ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『マルホランド・ドライブ』(2001) デヴィッド・リンチ:脚本・監督

 昔映画館で観て、そのあとも自宅で観たことのある映画のようだけれども、とにかくは「な~んにも記憶してはいない」。デヴィッド・リンチの作品はこのあとの『インランド・エンパイア』も観たが、それを観たとき、もうデヴィッド・リンチという人はいわゆる「映画」という表現手段で作品をつくることには興味が失せたのではないかとも思えたのだけれども、じっさいにそれ以降「長編劇映画」は撮られていないようだ。
 そういうところでは、この『マルホランド・ドライブ』はデヴィッド・リンチの「最高傑作」なのではないかという気はする(もちろん、『ブルー・ベルベット』という選択肢もあるが。

 そういうわけで、どうやら6~7年ぶりにこの『マルホランド・ドライブ』を観た。
 ローラ・エレナ・ハリングナオミ・ワッツとの共演で、ナオミ・ワッツは女優の未来への夢に燃えた女性で、その前にどうやら交通事故で記憶をなくしたらしい、ローラ・エレナ・ハリングがあらわれる。ナオミ・ワッツはローラ・エレナ・ハリングの話を聞き出し、彼女の過去を共に探ろうとするわけだ。
 ローラ・エレナ・ハリングは多額の現金と、謎の「青い三角形の鍵」を持っていたわけで、どうやら「犯罪」に絡んだ過去がありそうだし、彼女自身「女優」だったのではないか、とも思える。

 そんな「謎解き」もなかなか進行しないままに、「あるポイント」以降、それまでのストーリー展開がご破算にされるような、そのまま読み取ろうとしてもわけのわからない展開へとなだれ込み、特にナオミ・ワッツはそれまでの人格から完全に乖離した存在になってしまうようだ。

 ‥‥ラスト近くまで観ていて、「こういうのにそっくりな展開が最初の方にあって、そのまま<置いてけぼり>にされていたな」とは思うわけで、そのあたりで「あ、この映画は、よほどすべての展開を記憶出来ているような人ではないかぎり、最低<2回>は見なければ解明出来ないこと満ちている映画なのだ!」ということを了解する。
 ここまで一度だけ観てわかったのは、途中で発見される「青い立方体の箱」の鍵穴にローラ・エレナ・ハリングの持っていた「鍵」が合致して、その箱を開けてしまったとき、それまでのすべては覆ってしまうということ。そういう意味では、それまでの「夢」がその箱が開けられることで「醒める」ということだろうか。
 それで、その「夢」がいったいどういう「夢」なのか、そんな夢見てる「現実」とはどういう「現実」か、ということは、さいしょっからもう一度見返さないとわたしにはわからない。今日観た内容をあんまり忘れてしまわないうちに、また観てみないといけないだろう。

 さらに「一度だけみて」想像がつくのは、ナオミ・ワッツは映画の前半とは違ってある程度キャリアある女優であって、「絶望的な」問題を抱えている。そしてひょっとしたら彼女はすでに「自殺」しているのかもしれない。

 ちょっとこの映画について調べたら、この映画製作時にはまだ、ナオミ・ワッツはそんなに知られた女優さんではなく、この映画によってブレイクしたらしいのだった。