ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『去年マリエンバードで』(1961) アラン・ロブ=グリエ:脚本 サッシャ・ヴィエルニ:撮影 アラン・レネ:監督

 言わずと知れた、「わけわからん」系映画の最高峰。もう、「あなたとは去年、マリエンバードでお会いしましたよね」というセリフさえ了解すれば、この映画のことは解った気になってしまう(そんなことはないか?)。
 この作品をリードしているのはやはり、ロブ=グリエによる脚本の方だろうけれども、そんな「わけわからん」脚本をちゃんと映像化したアラン・レネ氏の演出手腕もすっごいモノがある。さらに言えば、ココ・シャネルの衣装、そして主演のデルフィーヌ・セイリグの美貌がまた、この映画の「謎」を「おしゃれ」なモノに持ち上げ、つまり「わけわからん」けど「美しくもおしゃれだ」、という作品となっている。

 まあ自分でもこの映画、ちゃんと観たことがあったのか、観たつもりになっているだけなのか、今となってはわからない。でも観ていて、「マリエンバードで」というセリフは一回きりしかなくって、そのことは何となく憶えていたので、過去に観たことはあったようだ。
 それでどちらにせよ内容は記憶していないわけだし、やっぱり「どういうことなのか」わかりにくいのだけれども、舞台になっているホテルのようなスポットで毎年同じような顔ぶれが顔を合わせ、デルフィーヌ・セイリグに「前にも逢ったでしょ」と詰め寄る男と、ゲーム好きなデルフィーヌ・セイリグの夫らしい人物とがいて、その詰め寄る男と夫らしい男とが何度もゲームを行い、いつも夫が勝つのである。
 いちおう映画のラストは、その男と女とがこれから「駆け落ち」をするのだ、というような雰囲気で終わるようだが。

 下の写真は、モニターからわたしが写した有名なシーンだけれども、こうやって見ると、円錐形の植木には「影」がなく、たたずむ人物らにだけ「影」があるわけで、この「影」が描かれたものだということがよくわかる。

     

 しかし、こういう演出姿勢はどこまでがアラン・レネによるもので、どこらあたりが作者のアラン・ロブ=グリエの提示したものなのか、気になるところだ。
 このときまだアラン・ロブ=グリエは自ら映画を撮ってはいないが、この2年後の1963年に自ら『不滅の女』を監督し、以降亡くなるまでに10本近い映画を撮られている。そこに、このアラン・レネの監督による『去年マリエンバードで』はどのような影響を与えているのだろうか。
 わたしはこのあとにアラン・レネが撮った『ミリュエル』、そして『戦争は終わった』を観たいと思っているのだが、今ではなかなかかなわないようだ。