先日はニェネントくんが動物病院へ行ったのだけれども、今日はわたしが病院へ行く番。近くの内科クリニックへ月に一度の通院である。通院と言っても、医師には軽い問診があって「最近どうですか?」と聴かれるだけで、「特に異常ないです」と言えばそれで済んでしまう。あと、わたしが毎朝測って記録している「血圧手帳」を見てもらう(こうやってほとんど毎朝、もう十年間ぐらい血圧を測って記録しているわたしもえらいなあ、と思ったりする)。いちおう聴診器を胸にあてたりはするけれども、これで何か異常が分かるわけではなく、単に形式的なものだということを以前医師自身が語ってくれたことがある。
そんなんでも月に一度通院するのは、ずっとつづけている薬を処方してもらうためで、今は「別にかたちだけの診察なんかやらなくって、ただ処方箋だけ出してくれればいいのに」とか思ったりする。ま、そのときの血圧の上下に合わせて薬を変えたりするので、「しょう~がないか」というところはあるが。
この日も診察が始まる午前9時よりもちょっと早くクリニックへ行ったのだけれども、けっきょく順番が回ってくるまでにちょうど1時間待たされた。おかげで、持って行っていた今読んでいる本の『オードリー・タン 自由への手紙』を読み終えてしまった。ちょっと、期待していたような本でもなかったが。
クリニックでの型どおりの診察が終わって処方箋を出してもらい、となりの調剤薬局へ行く。
「先日火事があったのはここのすぐそばだったはずだなあ」と思って、駐車場のなかを歩いていて「あのあたり」ではないのかというあたりを眺めてみると、住宅の屋根や木立ちの向こうに、焼け落ちて黒焦げの柱だけが残っている「火事あと」が見えるのだった。ああ、やっぱりあの方角だったか。近いからあとで行ってみようと思った。
調剤薬局では「来年のカレンダー」が置かれていて、自由に持ち帰れるもので、わたしももらって帰ってきた。
わたしはもう何年も、自宅の部屋に貼っておくカレンダーはこの調剤薬局でもらったカレンダーなのである。かわいいペットの写真が(毎年3枚)載せられているのだけれども、以前はネコの写真もまざっていたのが、今年も来年も全部イヌの写真なのだった。ま、いいけれども。
というわけで、調剤薬局を出てから「火事あと」を見物に行った。歩いて1分もかからずに現場に到着した。こういう「災害」の跡地をわざわざ見に行くということには、心のなかでそういう自分の「野次馬気分」を非難する気もちがあるのは確かだけれども、それでもわたしたちは、自分自身がそういう「災厄」にいつ直面するかわからない世界に生活している。「災厄」というものの現実をしっかりと目にして、記憶に焼き付けておくことは不道徳なことではないだろうと思っている。
報道では6棟が全焼したということだったが、火事としては規模の大きい方だと思う。出火したのが日曜の午後だったということもあって、人的被害もなかったということが「不幸中の幸い」だっただろう。
下の写真が火災現場のだいたいの全景。こう言っちゃ不謹慎かもしれないけれども、まさに「火事あと」というもののステレオタイプな情景ではないかと思う。屋根は焼け落ち、家の支柱が黒焦げで直立したまま残っている。手すりは火の熱でひん曲がってしまっているようだ。近隣の家屋は道路のおかげで延焼が防がれたのかとも思うが、道路の向かいの家とかは気が気ではなかっただろう。
これから暖房に頼る季節になり、毎日のように「火災」のニュースがつづいているし、人的被害も出ているようだ。ウチは過剰な暖房とか使っていないし、キッチン周辺から出火することもないだろうと楽観的な気分ではいるのだが、ガスレンジの火をつけっぱなしにしたらどうなるか、ガス漏れに気づかなかったらどうなるか、危険がないわけでもない。気を引き締めていよう。
さて、帰宅して昼食にかんたんな煮物をつくったのだが、食事を終えて、お皿に煮物のしょうゆ味のおつゆが多少残ったまま、テーブルにそのまま出しっぱなしにしていてしまった。
するとわたしが目を離したスキにニェネントくんがやってきて、残っていたおつゆをきれいに舐めてしまったのだった。
‥‥むむむ、出しっぱなしにしていたわたしがいけないのだけれども、その「しょうゆ味のおつゆ」は、塩分も高すぎて「ネコちゃんにはご法度」なのです。
せっかく動物病院の血液検査で「健康です」と言われたばかりなのに、こんなことで健康をそこなったりしたならば、わたしも泣くに泣けませんね。お皿を片付けなかったわたしが、いちばんいけないのだけれども。
読んでいた『オードリー・タン 自由への手紙』を読み終えて、次は何を読もうかと考えるのだけれども、先日読んだナサニエル・ホーソーンがけっこう面白かったもので、「その時代のオーセンティックな作家を」と思い、ホーソーンのようにアメリカの作家ではないが、イギリスのトマス・ハーディの短編集『月下の惨劇』を読むことにした。