ヒロインの麻生久美子が出ずっぱりでそのコメディエンヌぶりを見せてくれた、楽しい作品。ふせえりや岩松了、江口のり子ら『時効警察』のメンツも出演し、風間杜夫と加瀬亮が麻生久美子を助ける。他にも松坂慶子や松重豊、宮藤官九郎その他大勢が出演していたのだ(松坂慶子と風間杜夫との共演というと、むかしの『鎌田行進曲』を思い浮かべてしまうが、この映画では並んで出演したわけではなかった)。
冒頭の、ヒロインの「パッとしない日常」を振り返るイントロ映像がテンポも良く笑かせられ、ある意味この部分がこの作品でいちばんだったかもしれない。
あとは三木聡らしい、『時効警察』にもつながるナンセンスでシュールな小ネタの連続だけれども、けっきょく非科学的なことや超常現象など信じない女性だったヒロインが、「秘密の蔵」の中に詰まっていた泥のことを「インスタントの沼」だと気づき、自分が幼い頃にあったけれども埋められてしまった沼を再現させるために泥を運び、水道水をたっぷりと注ぐのである。すると摩訶不思議!?
映画ラストの麻生久美子の叫ぶメッセージ、「水道の蛇口をひねれ!そして、その嘘と意地と見栄で塗り固められたしょーもない日常を洗い流すのだー!」というのがそれなりにパワーもあり、多少なりとも元気をいただける、そ~んな映画ではあった。わたしは好きである。