ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『黒猫・白猫』(1998) エミール・クストリッツァ:監督

 「1998年の作品」だったとは、もう前世紀の作品になっているのだなあ。この1年前のクストリッツァ監督の作品『アンダーグラウンド』が好きだったが、当時のわたしの周辺では「フェリーニじゃねえか!」って意見が多かったように記憶している。
 今回、その『アンダーグラウンド』も「Amazon Prime Video」も観ることができるのだけれども、「3時間の大作」なもんだったし、この『黒猫・白猫』を観た記憶もなかったので(『アンダーグラウンド』だって、観たとはいってもな~んにも記憶してないのだが)、今日は『黒猫・白猫』を観るのだった。

 舞台はユーゴスラヴィアのどこかなのかなあ。賭け事や儲け話にばかり夢中になる男たち。きっとロマの一族なのだろう。み~んな口ひげを生やしてフランク・ザッパみたいな顔をしていて、登場人物の区別がつきにくい。なんか知らんけど石油を運ぶ貨物列車を乗っ取ろうとしてるみたいなフランク・ザッパがいるけれども、別のフランク・ザッパに邪魔されてしまうようだ。フランク・ザッパたちにはそれぞれ同じようなオヤジがいて、構図としてオヤジさんたちはゴッドファーザー的な立ち位置で、その息子のフランク・ザッパたちはギャンブル好きのチンピラ。
 一方のフランク・ザッパにはザーレという息子があって、その息子ともう一方のフランク・ザッパの娘のアフロディタと結婚させようという話が進む。その娘は「テントウムシ」というあだ名で、身長1メートルだと言われている(たしかに背は低いけれども、かわいいといえばかわいい)。でも息子のザーレはイダという女性と知り合い、将来を誓い合っていたのだ。しかしいかんともしがたいままに結婚式当日となる。ところがゴッドファーザーのひとりは急死してしまうし、アフロディタはザーレとの結婚をいやがり、「理想の花婿」を探して結婚式場から消えてしまうのだ。急死したゴッドファーザーの死を隠すため、彼の死体は屋根裏部屋に運び、大きな氷を抱かせる。
 ところがさらに、式場へやって来たもうひとりのゴッドファーザーもまた、急死してしまうのだ。

 いやはや何とも、大騒ぎのお祭り騒ぎ。ここにロマの民族音楽の演奏が加わるし、タイトルにある黒猫と白猫、それからあちこちにあふれるガチョウ、車をかじりつづけるブタ、それからヤギとかの動物たちにあふれる、楽しい映画である。
 これがしっちゃかめっちゃかのようでいてストーリーはぶっ壊れてしまわないし、観ていてもニコニコと楽しくなる映画ではあった。