書かなかったオーナーの孫娘の存在が重要な意味を持って来るのだが、長くなるので書かない。この続篇があるわけだから、この作品のだいたいの結末は想像がつくことだろう。あ、ラストには「ブルー」と「インドラプトル」との一騎打ち、という見せ場もあるが。

 観た感じ、やはり恐竜たちは広大な自然の中、ジャングルの中とかで大暴れしてこそ見ごたえがあるようで、この作品のようにいくらデカい屋敷とはいえ、「屋内」で暴れまわっても、イマイチわたしには「迫力」は感じられないのだった。人間世界にちん入するのなら、それこそ「怪獣」としてもっと巨大化し、ビルとか建造物を外側から破壊してくれなければ。そういう意味で、「恐竜」を観たい、という意味では、わたしにはここまでの5作の中ではいちばん物足りなかった感があるし、根本のストーリーもあまり予想を覆すような展開もなく、全体に「予定調和」的という印象は抱いた。