ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021) キャリー・ジョージ・フクナガ:監督

 前情報として、この作品でダニエル・クレイグジェームズ・ボンドは「おしまい」と聞いてはいた。なんだか、「ジェームズ・ボンドが死んでしまう」とか。

 最近の「大作指向」とでもいうのか、やはり尺が長いというか、1時間モノの連続ドラマを3本ぐらいつづけて観たような気分になった(さいしょの「タイトル」が出るまでに30分ぐらいかかったし)。

 「面白い」っていえば「面白い」のだけれども、ここまで来ると「何でもあり」というか、こうやってDNAレベルで抹殺したい相手を選べるというのなら、「凶器」もへったくれもなく、そもそも相手に直接対峙しなくってもいいことになり、「ドラマ」が成立しないのではないかと思う。
 というか、最終パートなんか、「これって<フォークランド紛争>?」っつうか、ボンドの所属する<MI6>の守備範囲を越えてほとんど「国家紛争」だし、そこにジェームズ・ボンドがほとんど単独で対峙しているのが強烈。
 ここまで来ると、「<映画>っつうのは、もう気まぐれにど~んなシチュエーションもやれるよね!」って感じで、どこかで「スパイ・エージェントもの」という制約範囲を逸脱しているのではないのか。ついでに言えば、敵役の「スペクター」組織の全員がキューバに集まってしまい、そこで全員「死亡」してしまうというのも、いくら「敵」とは言え、「組織のセキュリティとしてどうなのよ?」とは思ってしまう。

 「演出」では特に導入部の、ドローンとかを使った撮影にスタッフの意欲を感じたし、中盤のキューバ篇でボンドをサポートするパロマというエージェント(アナ・デ・アルマス)があんまりにもキュートでカッコよく、この映画ははっきり言ってこのキューバのパートのアクションがすべてか。ラストにもう一回彼女が登場するだろうと期待して観ていたが、残念ながらキューバのところでしか登場しないのだった。
 しかし、このアナ・デ・アルマスという女優さん、前にダニエル・クレイグが「ボンド役」ではなく出演した『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』でダニエル・クレイグと共演していたし、先日観たパトリシア・ハイスミス原作の『底知れぬ愛の闇』にも出ておられたのだった。
 『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』は、つい2ヶ月前に観たばかりの映画だけれども、(悲しいことに)もう今ではほとんど記憶していないのだった。