ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ブレードランナー』(1982) リドリー・スコット:監督

 エポックメイキングな作品、「サイバーパンク」の開祖として知られる名作。わたしが観た感じ、この映画はヴィジュアル面で突出していたのだろうという感じで、ストーリー展開自体は50年代アメリカのノワール映画の伝統を継承しているように思え、そこまでに、この作品の展開に晦渋さを感じることはなかった。

 脱走した4人のレプリカント討伐のために駆り出されたデッカード(ハリソン・フォード)は、見た感じそこまでに「有能」というところでもなく、「探偵」としては発見した「ヘビのうろこ」一発からすべて乗り切ったようなところがある。あとは遺伝子技師のJ・F・セバスチャンの存在、彼の部屋で彼が創作したクリーチャーの存在が面白かった。

 ラストのビル屋上でのデッカードと生き残りレプリカントのバッティ(ルトガー・ハウアー)との対決シーンは、舞台設定もSFではなく50年代ノワール映画のようだった。

 わたしはデッカードもまた「レプリカント」だろうという解釈で見たし、最後にデッカードの伝達役のガフが、デッカードがかくまっていたレイチェルに関して「彼女も残念でした。短い命で」と語る言葉も、デッカードのアパートのドアの外にガフお得意の「折り紙(ユニコーン)」が置かれていたところからも、ガフはすべてを承知の上で(デッカードがレイチェルをかくまっていることを承知で)デッカードとレイチェルとを「見逃がした」のだと思った。