ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ワイルド・アット・ハート』(1990) デヴィッド・リンチ:脚本・監督

 この映画の頃、デヴィッド・リンチは『ツイン・ピークス』で大成功を収めた時期で、この『ワイルド・アット・ハート』にもその『ツイン・ピークス』にあったフリーキーな世界観が見られるし、端役に『ツイン・ピークス』出演者があれこれと登場してもいて、作品として親戚関係にあるのかとも思う。
 それでも、この『ワイルド・アット・ハート』には、リンチらしくもないロマンチックな夢物語が描かれているようでもある。それは『ツイン・ピークス』のような暴力に満ちた歪んだ世界(ラジオでどの局に合わせても、陰惨なニュースばかりを伝えている世界)から逃れて、主人公のニコラス・ケイジが言うように「魂の自由を信じる男」が「悪い魔女」の妨害に会いながらも、最後には「いい魔女」の導きを受けて「愛の世界」を見出すという、ウソみたいな話(ファンタジー)なのだ。

 この作品自体は『オズの魔法使い』のことを知らないとわからないようなところもいっぱいあるようで、『オズの魔法使い』を未だ観たことがないわたしなどには、読み取れていないこともあると思う。
 だいたいわたしは「黄色いレンガ道」なんていうのはエルトン・ジョンの歌しか思い浮かばないわけだったし。

 しかしやはり、デヴィッド・リンチといえば「悪夢の世界」の映像化、形象化だろうと思っているわたしには、こういう「目覚めのいい」ような夢(ファンタジー)の世界は「そりゃあ違うだろう?」ってな気がしてしまう。

 あとは出演者らの「怪演」とかを楽しみたくなってしまうわけだが、そういうちょっとだけ出て来る端役には「気味の悪い」人物もあれこれ登場するのだけれども、主要登場人物ではやはりウィレム・デフォーばかりが目立ってしまう(って、彼も登場してくるときの「不快さ」に比べて、あっという間に倒されてしまう「チンピラ」ではあったのだが)。
 本当は、ハリー・ディーン・スタントンが「始末」される残虐(?)な拷問シーンがあったらしいのだけれども、試写でそこで退場してしまう人があまりに多いこともあり、最終的にはカットされたらしい。ひょっとしたらそのために、この映画の印象がマイルドになってしまっているのかもしれない。
 観ていて、そのハリー・ディーン・スタントンを殺す指令を出す人物役でJ・E・フリーマンという役者が登場し「この人の顔見たことあるなあ」と思っていたのだけれども、コーエン兄弟の『ミラーズ・クロッシング』でゲイブリエル・バーンの最大のライヴァルを演じていた人だった。この人はいい味を持っている。調べたら『エイリアン4』での演技がいいらしい。観てみたい。

 どうしよう? 次はやっぱり『オズの魔法使い』を観てみようかな?