ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『グッドフェローズ』(1990) ニコラス・ピレッジ:原作・脚本 マーティン・スコセッシ:脚本・監督

 むかしヴィデオで観たときは、「面白いなあ」と思ったもので、特に劇中で使用される60年代から70年代のポップスのチョイスが絶妙で、今思い返してみても「これはロビー・ロバートソンは絡んでいないな」と踏んだのだけれども、じっさいにクレジットにロビー・ロバートソンの名前はなかった。
 これがこのあとのスコセッシの『カジノ』では、音楽にロビー・ロバートソンがしゃしゃり出てくるのだけれども、まあとにかくひどい選曲で、「目もあてられない」というか「耳をふさぎたい」映画だった。
 スコセッシ~ロバートソンのコンビではこのあとも、わたしの観たのでは『ギャング・オブ・ニューヨーク』とか、先日の『アイリッシュマン』とかあるけれども、あまり関心できるものではなかった。

 まあわたしがロビー・ロバートソンをきらいだということは今はどうでもよくて、この『グッドフェローズ』での選曲がよかったね、ということである。
 それは、この映画のストーリー展開の前半が「Boy meets Girl」というところがあり、実はこの映画の隠れた主役といってもいい、ヘンリー・ヒルレイ・リオッタ)の彼女(妻)のカレン・ヒル(ロレイン・ブラッコ)のことを、そんな「音楽」からみごとにサポートしていた印象がある。

 この映画はもちろん、マフィアにあこがれて成り上がったチンピラのヘンリー・ヒルの、栄光と没落を描いたものだけれども、単にジミー・コンウェイロバート・デ・ニーロ)やトミー・デヴィート(ジョー・ペシ)との交流を描くのみならず、ヘンリーが惚れたカレンをいかにしてゲットするかにもポイントが置かれ、ここでカレンの視点から彼女のモノローグも入っている。そんな彼女の気もちを、同時代のガール・グループのヒット曲がサポートしていたと思う。

 マフィア仲間との交流というのは意外と短いエピソードの連続で、そこまでに深い描き方でもないのだけれども、そんな中では妻のカレンとの「関係」というのは突っ込んで描かれていた印象。そしてカレンを演じたロレイン・ブラッコという女優さんが印象に残る。
 まあせっかくだから、終盤のヘンリー収監後のカレンのこともちょっと描いてくれればよかった気もするけれども、ああいうラストのかたちはいいのではないかと思う。

 ポーリーを演じたポール・ソルヴィーノ(いいのだ)のことなど、もうちょっと書きたいこともあるけれども、このあたりで。