ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

2020-03-28(Sat)

 退院日が決まったので、退院に向けていろいろとリハビリをしておきたい。歩き回ることはできるけれども、今いちばん不安をおぼえるのは、階段の昇り降りだ。入院して以来まるで階段を歩いていないので、「まだ階段の昇降でふらつくのではないのか」と、不安にも心配にもなる。看護士さんに「階段の昇り降りをちょっとやってみたいので、階段のあるところに案内していただいて、わたしに付き添っていて下さい」とお願いして、午後から看護士さんの付き添いでやってみた。
 ふらつくことはなかったけれども、入院してのこの10日間ほとんど足を使わなかったし、特に階段の昇り降りのような「ひざの屈伸」ということはまるでやっていないので、ひざのあたりに張っている感覚があり、「これはリハビリで単に歩くだけではなく、ストレッチみたいな軽い運動をやるべきだな」と思った。しばらく、ひざを交互に大きく上げて、合わせて上に曲げた同じ側のひじにあてながら歩くというトレーニングをやってみた。けっこう疲れた。明日もまたもういちど、階段を歩かせてもらうことにした。

 平日は毎朝主治医の方々が病室を巡回し、あとで個別の担当医が軽く問診してくれ、手術後の手術口の状態をチェックしてくれるのだが、「順調ですね」ということである。先に書いたように入院、手術からもう10日目になるわけで、もらっているプリントには「慢性硬膜下血腫」の入院期間は1週間から10日ぐらいと書いてあるので、じっさいもう退院しようと思えばできるのではないかと思うが、今は週末にあたるので来週に延ばされているのではないかと思う。

 天気予報をみると、明日は東京あたりでもみぞれから雪になり、積雪するのではないかと言っている。外ではもう桜の花も満開になっている。そんな時期に雪が降るなんていうことは、以前にもあったことのように記憶している。
 桜のことを書いたけれども、わたしの入院している病院の、わたしの病室がある4階の窓からはビルの姿ばかり見えるのだけれども、一ヶ所だけ、窓の外の遠方に高台にある神社のような建物の屋根が見えるところがあり、その建物のそばに2~3本の桜の木が見ることができる。
 自分で自由に歩けるようになってからは毎日、その桜の木に花が咲いているのを眺めている。さいしょにその桜の木に気づいたのは動けるようになった24日のことだったけれども、まだ桜の花は三分咲き程度だったように見えた。今日はもう七分咲きぐらいになっているようだ。おそらく、わたしが退院する日あたりが「満開」の日になるのではないかと思う。桜の花がわたしの退院を祝してくれるだろうか。

 午前中にテレビを見ていて、番組表をチェックしてみると、今日は夕方から『羅生門』の放映があるのだった。「黒澤明生誕110年、三船敏郎生誕100年」ということでの企画らしい。「みんなウソをついている。人間なんて信用できない!」というのは、今の時節にピタリなのかもしれない。夕方からベッドに寝転がり、久しぶりにその『羅生門』を見た。
 オープニングの廃墟の羅生門での会話から、回想へと移って行くときに、まずは志村喬が森の奥へとずんずんと進んで行くシーンにたっぷりと時間をかけられていて、「これから物語の中へと踏み込んでいくのだ」という「切り替え」を見る人に知らしめる。撮影の宮川一夫がやはりすばらしく、緩急をつけたスピード感は今なおまるで古びてはいない。

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 今日の夕食は「さばの塩焼き」だった。例によって小骨まできれいに取ってくれているので、安心してガブリと食べることができる。
 食事にはメインのほかに小鉢にちょっとした煮物がついてくる日が多いのだが、いつも必ずといっていいくらいにいんげんとニンジンが入っていて、味付けも毎回同じである。ここにもう一つ別の食材がプラスされ、献立としては別の名まえになるわけだ。いったいどんだけいんげんとニンジンをストックしてあるんだろうと思ってしまう。