ワニ狩り連絡帳2

前世のワニ狩りの楽しい思い出。ネコのニェネントとの暮らし。

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022) コリン・トレヴォロウ:脚本・監督

 せっかく全6作のうち5つまで観たのだから、残る一つも観てしまおうということで観た作品。これで「けり」が付いたというわけだ。

 前作「炎の王国」で、絶海の孤島から外の世界に出てしまった恐竜たちだけれども、どうもこの続編を見ると、それがどうのこうのという問題になったわけでもなく、けっきょく「炎の王国」のラストでぽしゃったかと思われた「恐竜売買」の組織も、「恐竜保護施設」の名目でしっかり運営されているみたいだ。「な~んだ、また今までのお話の繰り返しなのかいな」というところで、新鮮味も何もあったものではない。ただこの最終話、ラストだからということでか、第一話での主要学者3人(サム・ニールローラ・ダーンジェフ・ゴールドブラム)が揃って出演している。

 笑っちゃうのはその「恐竜売買」を行う組織「バイオシン」はやはり「バイオ・テクノロジー」を駆使してるわけで、これがなんと巨大なイナゴを産み出して、そのイナゴの大軍を麦畑などに発生させて収穫に大ダメージを与えようとしているのだ。それが、その「バイオシン」が開発した麦の種ならば、その「巨大イナゴ」に食われないと。つまり、農業分野を「バイオシン」社が独占出来るのだと。
 まあよくそんなアホらしいこと考えつくものだと、感心感嘆してしまいますね。アメリカやカナダでは「イナゴ」による農業被害が大きいから、こういう発想になるのかもしれないけれども、そんなことよりも、今話題の「昆虫食」でこのでっかいイナゴを食用にしたならば、「食糧問題」も一気に解決になるし、それならば「悪徳商法」などと後ろ指さされることもないじゃないか、とは思うが。
 それと、いちおう前作までの展開で、わたしなんかでもヴェロキラプトルの「ブルー」とかその子の「ベータ」には感情移入してしまっているわけで、「何か活躍する姿を見せてほしいな」ってなことは思っていたのだが、姿は見せてくれたものの、そういう「活躍」はまるで見せてくれなかったのは、ただ残念だ。

 けっきょくラストまで観て、わたしなどがこのシリーズに求めたのは、つまりは「化石」でしか確認出来ない白亜紀ジュラ紀の生物らがじっさいに肉を持ち、血のかよう生物として動いてくれる姿を見たいわけなのだ。そういう意味ではつまらないドラマなどなくってもかまわない(ない方がいい?)。ある意味、「ナショジオ」のフェイクなドキュメントとして、それぞれの恐竜の生態だけを紹介してくれるような方が観たかったりする。

 この作品の演出もまた、メインとなる登場人物が多かったせいか錯綜としていたようでもあるし、裾野を拡げ過ぎてもいただろう。ひとつ書いておきたいのは、「音楽」があまりにお粗末だったとは思う。