さてさて、わたしの「April Fool」っぽい一日の、始まりである。
午前中に、きのうまでにAmazonに注文してあったピンチョンの『LAヴァイス』の本と、ポール・トーマス・アンダーソンの『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のDVDとが、早々と到着した。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のDVDはまさに新品ピカピカ、未開封でこの価格、うれしいのだった。そして『LAヴァイス』はAmazon評価で「可」ということで、確かにカヴァーにこそ圧迫されてついたキズがあったのだが、本文内部はまっさらで読んだ形跡なし。「本」なんて、いちど読めばツカに既読の「中古」印がついてしまうのだから、わたし的にはカヴァーに傷がついていようがいまいが、内容がまっさらな「まだ読まれていない」本ならばみんな「新本」。カヴァーが汚れているからと値引きしてくれているのがいちばんありがたいのだ。
今週から新しい朝ドラが始まったのだけれども、いちおうその時間もテレビはつけているけれども、ほとんどマジメに見ていない。一方の「元家老」の家の娘の話は、わたし的にまるでヒットする要素がない。ただ緑のあふれる田園風景には癒される。一方の親に捨てられて牧師に育てられたという娘の話はちょっと面白そう。こっちだけにしてくれればよかったのに。
そして昼をすぎて、風呂の掃除などをしていたとき、胸のあたりに締め付けられるような感覚をおぼえた。これは過去の記憶から、「狭心症」の再発だとわかる。ま、がまんしてみじかい時間で過ぎ去ってくれればいいのだが、それが30分ぐらい経っても一向に胸の圧迫感は消えず、なんだか手も血が通わなくって冷たくなってしまっている感じ。「これはいかん」とネットで症状を検索してみると、「心筋梗塞」のおそれがあるから、早急に救急車を呼ぶべし、とのことである。
前にも「狭心症」の症状が出たら救急車を呼んでくださいと、医師にも言われていたし。
しかし、救急車を呼んで救急搬送されたら、そのまま即入院となるだろう。そうするとまず考えるのはニェネントくんのこと。わたしがいなくなって、ひとりこの家に取り残されることになる。
前にわたしが入院したときには、娘が近所の「ペットシッター」に連絡を取って来てもらったのだが、今わたしが救急車を呼ぼうとしてるとき、ペットシッターまで自分で調べて連絡を取る時間などまるでない。やはりまずは娘に連絡をして、その後のことをお願いするしかないだろう。それで娘に電話してみたが応答がなかった。LINEにメッセージを残し、救急車を呼ぶことにした。
自分で救急車を呼ぶということは、自分で何を持参するか決められるというのが大きな利点だろう。もちろんスマホ、そして充電用のコード、最低限の着替えの下着とかをバッグに詰め、救急車の到着を待つのだった。実はこういう体験は初めてのことではなく、14年ほど前に同じようなことをやっている。
救急車が来るまでのあいだに、ニェネントくんに早めの食事を出してあげ、ちゅ~るも出してあげた。最悪わたしは死んでしまうので「これがニェネントくんとの別れになるか」とニェネントくんを抱き上げて、グッと抱き締めてあげた。わたしはきっと戻って来たいけどね。
時刻は14時半ぐらいだった。10分ほどでウチの前に救急車が到着し、事情を話し、まずは救急車のなかで心電図などを採る(救急車を呼ぶとき、「狭心症」だと話してあるから、その設備のある救急車が来たのだ)。やはりよろしくない数値だということで、西の駅を越えたところにある医大の附属病院で受け入れてくれるとのことで、そちらへ向かうのだった。
救急車に乗っているからといって、わたしの意識とかはしっかりしていて、ただそのときも胸の痛みは継続している。あまり胸の痛みがつづくと心臓の血管が壊死してしまうというのをさっきネットで読んだばかりなので、さすがに「ちょっとヤバいなあ」と思う。
救急隊員の方に今までの病歴のこと、そしてあとは雑談などをしているうちに病院に到着した。
どうやらまずは「カテーテル検査」を行い、その結果によっては引き続き「カテーテル手術」を行うのだ。検査のみですめば「一泊」で帰宅できるようだが、手術まで行うと一週間ぐらいは入院だ。どうもここまでの経過は14年前と同じ流れで、そのときは「手術」まで行う予定で入院したのだが、検査の結果は「手術するまでのことはない」と、検査だけで退院したのだった。どうも今日も同じになりそうな空気だ。
病院の入院着に着替え、即「カテーテル検査」。右手首からカテーテルなるものを心臓まで送り込み、МRIで血管の状態を見るのだ。所要時間約30分。早い。時刻は18時ぐらいのことだったか。
検査が終わってすぐに結果の説明を受けた。心臓から分岐する血管に細くなっている個所がいくつか見つかったが、手術するまでのことではないとのこと。つまり、14年前とまったく同じで、検査だけで解放されることとなった。明日の朝には退院できるのだ。
自分にあてがわれた部屋に行くと、娘からLINEに連絡が来ていたので、LINEで連絡を取り合ったが、この日はもう面会時間を過ぎてしまうので、明日の午前中に病院に来てくれることになった。
あとは自室で休むだけ。点滴をやってるし、胸にリモートの機器がコードでぶら下がってるし、トイレに行くにもじゃまでしょうがない。夕食はサラダと(またまた)チキンカレーとかと、だった。コイツのおかげでそのあと下痢っぽくなってしまい、そのことがいちばん大変だった。

夜は持ってきていた「シュルツ全小説」の続き、『砂時計サナトリウム』を読もうとしたが、まったく本の内容が頭に入らず、途中で読むのはやめてスマホとかを眺めていた。
実はこの夜も若干胸の痛みが再発したのだが、そのことを伝えたりしたら、下手したら「再検査」とかなりかねないし、聴いたかぎりの検査の結果では「そういうこともあるさ」という感じだとわたしは解釈したので、そのままにしていたらそのうちに痛みは治まってしまったのだった。
というわけで、わたしの「April Fool」な一日は終わったのであった。とにかくは生き延びた。そして明日にはまたニェネントくんに会える。ニェネントくんは「わたしをおいてどこかに行ってしまって!プンプン!」と、怒っていることだろう。